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多肉植物

DV関係のHP

デートDV予防講座やDV加害者更生プログラムを行っている伊田広行がDVや虐待に関する情報を紹介するHPです。

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プロフィール

  • 立命館大学、大阪経済大学、愛知淑徳大学等 非常勤講師。

大学でジェンダー論等を担当するかたわら、各地でDV/デートDV(ストーカー)防止教育をしている。また、大阪でDV加害者教育プログラム(NOVO)を運営している。その他にDV相談員向けなどの各種研修・講座、自殺相談、労働相談、貧困相談、男性相談などを行っている。

主な著書に

『「DVと虐待」対策・改善提言2020 ―――― 野田市小4女児虐待殺人事件を契機にした、DV加害者更生教育の経験からの「DVと虐待」への提言レポート』(Kindle, オンデマンド印刷書籍、2020年3月発行)

『シングル単位思考法でわかる デートDV予防学』(かもがわ出版、2018年12月)、

『シングル単位のデートDV防止教育を広げよう ―― デートDV予防学 No.2』(Kindle、2019年5月、電子書籍& オンデマンド印刷書籍)

『閉塞社会の秘密──主流秩序の囚われ』(アットワークス、2015年4月)、

『デートDV・ストーカー対策のネクストステージ』(解放出版社、2015年)、

『ストップ!デートDV――防止のための恋愛基礎レッスン』(解放出版社 2011年)

『デートDVと恋愛』(大月書店、2010年)

「デートDV/ストーカー蔓延の実態と背景 ―――ストップ!デートDV 2」 2015年4月15日発行、2019年2月POD版発行

『続 デートDV・ストーカー対策のネクストステージ』(電子書籍2015年5月、増補・オンデマンド印刷書籍&電子書籍、2019年3月)

『「まだ結婚しないの?」に答える理論武装』(光文社新書2008年)

脱暴力プログラムの受講命令を制度化すべき時代」 吹田市立男女共同参画センターデュオ編集発行『男性問題から見る男女共同参画――ジェンダー平等の実現と暴力・DV根絶に向けて(令和元年度 吹田市男女共同参画センター調査研究報告書)』(2020年10月発行)所収 

『新版 <働く>ときの完全装備──15歳から学ぶ労働者の権利』(解放出版社、2016年)、、ほか多数。

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DVについての伊田の

基本スタンス

DV論・DV加害者更生プログラム:

2000年代からは、伊田のジェンダー論においてDV論・デートDV、恋愛論の比重が高まった。大学だけでなく中学高校でも、デートDV防止教育を2006年ごろから頻繁に行ってきている。DVをジェンダー要因だけではなく、カップル単位/シングル単位の観点で説明し、非DV の関係の具体化に努力している。恋愛観・結婚観そのものにDVをもたらす要素があるとみて、シングル単位の恋愛観・結婚観に変更する必要性を主張(『デートDVと恋愛』大月書店 2010年)。

また2010年代に入ってアウェアの加害者プログラム研修を受けて、大坂で2014年から被害者支援充実の為の加害者プログラムを実施。ジェンダー視点/フェミニスト視点に加えて、家族システム論アプローチ、個人心理アプローチなども併用するスタンス。DV対策の欠如・欠陥を指摘して、改革案を2020年の伊田著『「DVと虐待」対策・改善提言2020』で提唱。

DV加害者プログラムについて伊田の考えをまとめたものとして、「脱暴力プログラムの受講命令を制度化すべき時代」(吹田市立男女共同参画センターデュオ編集発行『男性問題から見る男女共同参画――ジェンダー平等の実現と暴力・DV根絶に向けて(令和元年度 吹田市男女共同参画センター調査研究報告書)』2020年10月発行)がある。

また加害者プログラムに1年以上通った後の後期支援についての新しい提起として、

『加害者プログラム実施における「加害者変容後の支援のあり方」について』(Kindle版電子書籍  2022年5月)がある。



DVと恋愛、嫉妬問題:

DVの原因をコミュニケーション問題やジェンダー問題だけに限定することに反対し、家族単位意識を問題にすべきことを提唱。近代家族、ロマンチックイデオロギーや母性イデオロギーとつながっている恋愛観・家族観・カップル観・結婚観自体を問題として、根元的に恋愛観・カップル観をシングル単位のものに変える必要があることを提唱。「嫉妬は社会的暴力でDvです」というような教育の仕方を批判し、なぜだめなのかを分かるように伝える手法を開発。別れについての常識も見直すよう提起し「別れに同意はいらない」という原則、別れ方の具体的方法の教育、身の守り方の教育を重視する。

関連:樹木希林と内田裕也の結婚生活の美化はおかしい [21]



デートDV・ストーカー予防教育:

シングル単位論をベースにしたDV予防教育の内容を著書や講演で提唱。多くの予防教育の実践を中学・高校・大学でおこなっている。『シングル単位思考法でわかる デートDV予防学』(かもがわ出版、2018年12月)、『シングル単位のデートDV防止教育を広げよう ―― デートDV予防学 No.2』(Kindle、2019年5月、電子書籍& オンデマンド印刷書籍)など。特に別れの教育については、「別れの教育の必要性」( ストーカー事案再発防止研究会編(京都府警) ストーカー事案再発防止研究会報告書」2017年11月)で展開。

  拙著紹介「あなたは大丈夫!? 意外と身近な「デートDV」危険度チェック&予防策」 [1]


虐待論(DVと虐待の一体的対応の提起):

実際の事件の反省から、2020年にDVと虐待を総合的にとらえての根本的な対策の改革を提起している。伊田著『「DVと虐待」対策・改善提言2020』で提唱。

同書はDV加害者プログラムの知見を虐待対策に入れ込むべきことを提起している。2019年1月に千葉県野田市で、妻にDVをしていた夫が、娘の小学4年生、心愛(みあ)さんを虐待し死亡させた事件の検討を中心に、虐待対応の大幅な改善の提起を行っている。「対応や認識に甘さがあった」「会おうとしたが会えなかった」「虐待関係者のDVへの理解促進が必要」などと言う定番の言い訳を批判し、「検証」で言われていることにおいても不足(踏み込み不足)が多くあると指摘。心愛さんの母親(受動的虐待加害者という定義)よりも責任あるものが誰なのかを特定し、そのうえで、伊田がDV加害者更生プログラムを行っている経験やジェンダーの観点を踏まえて、特に今後検討・実施されるべき重要な「DVと虐待」対応についての具体的改善策を提起。具体的には、母親と児相などへの空論的な一時的非難と、子どもを親から強制的に引き離す「介入・分離」に議論が行きがちであるが、児相と市町村と警察の役割割分担の見直し、グレーゾーン的家庭に対する早い段階からのかかわりの充実化、虐待予防としての家庭への支援、安全確認・実態把握失敗の克服策、分離した後の支援、再統合への支援、虐待概念の見直し、DV対策自体の見直し等の諸点において予算を投じ具体策を講じていくべきこと等を訴えている。

同書の特徴として、1:加害者プログラム導入に関する指摘をしていること、2:千葉県検証・政府の現時点での対策の不十分・不足点を指摘、3:その他独自主張――面会調査絶対実施のための改革案の提起、モンスターペアレント(モンペ)的な親への対処の研修、説明責任とは何かのつっこんだ考察、担当者任せにせず組織的対応を進めること、そのためにも「下」の担当者も上司も処罰することの重要性提起、「被害者支援・虐待する母親支援」における意識改革、「心中」表現批判、警察と児相と市町村の分担変更、各機関の全部の情報共有化、児童虐待の予防強化、DVと虐待のワンストップセンターの提起、DV対策自体の受動性への改革提起、被害者支援の充実のポイント提起、DV対策における県と市町村の連携不足、児相の保護解除や解除後対応にあたっては要対協の協議を必須とすること、厚労省指針の体罰の定義の問題点、職員の男性割合増加、児童福祉司増加ではだめであることーーその他さまざまな指摘を行っている。

なお最近の事件を伊田の観点でまとめたものが以下。

2020年4月、福岡県5歳餓死“ママ友”によるDV的支配・虐待事件 [22]

2022年岡山・西田真愛(まお)さん虐待死事件 [23]


「虐待にかかわった母親厳罰化」に反対:

東京都目黒区や千葉県野田市で、妻にDVをしていた夫による子供への虐待殺人事件があったが、警察も裁判でもメディアでも世間でも、母親批判があり、共犯だとして重罪が課されているが、伊田はDV被害者の側面を軽視していると批判する。虐待に加担した責任はあるが、それはDV支配ゆえに虐待に加担させられた「受動的虐待加害者」であるとし、そうなる前に調査し支援し助けられなかった行政の側の方により重い責任があるとする。児相、市町村・家庭児童相談、警察、学校保育所、保健所、病院などの連携的関わりの不足不作為の責任追及(処罰)が甘い中で、母親に重罪を課すのは不平等であるし再発防止にならないとする立場。『「DVと虐待」対策・改善提言2020』で伊田は詳しく主張。


「共依存」批判:

伊田のシングル単位論は自立重視であり、共依存批判である。共依存を評価しようという見解への批判的な意見を書いたものとして、伊田著「自立概念の豊富化――依存の美化の危険性」立命館大学生存学研究センター 『立命館生存学研究』VOL.2(2019年3月)がある。

また共依存的な映画へのコメント 映 画『リービング・ラスベガス』批判 [24]



共同親権・面会交流・養育費について:

伊田は北欧社会に親和的で、一般論・将来の方向として共同親権が原則であるべきと考えているが、日本の現状を踏まえて、単親親権から共同親権にしようという運動に対して、DV被害者の現実を踏まえて対応がいると考えている。離婚後の面会交流や養育費不払い男が多い問題についても同じ。右派・反フェミニズムの勢力による、共同親権要求運動には批判的なスタンス。これについて、伊田著『DVと虐待』に伊田の見解が掲載されている。その中で、朝日新聞・2017年9月21日に掲載された大森貴弘・常葉大学講師(憲法学)の共同親権についての意見を読んで驚いて、伊田が翌日に批判を書き、その後論争になった経緯をまとめたものが載っている。上記『DVと虐待』のなかに、「DVと面会交流――面会交流で子どもを殺した伊丹事件に関連させて」という原稿として再掲している。それは離婚したうえでの父親の面会交流での子ども殺人事件(伊丹事件)」に関する学者の「実態を知らない暴論」について批判する内容である。

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DV関係情報



2022年 DVに関する新著


『加害者プログラム実施における「加害者変容後の支援のあり方」について』

(Kindle版電子書籍 2022年5月、ペーパーバック版書籍2022年6月)

著者 伊田広行 (イダヒロユキ) 


アマゾン ペーパーバック版

加害者プログラム実施における「加害者変容後の支援のあり方」について | 伊田広行 |本 | 通販 | Amazon

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紹介文


本書は、DV加害者プログラムを通じて見えてきた新しい課題についての著作である。

加害男性が1年以上プログラムに参加して反省して一定変容した場合でも、夫婦関係の修復が困難な場合が多い。そこで本書では加害者が1年(約50回)以上のプログラムに参加し続けて一定の変容を遂げた後、当該パートナー関係に対してどのような支援を行うことが必要かについて検討した。そこには、家族療法、オープン・ダイアローグ等の知見も付加した。

検討の結果、実際のパートナー関係の多様性に臨機応変的にかかわること、特に加害者プログラムに一定参加した後の支援の仕方について、それを「後期支援」と名付け、家族全体にシステム的観点でかかわることや「前期支援」と対応を変える必要性などを示した。

DV被害者にとって、別れること、別れさせられることだけが利益ではないので、加害者プログラムをいれ、被害者の安全確保及び選択肢を増やすことが重要である。別れて貧困(ワンオペ育児の大変さ含む)が多い現実のなか、被害者にとって総合的に見て最も“まし”な現実的な落とし所をみつけていくためにも、単純な因果関係のみでDVを捉えるのでなく相互循環的に関係性をとらえての後期の支援が求められている。

加害者プログラムを経由させての後期の支援を考えた場合、「パートナー間の問題言動の7段階」の各段階に応じて、時には心理的アプローチ、フェミニスト・アプローチに加えて、家族システム的なアプローチ(それにもとづく、従来フェミニスト系ではタブー視されていた家族療法、カップル・セラピー)も取り入れる必要があると判断した。

具体的には、DVが絶対的に犯罪的悪事であることや過去に犯したことの責任を取ることや被害者中心主義も踏まえつつ、各状況・各関係に応じて、被害者支援の充実のために家族システム的な視点も入れて、今の問題状況の改善策を夫婦双方への支援及び夫婦同席スタイルで一緒に考えていくことは有効であると主張する。

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目次

内容

1 問題と目的... 4

2 加害者対策と被害者対策の現状... 6

2-1 加害者対策、加害者プログラムの簡単な現状... 6

2-2 被害者支援の枠組みが古い問題... 7

2-3  内閣府の「留意事項」(ガイドライン)の問題点... 12

3 DV の基本認識と実際のパートナー関係の多様性... 27

3-1 家庭内の「諸問題=もめごと」には多様なものがある.. 27

3-2 DVの基本認識とジョンソンの「性行動をとる子供の分類」... 32

3-3 筆者による「パートナー関係における問題言動」の分類... 33

3-4 DV対策・支援の充実を目指しての現実認識... 41

4 多様な関係に臨機応変的にかかわるときに、「忘れてはならない点」. 43

5  「加害者プログラム後期支援」の充実が新課題... 54

5-1 「加害者プログラム後期支援」とは何か... 54

5-2 「後期支援」が必要な理由... 60

5-3 3者面談も入れた後期支援の試み... 78

5-4 家族療法とDV支援――システムとしての家族というとらえ方... 83

5-5 ゲーム理論に関連してのDV関係の考察... 96

5-6 被害者も変わることが大事――被害者の変化をもたらす関わり... 101

5-7 多様性が求められる後期支援のあり方 (ここまでの話の再整理)... 125

5-8 実例で考える「従来とは違う支援」―― 相互に問題がある例や面会交流などにかかわる支援例... 140

全体のまとめーー 結論と提言... 151


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2015年「人民新聞」著者インタビュー

『デートDV ストーカー対策のネクストステージ』

DV加害者プログラムNOVO(非暴力ルーム・大阪)

伊田広行



当事者の力

編集部:DV加害者プログラムをはじめた理由は?


伊田:当初は、中高生や教師、行政・医療関係者を対象に予防教育の講習を行っていたのですが、DVは、被害者支援とともに加害者が反省して変わることがセットにならないと解決しないと思うようになりました。

 加害者への対処は、腐ったミカンを取り出すようにその場から放り出したり、厳罰化で抑止するだけでは解決しません。

 日本の加害者教育プログラムは、始まったばかりです。蓄積も実績もほとんどない上に、大きな責任を背負うことになりますので、躊躇はありましたが、1年間の研修を受講することから始めて、14年4月にNOVOを開設しました。

 NOVOでは、当事者がグループで話し合いますので、経験の浅い生半可なカウンセラーよりも説得力があります。こうした話し合いを重ねた人は、場の助言者の役割も担うようになりますが、自分の経験を語るので、「上から目線」にもなりません。今回の本でも、専門家による「治療」ではない方法や考え方を解説したつもりです。

 「治療」は、専門家が「病人」に対する時の言葉です。そういう医療モデルではなく、当事者自身の語りの中から気づきと現実的な解決策を見つけ出そうという方向です。

 DVは、対人関係において暴力を選択しているので、暴力以外の方法・選択肢を考える訓練が基本となります。

 ただしDVをコミュニケーション技術の問題と捉えてしまうと、「相手にも問題がある」という逃げ道を作ってしまうことになります。原則は、DV加害者が100%悪いということです。たとえ先に相手が暴力を奮ったとしてもそれは相手の問題であって、本質的には、暴力で応じた自分の問題を語ることが変化に通じます。



先が見えない時代の希望


編:新自由主義の中で、自分を序列化し、下位にいる劣等感を植え付けられ、将来展望を見いだしにくい社会なので、怒りのマグマが全体に肥大化しているように見えますが…。

伊田:確かに長時間労働でクタクタだとか、上司のパワハラなどでイライラ感があると暴力につながりやすいと思います。これらは、確かに要因の一部でしょうが、しかし、だから殴るというのは飛躍があります。感情や環境のせいにしないで、暴力を肯定する自分自身の要因に向き合うことが、原則です。

 特に若者は、激しい競争に晒されて劣等感をもっている人は多いし、そういうしんどい空気は感じます。「就活なんて所詮この世の中での椅子の取り合いなんだし、別な生き方だってある」と思えば、それほど落ち込むことはないのですが、主流秩序を内面化しすぎると、就職できないからダメ、恋愛できないからダメとなって、劣等感とイライラが募ることになります。

 しかしこうした若者にしても、社会環境や構造の問題を提起する左翼的言論に対しては、「自分がポンコツなんだ。他人のせいにできない」という自己責任論で自分を責め、右に流れているのが現状でしょう。

 今の日本は、低成長経済で競争が激しく、バブル期のように好景気で浮かれている時代ではありません。世の中はより複雑化して見通しがきかなくなっていますので、それだけに格差や貧困について考え、自分は何のために生きるのか? 幸せとは何か? を考えざるを得ない時代です。ここに希望があるのかもしれません。


人は変わりうるのか?


 当事者プログラムをやると、丁寧にやれば人は変わることができると実感できます。DV加害者は、暴力的でジェンダー意識が強い人が多いのですが、パートナーや家族を失うところまでいくと、本気で変わろうともがきます。そこに適切な教育の場があれば、人は変われます。

 ただし、頭の良い人は口先で謝罪し、反省を示すこともできるので、「人は簡単には変われない」と言い続けて、長期間(1年間が基準)プログラムに関わってもらうようにしています。

 当事者グループの話し合いでは、本音を語り、実践的な対処法を出し合いますので、日常生活が着実に変わっていくのを目のあたりにできます。最初は嫌々でも家事をするようになれば、その体験が蓄積され、意識の変化に結びつきます。

 日本の加害者プログラムは、まだまだ黎明期なので、加害者が本気で変わらねばと思っても相談する場がないのです。これをパイロットモデルにして広げていき、最終的には、DV加害者は原則として全員が受けるプログラムに成長させたいと思います。



逃げる思想  非暴力の負け戦


編:非暴力原則といっても、抑圧者の暴力と被抑圧者の暴力は違います。被抑圧者の暴力も否定すべきですか?


伊田:社会が大きく変わる革命的な時代に、合法主義・非暴力原則は、解放勢力の手足を縛ることになるので、レジスタンスの非公然闘争や抵抗の暴力まで否定するつもりはありません。

 しかし、時代によってポイントは変わるべきです。安倍政権が国家の軍事化を進め、社会がどんどん暴力的になっているからこそ、同じ土俵で闘うのではなく、ガンジー的な非暴力主義が強調されるべきでしょう。

 力では負けるだろうけれども、今は非暴力原則を徹底すべきだと思います。拳銃が出てきたら拳銃で対抗するのではなく、「逃げる」という選択です。

 「従属」と「逃げる」は違います。たとえばイジメに対しては、もう学校などには期待しないで、自分で証拠を残して弁護士に相談し、裁判をやって闘うという方法を身につけることだと思います。

 非暴力闘争のイメージは、やられたらまず逃げて身を守り、世界中に発信して、世界世論で反撃することです。ガンジーの非暴力は、殺されても非暴力を貫き、徹底した不服従で対抗するという思想です。とても過激で、強さを必要とする闘争方法だと思っています。

  • http://novohibouryoku.jimdo.com/

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『加害者プログラム実施における「加害者変容後の支援のあり方」について』

(Kindle版電子書籍  2022年5月)

著者 伊田広行 (イダヒロユキ) 



内容

1 問題と目的... 4

2 加害者対策と被害者対策の現状... 6

2-1 加害者対策、加害者プログラムの簡単な現状... 6

2-2 被害者支援の枠組みが古い問題... 7

2-3  内閣府の「留意事項」(ガイドライン)の問題点... 12

3 DV の基本認識と実際のパートナー関係の多様性... 27

3-1 家庭内の「諸問題=もめごと」には多様なものがある.. 27

3-2 DVの基本認識とジョンソンの「性行動をとる子供の分類」... 32

3-3 筆者による「パートナー関係における問題言動」の分類... 33

3-4 DV対策・支援の充実を目指しての現実認識... 41

4 多様な関係に臨機応変的にかかわるときに、「忘れてはならない点」. 43

5  「加害者プログラム後期支援」の充実が新課題... 54

5-1 「加害者プログラム後期支援」とは何か... 54

5-2 「後期支援」が必要な理由... 60

5-3 3者面談も入れた後期支援の試み... 78

5-4 家族療法とDV支援――システムとしての家族というとらえ方... 83

5-5 ゲーム理論に関連してのDV関係の考察... 95

5-6 被害者も変わることが大事――被害者の変化をもたらす関わり... 100

5-7 多様性が求められる後期支援のあり方 (ここまでの話の再整理)... 124

5-8 実例で考える「従来とは違う支援」―― 相互に問題がある例や面会交流などにかかわる支援例... 139

全体のまとめーー 結論と提言... 150



「はじめに 1」と「結論」を紹介しておきます。

1 問題と目的

従来、日本において、DV 加害者プログラムへのアプローチとしては「 アウェア」のようなフェミニスト系のものが主流であった。これは米国ドゥルース・モデルをベースとしたもので、被害者支援の観点を中心に、加害者に DVと家父長制(ジェンダー差別構造)を学ばせ反省させ再発防止を促すものであった(約1年受講のプログラム)。「RRP」のプログラムは認知行動療法を中心にした5か月弱(18回程度)の短いものであった。とはいうものの、両者とも認知行動療法の側面もジェンダーの学びも併せ持つ柔軟な学びの体系を実際は持っている。

私は大阪で2014年から仲間とともに DV 加害者プログラムの実践を行っている。アウェアのやり方を中心にしつつもその他の様々な要素を加え実施しながら改善を積み重ねてきた。そこで見えてきたことが、加害男性が1年以上プログラムに参加して反省して一定変容した場合でも、夫婦関係の修復が困難な場合が多いという問題である。そのため本稿では加害者が1年(約50回)以上のプログラムに参加し続けて一定の変容を遂げた後、当該パートナー関係に対してどのような支援を行うことが必要かについて検討する。そこには、家族療法、オープン・ダイアローグ等の知見も付加して検討を行う。

検討の結果、実際のパートナー関係の多様性に臨機応変的にかかわること、特に加害者プログラムに一定参加した後の支援の仕方について、それを「後期支援」と名付け、家族全体にシステム的観点でかかわることや「前期支援」と対応を変える必要性などを主張する。

なお、後期支援のあり方、従来のやり方の反省の仕方などについて、NOVOの中でも意見の濃淡、ニュアンスの違いなどがあるので、本稿はあくまで伊田個人の見解を述べたものとご理解いただきたい。また本稿で扱われている事例については、プライバシーを考慮し、全て筆者の面談やNOVOでの複数事例及び文献などの資料を組み合わせた架空のものである。



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全体のまとめーー 結論と提言


DV被害者にとって、別れること、別れさせられることだけが利益ではないので、加害者プログラムをいれ、被害者の安全確保及び選択肢を増やすことが重要である。NOVOの支援の経験の中で、夫が1年(50回以上)以上かかって一定改善した後の、夫婦への「後期支援」の検討(開発・充実化)が必要である。従来の加害者プログラム内容だけでは足りないことが判明した。そこにおいては被害者に対して夫との対立を煽るようなかかわりは不適切である。被害者によりそう精神的ケア、被害者意識の確立は初期には大事だが、そればかりだと被害者支援として欠陥があることを指摘した。別れて貧困(ワンオペ育児の大変さ含む)が多い現実のなか、被害者にとって総合的に見て最も“まし”な現実的な落とし所をみつけていくためにも、単純な因果関係のみでDVを捉えるのでなく相互循環的に関係性をとらえての後期の支援が求められている。被害者と加害者双方に関わり続ける意義も認知が広がるべきである。ジェンダー観点を踏まえたDV被害への正しい理解に基づく被害者中心主義というフェミニズム視点を維持しつつも、ドグマにとらわれることなく総合的支援へ積極的試みを開発していくべきであり、支援の豊富化が必要ということで、プログラム実践の中での試行錯誤でみえてきたものからの提案をしてきた。

加害者プログラムを経由させての後期の支援を考えた場合、「パートナー間の問題言動の7段階」の各段階に応じて、時には心理的アプローチ、フェミニスト・アプローチに加えて、家族システム的なアプローチ(それにもとづく、従来フェミニスト系ではタブー視されていた家族療法、カップル・セラピー)も取り入れる必要があると判断する。家族・パートナー関係には多様性があり、一律の答えを押し付けるべきでない。「不適切なカップル・カウンセリング」のマイナス・危険性を意識して、そうではないように意識しながら、加害者と被害者双方にかかわり、関係性に注目し調整もしていくアプローチが必要と認めるべきと考える。

具体的には、DVが絶対的に犯罪的悪事であることや過去に犯したことの責任を取ることや被害者中心主義も踏まえつつ、各状況・各関係に応じて、被害者支援の充実のために家族システム的な視点も入れて、今の問題状況の改善策を夫婦双方への支援及び夫婦同席スタイルで一緒に考えていくことは有効である。


以上

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DVについてのQ&A

​​デートDV 含めて

今まで各学校に行ったときに、学生さん、生徒さんから出てきた質問に答えています。

デートDVの学び(講座)の後の質問ですが、中学、高校、大学、色々な質問が来たので、それにも答えています。

***

これが唯一正しいということではありません。多様な考えがあるかと思いますが、私は、こう考えるよということです。参考にしてみてください。


Q●「嫉妬する権利はない」とありましたが、嫉妬心はだ絵でもあると思います。それをどう処理していくかが問題で、嫉妬することを否定据えることには疑問が残りました」


A時間が短かったので十分に説明できなかったので上記のように思われたのかと思いますが、

私が資料に書き、授業で説明したかったこと(これまで拙著で書いてきたこと)は、「内面で嫉妬心があるのは仕方がないし、それは思想(内面)の自由でもあるが、その気持ちを表に出して現実的に相手の自由や安全を脅かしたり成長を邪魔したりすれば、それは相手への暴力的なかかわりになる」ということです。戦争や殺人やレイプを頭の中で考えていることまでは誰も邪魔できませんが、それを行動に出すとだめとか、相手の体に触りたいなあと思っても、それを相手の承諾を得ずに行ってはだめということと同じようなことです。自分の恋愛観や感情を正しいとして相手に押し付けてはなりません。


Q●恋人の間のDVのはなしでしたが、家族の間でDVはあるのですか?

→夫婦間はあります。親子、兄弟ではDVとはいいませんが、同じような権力関係、力の強いもんが弱いものをいじめるとか、苦しめる、支配するということはあります。


Q; 束縛はカップル間でよくあることだと思う。しかし行き過ぎた束縛はデートDVに当てはまる。例えばテキストの16pのように、携帯をチェックしたり、自分の思い通りにいかなかったら言葉で責めるなど。異性と2人で遊びに行くのを禁止するなど、お互いの信頼関係を築くための束縛はいいと思う。しかし遊びに行くたびに疑ったり、自分の思い通りに服従させるのはカップルというより、奴隷に近い。だから信頼関係を築くことが大事だと思う。


A→  「2人で遊びに行くのを禁止する」のは、きもちはわかるが、DV的です。というのは、禁止する必要はないからです。「二人ともこのルール」というのは、こっちも禁止を守るからそっちもいう「ギブアンドテイク」、相手の自由を制限しています。二人で遊んでもいいじゃないですか。帰り道でいろいろ話すのも、喫茶店で話すのもダメですか? 遊びとそうでないこととの境界線は? 相手を信じていれば相手の友人関係を制限する必要はないです。

Q1*友達でもDVは行いますか?


A:「友達Aさんが、その友人のBさんにDVを行うか?」という質問と理解しました。

恋愛関係でないなら、厳密な意味ではDVと呼びません。それは友人間の支配関係ということなので、通常は「いじめ」とか「主従関係/支配的関係」とよぶようなことかとおもいます。しかし、質問の意図は、友人間でも「DV のようなことはあるのか」という意味と思われるので、それに対しては「はい、友人の間でも、DVのような支配関係はあります」と答えます。偉そうに言って相手に屈辱を感じさせる関係、パシリをさせる関係、いじって笑って相手を嫌な気持ちにさせる関係、殴る関係、どなる関係、無視する関係。悪口を言いふらす関係、排除する関係などいろいろあります。友人御間でそういうことが起こることはあるので、そういう場合、証拠を残し、大人に相談してください。


Q2*男なり、女なり不倫した時はかってにスマホの通話履歴かトーク履歴見ていいのはなんでなんですか?


A:「AとBが交際/結婚していて、Aが不倫した時に、BはAの同意を得ずにかってにAのスマホの通話履歴やトークや履歴を見ていいのはなぜか」という質問と理解しますね。

まず、「Aが不倫した時に、BはAの同意を得ずにかってにAのスマホの通話履歴やトークや履歴を見ていい」とは決まっていませんよ。どうして決まっているかのように思うのですか? 誰かに言われたのかな? 

推測すると、浮気は悪いことで、(通常は勝手に携帯を見てはだめとしても、)浮気の場合は、その証拠をつかむためには、勝手に相手の携帯を見ることは許されるという考えの人が、あなたのまわりにいるのでしょうね。世間の大多数の人の考えは、そういうところかとおもいます。

この問題を、相手を支配しない、それぞれが自立している『ゆで卵の関係』の観点から考えると、浮気をして相手を苦しめるようなことをすることがまず問題です。それは暴力的攻撃です。そのようなことをして相手を苦しめる人は、恋愛する資格はありません。浮気した人はチャンと謝って、別れて、自分の生き方を見直して、今後しなくなるまでは恋愛しないことです。

次に被害者=浮気された人は、苦しいし、怒りの気持ちを持つのは分かります。しかし、その時に暴力を使って攻撃してはなりません。浮気されたら、すこしだけ怒って言いたいことを言って、そんな人とは別れるのがいいと思います。後は傷を癒してください。証拠を得るために、あるいは真偽を見極めるために、携帯などを相手の許可なく見るという行動をしたい気持ちはわかりますが、その行為も、相手のプライバシーを侵害する暴力的な行為の一種と言えると思います。だから調べるというより、ちゃんと相手に聞いたり、自分で判断して、信用できる人なら付き合ったらいいし、信用できないと思ったら、そんな人とは付き合わない方がいいと思います。それが私の答えです。実際の人間の感情は複雑なので一概には言えないことも多いですが、「信じられないから、相手の携帯をみないといけないような関係」こそ、もう相手を信じられないようになっているということです。大事なことは「本当にやさしい人、心が豊かな人、心がきれいな人、相手を傷つけない人」と付き合うことです。暴力的だったり、浮気するような人とは別れましょう。



Q3*伊田さんは同性同士が結婚してはいけないことについてどう思ってますか?私はバイだと思うので同性を愛した時が怖いです


A: LGBTQなど多様な性のあり方の人がいます。顔が違うように、皆一人一人の性のあり方は違うし、それぞれが、上下なく、平等に尊重されなくてはなりません。だから、異性愛の人しか結婚できないというのは、人間の権利を侵害した差別の状態と思います。早急に、同性の人でも、Xジェンダーの人とかいろいろな人でも、とにかく二人が同意すれば結婚ができるようにしたらいいと思います。世界ではそうした国が増えています。日本は非常に遅れています。

なお、結婚しない人、交際しない人、恋人がいない人、セックスしていない人、性欲がない人、恋愛欲がない人、もてない人などいろいろな人がいますよね。結婚した人だけの特権をなくしていった方がいいと私は思っています。同性であれ異性であれ、素敵な人を好きになって悪いはずがありません。怖くなる気持ちも分かりますが、今はLGBTQ当事者の人と出会いやすくなっています。ぜひ接触して先輩たちの声を聴いてください。

 

***

質問

ドラマのすてきなシーンも相手への暴力になりかねないということに驚きました。

 漫画やドラマでよくある「壁ドン」なども暴力になるのですか?


お答え

「壁ドン」は素敵な彼氏(A)が、女性(B)に対して壁際に追い詰めて逃げられないようにして、顔を近づけて、俺様的に何かを言ったり、告白したり、キスしたりするようなことですね。男女逆のバージョンもあるかもしれませんし、同性愛の場合もあるかもですが、おおむね、男性が壁ドンをする側でしょう。

さて、物語の中では、女性は素敵な彼氏にそんなことをされたらドキドキして、うれしく思うことがよくあるようです。強く迫られる、男らしい強引さ、そして何より好きだと告白されるうれしさ、そういうのが、素敵に感じる場合もあるでしょう。でもそれは、大前提が「素敵な彼氏で、自分も相手が好きなので、そうされてもいやじゃなくて逆にうれしい」という場合だということです。

でも、AがBに「俺様的に言う」とか、「告白する」とかがうれしくない場合はどうでしょう。つまり好きではない、素敵と思っていない、告白されたいと思っていない、ような場合です。その時に、単に知りあいとか友達とか同僚、先輩と思っているひとが壁ドンをしてきたら、Bさんの意志を無視して、逃げられないように手で壁際に追い詰められるのは嫌なことと感じるでしょう。そこで一方的なことを言われたら怖かったり、嫌に思うでしょう。

だから実は、壁ドンは相手を逃げられないようにする危険で、暴力的な行為になることがありうるのです。交際している恋人や夫婦でも、Aが日ごろから怖くてDV的なことをしている人で、BさんはAさんに逆らえないような力関係になっているとしたときに、壁ドンのようなことをされて何かを強く言われるのは怖いでしょう。

ということで、すごく好きな人から告白されるシチュエーションとして、時には壁ドン的なものもありえるとおもいますが、それは稀(まれ)なことで、多くの場合、Aが一方的にBさんの身体的な自由を奪い、エラそうな言い方で何かを言うので、Bさんには暴力的と感じる場合が多いものと言えるでしょう。つまり、安全・安心がないし、自由もないのです。Bさんの意思や気持ちを尊重していないのです。

結論として、壁ドン的な、「一方的に、こうしたら相手が喜ぶはずだと思ってやる自己中的な行為」はだめだということです。相手の意思・安全を尊重しながら、対等な言い方で話をしましょう。

***


Q:「*自分はあまりいじめられていないので、質問したいのですが、いじめられている人を見たら、  できるだけ見てあげないほうがいいと言うふうに言っていましたが、見て見ぬふりができず、 声をかける時、どうすればいいですか?」

A:→ お答え:短い時間で早口で言ってしまったために誤解を与えたかもしれませんが、「弱いものをいじめるのはDVと同じでひどいことだよ」「いじめを見たときにはできるだけ、いじめている人に加担せずに、いじめられているひとのそばに行って友達になってあげてほしい」「いじめられた時には反撃してもいいし、先生に相談に行ってもいいんだよ」と伝えたかったのです。ですから「いじめられている人はできるだけ見てあげない方がいい」とはおもっていません。みて見ぬ振りができないのは素晴らしいと思います。その時に声をかけるとしたら、「大丈夫?」というところからはいって、その人の気持ちを否定せずに聞いてあげてください。そして親友とまではいかなくてもいいので、普通の友達として、挨拶したり、少し話をしたりしてあげてください。そしていじめに悩んでいたら、一緒に先生のところに相談に行ってあげてください。

****************


Q:「*質問です。AさんとBさんがいて、Aさんに内緒でAさんとBさんのLineをBさんが他のだれかにばらすのは、DVなのですか?」


A:→お答え:ふたりのLINEのやり取りを相手(Aさん)の同意も得ずに、勝手に他の人に見せたらよくないですね。Aさんがそういう事をしてほしくないのに、それをBさんがしたらBさんはだめです。二人が付き合っていたらDVです。まずは、AさんからBさんに「そういうことは勝手にしないでほしい」と言ってください。それで解決すればいいですね。それでも解決しないときには、BさんにLINEを送るのをやめましょう。また大人の人に相談してみてください。


Q1: もう何年も好きな人がいて、その人に11月くらいに告白するつもりですが成功すると思いますか?


A:→ それはわかりませんが、どうだったでしょうか。でも勇気をもって告白した経験自体が眩しく、いいなと思います。うまくいったらいいし、だめでもいい思い出になるでしょう。言われた方も、一生覚えている可能性があります。誰かに告白されるというのもいい経験です。フラれても怒ったりひどいことを言ったりしてはいけません。悲しい経験を味わい、泣いて乗り越えましょう。


 Q2: DVについてよく分かった。自分は彼氏がいるんですが、その彼氏と「命令権」というルールを作って、 命令をしてやってもらうのはDVですか?(彼氏が自分に命令権をつかったり、自分が彼氏に命令したりすることです)

A:→ 「安全、自信、自由、成長」が侵害されているかどうかですね。「命令権」を使って頼まれたことが嫌ではなくてしてあげたいことなら、「安全、自信、自由、成長」が侵害されていないのでDVではないです。いやなこと、無理なことは断ってください。断ったときに相手が「命令には従うルールやろ」と怒って強制するようならDVです。命令権を使う回数も、お互い半々ぐらいで、嫌でないなら、「お願いカード」くらいのつもりで使ったらいいでしょうね。誕生日だからこういうプレゼントほしいと言ってもいいというような程度なら楽しそうでいいと思います。「命令」という言葉がきついですが、「お願い」「私の希望」という程度で、相手方に断る余地(自由)があること、安全があることが大事ということです。


Q●結婚後のDVまたは、デートDVだと気付いたとして、そこから抜け出すあるいは解決するための具体的な方法をお教えください。

Q●デートDVをした人・された人は実際にどのようにしてその問題を解決したのか。


A: → DVしている(自分は加害者だ)と気づいたら、まず相手に謝り、これからはしないようにする。相手の話を聞いて、自分のかかわり方を根本的に変えていく。どうしても怒ってしまってまた暴力をふるったり、大声を出したり、ものを投げてしまうような状況なら、相手とは別れること。そのうえで、加害者更生プログラムや更生カウンセリングに通うこと。


DVされている(自分は被害者だ)と気づいたら、まず先生や友達や親や行政のDV相談などに相談する。そして恋人(加害者)にどのようにかかわればいいか作戦をたてる。

相手が非常に危険な人なら大人を入れて別れ話をする。そして再び接近してきたら警察にも言って注意してもらう。

危険でない人なら、相手と話をして、もう暴力を振るわないようにできるか聞く。できるというなら様子を見て本当にDVをしないようになっているか見ていく。相手に、先生と話をするなどしてDVの勉強をし続けるように言う。

その結果、改善しているなら付き合い続けてもいいが、もしまた再び怒るとか怖いと思うようなことがあれば、先生などに相談して別れる。治っていないなら別れる。

また、DV被害者は、心身が傷ついていることがあるので、先生や医者(カウンセラー)に相談して、傷ついていれば治療し(癒し)ていく。


とにかく早い段階で相手と話し合うことや先生・友達に相談することが大事です。友達は、良く話を聞いて、DVが悪化しないように気を付けましょう。



Q●小さいことまでDVとして非難すると、人間関係が画一化されて、味気ない人生になるのではないか


A:→ そんなことはまったくないですよ。むしろ逆です。DV的でないからこそ、安心していろんな話が楽しくできるのです。全然暴力的でない安心できる関係というものがあります。話が盛り上がり、楽しいものです。「偉そうにったり、大声を出したり、ぶすーとしたり、悪くとって怒ったり、ひがんだりする」のでなく、常に楽しくかかわれるように、自分のコミュニケーション能力を高めてください。



Q●恋人とのいがみ合いを全否定するように聞こえた。


A:→ 小さな対立やけんかやいがみあいは人間関係には確かにあるかもしれません。それが軽いものならDVとまでは言えません。しかし、それを放置して、「ちょっとくらい怒ってもいいのだ」と思っていると、暴力性・支配性に甘くなっていき、DVになっていきます。安全で穏やかな関係になれるよう、練習してください。


Q●この時期に、この学校でする話ではない。受験シーズンで男女成績至上主義だから


A;→ あなたは今は勉強を頑張っていて恋愛に関心など向けていられないという心境なのかもしれません。しかし、この話は将来、役立つし、今の人間関係を見直すうえでも大事なので、わずか1時間ちょっとの時間を割くぐらいの余裕があってもいいんじゃないかな。

そしてはっきり言いますが、もし受験勉強がなにより一番大事と思っているなら、それは偏りすぎている狭いものの考え方と言えると、私は思います。勉強も大事ですが、高校生活自体を楽しむこと、友達との関係、クラブ、趣味、音楽、読書したりテレビや映画を見ること、家族との交流、受験以外の学び、だらっと休むこと、などなどいろんなことが大事です。恋愛しているならその恋人との関係も良いものにすること大事です。ですから、勉強とそれ以外を両立するぐらいの気持ちでやってください。

​大学では、貴方のような受験重視、学歴重視の考え自体の狭さに気づくような講義があります。考えていって下さい。


Q●デート時の相手の元気がないのは仕方が無い。

A;→ 元気がないのが、恋人であるあなたのせいであるならば「仕方ない」などとは言っていられません。すぐに自分のかかわり方を見直すべきです。あなたに関係ないことで、恋人が落ちこんでいたり元気がないなら、そっと見守りつつ、相談相手になったり、明るくなるよう励ましたりするのがいいと思います。


Q●犯人を増やしているだけではないか

A:→ やっていることを軽視する人は「なんでもデートDVといって大げさだ。」と考えます。その意味で「犯人を増やしているだけではないか」と言っているなら、その「暴力への甘い認識」を改めてください。



Q●質問:「異性とつき合うときに気をつけるべきは何ですか。」


A:広い質問なので、答えはいろいろあるかとおもいますが、デートDVに関連させて思いつくことを書かせてもらいますね。

まず、流されすぎないこと。初めて付き合っていろんまこと、とわからないことも出てくるけど、従うしかないと思うんじゃなくて、いやなことはいやという。チャンと話し合う。特に性的なことは、言いなりにならないこと。

2つ目は、相手の嫌がることはしない。背のびし過ぎない。大きな声は出さない。絶対に怒なってはだめ。

次に、3つめとして、心配とか嫉妬の気持ちが出ているかもしれないけれど、束縛しないで相手を信頼すること。相手の自由を奪わないこと。なんでも知ろうとしないこと。

4つ目は、長電話しすぎないこと。これはメールとかラインのやり取りでも同じ。そればかりしていると勉強とかの時間が無くなるから。

5つ目は、勉強とかクラブとか友達との時間を犠牲にしないこと。恋愛しているからこそ、他のことも楽しく頑張らなくっちゃ。

最後に、異性だからと言って特別と考えず、同性の友達としてかかわる様にかかわってみましょう。なんかええかっこしてぶりっこしたり、男らしくとか御ンアらしくとか演技するんじゃなく、自分を正直に出して楽しみましょう。それでダメになるなら別れたらいいんだから。恋愛しなくてもいいけど、したら色々な「人生の勉強」「いい経験」「練習」になるので、思い切ってトライして楽しみましょう。


付け足しとして、何かわからないことや困ったことがあれば、絶対に早めに相談してね。



Q★DVの加害者はその後どうなるのか

 A:返答: 加害者は、DVのことを勉強してその後態度を改めると、加害者的な言動は取らなくなります。自分で変わらなくても、先生や恋人、時には友人や先輩からのアドバイスや苦言で態度が変わっていくことがあります。特に、恋人を失いたくないから、恋人が離れそうになるとか、恋人が怒ることで、あるいはとても苦しそうなのを見て、態度を改めていくことがあります。

しかしそうした人はほんの一部で、多くの加害者は変わらないまま、また次の恋人にもDVをして、結局、恋人をまた失うとか、恋人を傷つけてしまうでしょう。

被害者が訴えると、時には加害者は警察に逮捕され、少年院に入ることになります。そこまでいかなくても退学とか、処分を言い渡されます。

親や先生から怒られるという場合もあるでしょう。そうして初めて後悔したり反省する場合があります。

私としては、そうしたことにならないように、デートDVのことを学んで、加害者を卒業してほしいと思います。


Q★自分の素直な気持ちをきちんと伝えるのはどうしたらいいのか


A:返答: これは友人に対してか好きな人に対してかによって違ってきます。

好きな人の場合、なかなか自分の素直な気持ちを伝えるのは難しいですよね。で、言えないまま悶々とするのも、又楽しいと思うくらい心に余裕を持ちましょう。つまり片思いのままでもいいということです。

次に、伝えても、上手くいくとは限りません。だから「ダメ元」と思う余裕も大事です。そしていろいろ考えても結果は同じなので、時間をとってもらって思い切って告白すればいいでしょう。手紙やメールでも悪くはないですが、直接会っての方がいいと思います。あるいはデートに誘うというのでもいいでしょう。それで断られたら仕方ないので、泣いて失恋に浸りましょう。つまりポイントは、当たって砕けろ、ということです。失恋しても人生のいい思い出になるでしょう。何も恥じることはないです。

友人に対してなら、「ちょっと真面目な話があるんだけど」といって、どこかでじっくりと話す時間をとってもいいし、長い手紙を書いてもいいかも。

素直に話すことに慣れていない人は多いですが、キャラを作って無理している人は、大事な人には、そんな無理を脱ぎ捨てて、とにかく本気で話せばいいと思いますよ。

あと大切なことは、伝えるためには、同時に相手の話もよく聞くことです。相手の気持ちも想像して、相手の本気や素直な気持ちを聞きましょう。

質問にあった答えになっていないような気もしますが、とりあえずおもいついたのはこんなところです。


Q:「付き合う前に DV男だと判断するにはどうしたらいいでしょうか」


A: 巧妙に自分のDV加害者性を隠す人なら見抜くのは困難です。「これってDV的?」と思った時点で、「そういうのは好きじゃないからやめて」と言ってみること。それで正体がわかります。「そうか、ごめん」といって、以降、態度を改める人なら大丈夫と思いますが、逆に怒ったり、態度を変えない人はダメでしょう。

付き合う前にではなく、実際に付き合う中で、自由、安全、自信、成長を減らされていないかどうかで、関係をチェックするのが「対策の原則」です。グレーゾーンのどのあたりになっているか、考えることです。


だれが加害者になるかは事前的には機械的には決めつけられません。地位があるとか外面がいいということでは、わかりません。

ただし、DV加害者の特徴としては、たとえば、以下のようなものが見られることが多いので、知っておくといいでしょう。


共感性が欠如している。(相手の感情、特に苦しみがわからない)

すぐに、キスやセックスをしようとする、すぐに付き合おうとする。すぐに結婚、同棲を言ってくる。

過去、何回も「恋愛/別れ」「結婚/離婚」を繰り返している。

過去にDVをしたことがある。過去に人を殴ったり、傷害事件を起こしたりしたことがある。

支配欲・独占欲・束縛意欲が強く、病的なほど嫉妬深い。

ジェンダー(性別役割)意識が強い。男を立てる従順な女がよいと思っており、そのようになるようにしばしば説教する。

自己中心的で相手の話をきかず、自分の話したいことだけ話す。 

自分を傷つける言葉などに対して神経過敏で傷つきやすい。

冷静なときと、キレるときの二重の人格をもっている。激怒したり、優しくなったり、謝ったり、コロコロ変わる。怒った時、相手の女性を威嚇する。

自分の行動を他人のせいにする。よく約束を破る。ウソがうまい



Q:「『別れに同意はいらない』と先生はおっしゃったが、今日の若者を考えると、別れの同意を得ない限り、片一方はわかれたと思っても、他方はわかれていないと思う状況になりかねない。実際にそういう話を聞きました」


A:私が述べた『別れに同意はいらない』というのは、DVやストーカーをする人で、別れたいといっても別れてくれず執着してくる人の場合、相手の同意はいらないよ、という意味です。

普通の関係なら話し合って二人で合意を得るのが一番いいと思います。しかし、フラれる方はなかなか認められるものではありません。ですからふられる方の同意がなくても、恋愛は片方が別れたいといえば終わるのだと理解してください。

質問にあるような「片一方はわかれたと思っても、他方はわかれていないと思う状況」ってありますよね。そういう場合こそ、ちゃんと別れを言う場面を設定して、はっきり通告して、あとは一切会わないようにするのがいるという話です。


再度簡単にまとめておくと、①相手がブチ切れて危ないことをしない人なら「別れましょう」というだけでいいです。あいまいにフェードアウトすることができるならその手もあります。②しかし、DV的な人は執着性が強い場合が多く、だいたい素直には別れを認めません。むしろ怒ったり、危険な行動に出る可能性があります。③ですから、まず、DVのことをよくわかっている先生等に相談し、そういう人と一緒に警察にいって、相談してください。別れ方の作戦を立ててください。④そのうえで、第3者を交えて別れを伝えてください。⑤その後はもう接触しないようにし、ストーカーのような行動が少しでも見えたら、すぐに警察に訴えて、警察の方から注意・警告してもらいましょう。⑥先生や先輩など、相手に影響力のある人を動員するのも有効です。女性センターなど公的な相談機関も使ってください。


付け足しで、考え方を説明しておきます(拙著『デートDV・ストーカー対策のネクストステージ――被害者支援/加害者対応のコツとポイント』より)


片方が同意しないからと言っていつまでも別れないというのは、それは付き合っていることなのでしょうか? もう好きではなく、楽しい会話もないのに、別れの合意がないから付き合い続けるのでしょうか? DV加害者が、いつまでも「絶対別れない」と言ったら、いつまでも付き合わないといけないのでしょうか? そのような「別れには合意が必要」という恋愛の常識自体が、別れにくくさせ、結局DV関係を存続させてしまっているのです。

ですから、はっきりと、「別れには同意(合意)はいらない」という恋愛観を皆が広く持つようになっていくことが重要です。双方の合意があってこそ恋愛関係は成り立つので、片方がその意思をなくせば、自動的に恋愛は消滅(終結)するのです。続けないといけないという契約ではありません。いくら好きでも、相手から拒否されたら付きまとってはならない、ストーカー行為をしてはならない、あきらめるしかない、ということです。

被害者の人は、このことを学び、自信をもって別れていいのだ、相手が納得してくれなくても別れることに罪悪感を持たなくていいのだと知ることです。



Q:「DV・ストーカー気質の人にはっきりと別れを告げると、余計に『自分がフラれた』という被害意識になって、相手を挑発してしまうことになり、自分が危険になるのではないか」


A:警察に言うとか、はっきりと別れを言う方が結果的に安全は高まります。それは相手が一番嫌がることで、「弱い恋人だけなら操作しやすいのに、警察とかが出てきたらヤバイ」と思ってあきらめる人がほとんどだからです。

ただし、気を付けないといけません。第3者がいる前ではおとなしくして別れを受け入れるようなことを言っていても、逆恨みして、どこかで待ち伏せして無茶な攻撃をしてくる人が一部ですがいるので、別れ話をした後しばらくはできるだけ一人にならず、友人などと行動をともにし、周辺に注意を向けておくようにすることも必要です。


ハッキリ別れを言う、会うと逆上して暴力を振るわれる、電話でもブチ切れされるからという理由で、メールなどで一方的に別れを告げる、何も言わずに連絡を完全に絶つ、無視する、着信拒否にしてしまうなどの対応をとることがありますが、別れを明言する面会なしにそれだけすると、相手には別れの実感を持つのが難しくなります。そして主観的願望に沿って、まだ別れていない、嫌われていない、復縁の可能性があると思って期待を持って追い続けてしまう率が高まります。

別れを告げた後に連絡を絶つのは大事ですが、まずは逃げずにしっかり向き合って別れることが大切です。「対面でお別れが出来る人だったら苦労はしない」という意見がありますが、だからこそ拙著で書いているように第3者を入れて安全を確保しつつ、毅然とした態度で強さ/覚悟を見せて立ち向かうことが大事です。

ある高校生への伊田の返答

◆Q質問

アイドルが好きな人、アニメのキャラが好きな人には希望ありますか?自分はアニメのキャラが好きですが希望がないです。(普通の人と同じように恋愛できないと思います。


 ◆伊田からの返答

広い意味で「自分は“普通”ではないのではないか」「自分は変わっているのではないか」「自分は少数派、例外的存在ではないか」とおもうと、不安になりがちですよね。そして具体的には、アニメのキャラが好きな自分は恋愛できるのか、孤独にならないかという不安があるのもわかります。

でもまず、百人百様で、みんな「変わっている」ともいえるし、普通なんて気にしないで自分らしく生きるしかないのです。無理に自分らしさを押し殺す方が苦しくなります。とくに「普通系で勝ち組でない人」ほど、普通を目指すよりも、自分に正直に生きればいいのです。

次に、漫画アニメのキャラ好きな人、アイドルなどが好きな人はめちゃめちゃいます。すごく多いです。そしてそれで楽しく生きている先輩たちはたくさんいます。だから大丈夫です。あなたは幸せになれます。普通(あるいは今の社会の勝ち組)にとらわれすぎなければね。

そしてアニメのキャラが好きでも、同時に実際の人間関係を築いている人もいるので、あなたも「実際の人間と友情や恋愛や交際、結婚」に至るかもしれません。つまり孤独になるとは限りません。ネットなどのつながりもあるし、話があう仲間がいれば寂しくないという人もいます。孤独が好きとか心地いい人もいます。

また今の社会では、恋愛や結婚をしていない人もたくさんいます。国勢調査によると、2015年時点で男性の生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚をしたことがない人)は23.37%、女性で14.06%と、1990年の男性5.57%、女性4.33%から大幅に上昇してます。

問題は、独身だとか、オタクだとか、LGBTQだとか、学歴が低いとかではなく、要は自分がどう生きるか、何を目指し、どんな努力をし、どう自分なりに楽しく生きるかです。そんなに楽しくなくても何とか生きていければいいとも言えます。

たとえば、極端な例ですが、二次元のキャラに恋をする“フィクトセクシュアル”として楽しく生きている人もいます(ネット記事(「降谷零さんと出会って生活が一変した」 二次元のキャラに恋をする“フィクトセクシュアル”の結婚・恋愛像、2020年8/60配信 ねとらぼ 参照)。この記事の人は『名探偵コナン』の人気キャラクターである降谷零さんを「夫」として生活しているそうです。降谷零さんに対する感覚が、三次元の相手に恋愛感情を抱いたときと同じだというのです。そして孤独感を感じなくなり精神的にも安定したといいます。まあいろいろですね。

大学生になったり、20歳代、30歳代になって人間関係が変わることもよくあります。そんなひともいるので、様々な可能性はあると思いますよ。将来を心配するより、先ずは「今」を大事に一生懸命生きればいいんじゃないかな。上記記事でも、「自分の内面と同じところにいる「彼」からの好意を受け取ったり慰められたりするには、自己評価がある程度以上高いことが必要になる」といっています。自分の生き方を確立し、そうした自分を肯定すること、これこそ、むつかしいけれどあなたの課題です。世間の常識(私はこれを主流秩序と言って大学で話をしてます)に負けるな! 自分の幸せは自分次第です。

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Q:「別れそうな状況の二人で、喧嘩することをきっかけとして、ひどい暴言を吐かれること/はくことはDVといえますか?ひどい言葉は安全が減らされるからDVと言えるかとおもいますが、自分の思っていることは言うべきだし、冷静でなくなるとひどいことも言ってしまうと思います。」


A: まずDV は。原則的基本形としては、力関係が強弱、強者と弱者になっていて、片方が支配されているような上下関係だということです。ですから別れ話などでけんかになっている時に、対等にある程度きつい言葉で感情的に双方がいいあって喧嘩になっているだけではDVとはいえません。かなり上下関係で片方が怖くなっている時のひどい言葉はDV的とはいえるとおもいます。

ただし、やはりいくら喧嘩といっても大声、物を投げる、相手を傷つける暴言、等はやはりDV的といっていい、やりすぎの暴力で、良くないといえるでしょう。

双方の攻撃力がとても強い場合、相互にDVだといえます。

話し合いは冷静にやるようにしましょう。相手が興奮していたら、こんな状態では話せないから、といっていったん分かれて、あとで時間をおいて少し落ち着いてから話し合いの続きをしましょう。

Q&Aの続きは「Q&A」のページに載せています。

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以下、拙著「続ネクストステージ」の中の、DV関係事件の資料部分をアップしておきます。

サブタイトル

『続 デートDV・ストーカー対策のネクストステージ』(電子書籍2015年5月、増補・オンデマンド印刷書籍&電子書籍、2019年3月)

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Black and White Star in Circle

資料  DV・ストーカー・リベンジポルノ系 事件一覧

1988~2000年

◆1988年3月品川区、元レコードプロデューサーが前妻に付きまとい後、刺殺


1988年3月、東京都品川区で、元レコードプロデューサーA(50)が前妻(36)を刺し殺した。

殺されたのは、かつて「江美早苗」の芸名で活躍した西野バレエ団のミュージカルタレントで、「新婚さん」初代アシスタントだった。、江美さんは、テレビのミュージカル番組でデビューし、映画にも出演し、歌って踊れるミュージカルタレントとして人気を集めた。71年にスタートした「新婚さんいらっしゃい!」の初代アシスタントも務めた。72年春、芸能界を引退。郷里に戻り、家業の旅館経営を手伝っていたが、翌年、「中里綴」のペンネームで作詞家としてデビュー。南沙織の「人恋しくて」(75年)などのヒット曲を作詞したりもした。Aは仕事の関係で江美さんと知り合い、73年ごろ結婚したが、性格の不一致などを理由に江美さんから別れ話が出て、85年12月に離婚した。離婚後もAは江美さんにしつこくつきまとったり、嫌がらせの電話をかけたため、江美さんが大崎署に相談していたが、1988年に殺害される事件に至った。


◆1990年4月沖縄、新婚旅行中の夫が妻を殺す

1990年4月、沖縄県で、新婚旅行中の夫(29)が妻(25)を殺して逮捕された。

前日の4月8日に名古屋市内で結婚式を挙げ、事件当日の9日から2泊3日の予定でホテル9階に宿泊していた。そこでケンカになり夫が妻を突き落とし殺した。

妻に「あなたの精神状態がよくない。一緒に生活したくない」などとなじられて逆上。室内で妻の頭を殴ったうえ、ベランダに逃げてぐったりした妻を抱き上げ、十九㍍下のレストラン屋上に落とした。

二人は半年ほど前に「お見合い」で知り合い、週に2~3回デートを重ね結婚した。


◆1996年、かかわった女性たち全員にDVを行っていた連続殺人犯

2002年3月に「松永太・北九州監禁連続殺人事件」が発覚した[1]

福岡県北九州市の松永太(40)は、内縁の妻、緒方純子(40)と共に1996年2月から98年6月にかけて被害者を監禁したうえでマインドコントロール下に置き、自らは手を下さずに殺し合いをさせた。被害にあったのは、純子の両親である緒方誉さん(61)と静美さん(58)、妹の理恵子さん(33)とその夫の主也さん(38)、二人の子供の彩ちゃん(10)と優貴くん(5)、また広田由紀夫さん(仮名・34:松永と不動産会社で出会い巻き込まれた人物)の7人。広田さんの娘、清美さん(仮名・17)も監禁されていたが脱走し助かった。松永はそれ以外にも、多くの人を虐待し、女性にはDVを行っていた。

松永は、7人全員に対する殺人(うち1件は傷害致死)などの罪に問われて一審、二審ともに死刑判決を受けた。共犯者として松永と共に逮捕された純子は、一審で死刑判決を受けるも、二審では松永の強い影響下にあった、との理由で無期懲役へと減刑され、最高裁でもこの高裁判決は支持され、2011年12月に彼女の無期懲役が確定した。同時に松永の死刑も確定した。

松永は純子に対して強烈なDV支配をおこない、精神的に強く支配していた。DV常習者で、長期にわたり純子に対して殴る蹴る、さらには通電の虐待を繰り返した。その中で純子はDV被害者特有の心理になり、暴力の原因は自分にあると思い込み、彼に従い続けた。通電とは電気コードの先に金属製のクリップをつけた器具を身体に装着し、100ボルトの電流を流す虐待のこと。松永は純子に通電を繰り返し、彼女の右足の小指と薬指は火傷でただれ、癒着するほど痛めつけられていた。純子は二度、松永のもとを逃げ出そうとしたが、連れ戻されてより激しい通電虐待を受けた。もう逃げられないという諦めと、通電の恐怖を心に植え付けられた彼女は、松永の要求を拒むことができない状態になり、以降、松永の指示に従い、松永の「女性をだまし虐待し金をとる活動」に加担し続け、自分の親や姉妹などを殺す等という犯罪を積み重ねた。殺された7人は、監禁され、食事制限されたり通電などの虐待を受け、体力を奪われていき、虐待に加担させられたり、死体の解体・処理をやらされた上で、精神的に異常をきたすに至らされ殺されていった。およそ月に1人のペースで殺人が繰り返された。松永は主犯であるにもかかわらず、自分の手は一切汚さずに、人を操り7人もの命を奪った。松永は、遺体の解体や処分の方法(遺体切断、処理)について細かく指示を出し、物的証拠が残らないようにさせた。したがって、本件は、関係者の証言を含めた状況証拠を収集して、殺人を立証するほかないものとなった。逆らうことのできない相手に殺害や遺体処理を実行させ、さらに「自分たちで考えろ」と示唆することによって、相手が忖度して自発的に行動するようにコントロールしていた。逃げることもできず、逆に虐待に加担させられていったのは、皆が完全に支配され奴隷のようになっていたためである。

松永は、まず甘言で近づき、信用した相手から不満を聞き出し、そそのかして外の世界と繋がる勤務先などの集団から離脱させた。続いて自らの手元に置き、不信の元となる情報を囁いて親子や夫婦、姉妹といった絆を断ち切っていった。そして子供を人質にしたり、犯行に加担した弱みを握ることで逃げられなくした。さらに互いの監視を命じて常に1人の生贄を作り、その生贄に浴びせた苛烈な暴力によって、皆に「次は自分かもしれない」との恐怖心を叩きこんでいった。通電という虐待方法を使い、こうして皆を支配していった。

あまりに残虐なために、映像にできずテレビなどでは詳しくは放送できない事件であった。

松永は、小・中学校時代から問題児で、自分より強い奴にはなにも言えないにもかかわらず弱い相手ばかりにイジメを繰り返していたため皆から嫌われていた。よく背の低い同級生に『早く飲んで見せろや』と言って、無理やり牛乳を飲ませていたりしたという。高校に入った松永は、甘いルックスと不良っぽい言動が受けてモテるようになり、口で巧みに女性をくどき部屋に連れ込みセックスするようになった。当時友人の影響をうけて、『女を人と思っちゃいけん。女をカネづると思わな』という考えで女性に飯代を払わせていたという。そんな松永は高校2年のときに、家出した女子中学生を家に泊めたことから、不純異性交遊ということで退学処分となってもいる。松永は自分が暴力団組員と繋がりがあるかのように装い、「俺に手を出すと酷い目に遭う」と口にして、同級生に信じ込ませていた。その後大人になってから純子に電話をかけて巻き込んでいった。1982年に純子が勤務先の幼稚園で巻き込まれたトラブルの相談を松永にしたことで、男女の関係となり、妊娠中の妻のいる松永との不倫交際が始まった。そして純子は自分自身がDV被害を受けて松永に支配されて行き、おぞましい殺人や詐欺や虐待に加担していくことになった。

なお、松永がアジトとしていたマンションから、逮捕後、大量の写真やビデオテープが見つかったが、そこには松永がこれまでに関わった女性との性行為や、相手の乳首や性器に電極を当てて虐待しているものが映っていた。なかには緒方純子が松永と別の女性との性行為を撮影した写真もあった。松永は、順子の母・静美さんや妹・理恵子さんとも肉体関係を持っており、写真やビデオでその痴態を撮影し、公表すると脅すなどしていた。松永は緒方家の女性たちがそうされたように、結婚などをちらつかせて自分と肉体関係を持った多くの女性たちの性的な写真を脅しの材料として撮影し、相手女性に金を工面させたり、布団の信販契約をさせたり、借金させたり、自分の要求を拒絶できないようにもしていた。松永がそうした女性をだまし虐待する行為に順子は加担させられた。純子自身も被害者の面があった。彼女は法廷で「自分の裸のポラ(ロイド写真)が松永の手にあり、なにかあるとばら撒くと脅された。それでもう先がないと思って諦めた」と証言している。FVを含めあらゆる方法で人を支配する人物が松永であり、その彼に支配され被害者でありながら残虐加害に加担したのが純子であった。。


◆1999年、桶川ストーカー殺人事件  ・・・   『ネクスト』p235で紹介

1999年、埼玉県桶川市の桶川駅前で、21歳の女子大生が元交際相手(当時27歳)とその兄が雇った男によって殺害された事件。

1999年1月、被害者の女子大生 (A) が、加害者の男 (B) と知り合い交際が始まったが、BはAに偽名を使ったうえに年齢も3歳サバを読み、職業も外車ディーラーと偽ったが、実際は兄(C 本業は消防士)と共同で風俗店を経営していた。しかし、1999年2月から3月にかけてそれらの嘘は露呈。一方的に高価なプレゼント(数十万円もするバッグや洋服)を贈り、Aが、「こんな高いものは受け取れない」と拒絶すると暴力を振るった。30分おきに携帯電話に連絡するなどAの行動を監視し、「今、犬の散歩をしている」と答えると、「俺(B)を放っておいて犬の散歩とはどういうことだ?その犬を殺すぞッ!!」と脅すなどした。携帯電話に出ないと、番号を教えていないはずのAの自宅や、友人にまで電話をかけた。

こうした行為に恐怖心や不信感を抱いたAは別れ話を切り出すが、Bは、「お前は2000年をむかえられない」「父親をリストラさせてやる」「家族を滅茶苦茶にしてやる」などと、A本人はおろか、家族にも危害を加える旨の脅迫をし、交際の続行を強要した。

この頃からAは身の危険を感じ、遺書を用意したり、周囲の友人に、「私は殺されるかも知れない」「(もし私が殺されたら)犯人は絶対にB」と話すなどしていた。さまざまな監視や嫌がらせ行為、中傷・脅迫・プライバシーの侵害に耐え、恐怖と闘いながら、殺害される1999年10月まで大学に通い続けた。

同年6月14日、BとCらがAの自宅に押しかけ、Aを脅迫し、現金500万円を要求したが、父親に追い返された。6月15日、Aと両親が、BとCの脅迫をした内容を秘密録音していたテープを、管轄する埼玉県警上尾署に持ち込み、被害の相談をしたが、「民事不介入」を理由に、上尾署は全く取り合わなかった。これ以降、Aの家に頻繁に無言電話がかかってくるようになる。また同日、CがD(Bが経営する風俗店の雇われ店長) に、Aの殺害を依頼した。

同年7月13日、Aの自宅周辺と学校・父親の勤務先に、約300枚の、事実無根の誹謗中傷のビラが貼られた。

7月29日、Aが犯人を名誉毀損で上尾署に告訴。署員は訴状を受け取るも、「(ビラに対して)これはいい紙を使っていますね。」「試験(ちょうどAの通う大学の試験期間であった)が終わってからでもいいのでは?」など、いい加減な対応に終始。

同年8月23日・24日、Aの父親の勤務先などに、約800通もの、事実無根の誹謗中傷のてがみが届けられた。9月7日、上尾署員が告訴状を被害届に改竄(かいざん)。9月21日、上尾署員がAの母親に対して、「一度取り下げても、もう一度告訴はできますから」と嘘をつき(告訴状を一度でも取り下げたら、同じ内容で再び告訴することはできない)、告訴取り下げを要請した。

10月16日、深夜、Aの自宅前に大音響を鳴らした車2台が現れた。10月26日、Dらは午前9時からAの家前でAの行動を見張り、12時に家を出て、大学に向かう電車に乗るために桶川駅へやってきたAをナイフで刺して殺害し逃亡した。

同日、上尾署に捜査本部が設置されたが、記者会見にて事件当時のAの服装や所持品について「ブランド物のバッグ」「厚底ブーツ」「黒いミニスカート」など、報道陣に対して意図的に詳しく説明した。これ以降、各報道関係者から、被害者であるAにも非があると受け取れる報道がしばらく続いた。

その後、警察はC、D,その他殺害実行犯を含む中傷に関わった12名を逮捕したが、中心の元交際相手Bは逃亡のうえ、自殺。Cは無期懲役、Dは懲役18年となる。Bは死亡したため、刑事訴訟で殺人罪の共犯と認定されなかったが、民事訴訟において、殺人犯らはBを介さないとAとの接点がないことや、BのAに対する攻撃性から、BはAについて殺人の責任があることが認定され、加害者やその家族に対して約1億250万円の支払いが命じられた。改竄(かいざん)に関わった署員は懲戒免職になり、のちに有罪判決を受けた。

この事件がきっかけとなって、「ストーカー規制法」が制定された。

2000年12月、遺族が埼玉県(埼玉県警)に国家賠償請求訴訟を起こしたが、裁判になると、埼玉県警はこの時期においてさえ「この事件はストーカー事件ではない」、「単なる男女の痴話喧嘩」、「Aの遺書は若い女性特有の空想」などと反論した。





[1] この松永事件の情報の出所は、小野一光『連続殺人』(文春文庫、2019年)である。

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資料  DV・ストーカー・リベンジポルノ系 事件一覧

2001~2010年

◆2003年3月、兵庫県姫路市で、DVの父親が妻と別居後に残った息子を刺殺

2003年3月、兵庫県姫路市で、DVの末、父親(43)が中学3年の長男、有賀諒君(当時15歳)を刺殺した。

諒君の両親は87年に結婚し子ども2人を授かったが、夫は家族に激しい暴力を振るった。2001年7月に離婚となったが、諒君は「僕が残ればパパは立ち直ってくれるかもしれない」と父との同居を選んだ。
 しかし、2003年3月、諒君に「妹は一生会わないと言っている」などと言われたことに父は激高し、諒君を刺殺した。父は殺人罪で懲役12年が確定した。母親と妹は事件後に転居。父親が出所すれば付きまとわれるのではとの恐怖から、誰にも住所を知らせなかった。

◆2004年、伊万里市、既婚男性が交際相手から結婚迫られ殺害

2004年12月ごろ、佐賀県伊万里市で、吉富(よしどみ)和彦容疑者(とうじ35)は、交際相手である志賀勝美さん(当時28)と和音(かずと)くん(当時7カ月)を殺した。2016年1月、吉富容疑者の自宅に近いあぜ道で埋められた状態で遺体が見つかったため逮捕された。 

当時、久留米市の志賀さん宅で志賀さんと和音くんの3人で暮らしていたが、吉富容疑者は当時、別の女性と結婚しており、志賀さんから結婚を迫られたため2人を殺害した。

和音(かずと)くんが就学年齢になっていても入学せず学校に通っていなかったため、そこで児童相談所が県警に相談し、県警が調べたところ志賀勝美さんの行方がわからなかたったために吉富容疑者に事情聴取して自体が発覚した。


◆2006年12月、徳島県吉野川市で41歳夫がDVで逃げていた妻を探偵使って探して刺殺。DV法に怒り

2006年12月、徳島県吉野川市で夫の木村輝彦(41・当時カイロプラクティック店経営)が日本刀で妻での木村弘子さん(看護師、40歳・当時)を刺殺した。
繰り返し暴力を振るってきたため、妻は別居し、保護命令(接近禁止)が出ていた。離婚調停中だった。

弘子さんが逃げて住んでいたところは限られた親族などにしか知らされず、夫には知らされていなかったが、夫は探偵に頼んで調べ、待ち伏せして妻の帰宅を見計らって住居に侵入し彼女を襲った。刃渡り約50センチの日本刀(脇差し)で、彼女の胸や腹を何度も刺したため、彼女は出血多量で間もなく死亡した。中古車を購入して下見を重ねるなど、周到な計画的犯行であった。さらに、殺害によって、DV防止法や接近禁止の制度を変えることを意図してさえもいた。
夫は、妻が死んで子どもたちもかわいそうなので、3人の子どもも殺そうと考えていたが実行には至らなかった。

2007年6月、徳島地裁で畑山靖裁判長は、「被告人は保護命令(接近禁止命令)を真正面から無視」「法曹関係者や女性支援センター、DV被害者を支援する人々に与えた衝撃は深刻」「被害者は法の助けを得て安全で平穏な生活を取り戻そうとした矢先に凶行に遭遇し、無念さは筆舌に尽くしがたい」などと断罪、無期懲役の判決を言い渡した。
2009年12月、高松高裁で柴田秀樹裁判長は「DV防止法への挑戦で社会に与えた影響は大きいが、反省の気持ちも持ち始めている」「遺族が厳しい処罰感情を抱くことは理解できるが、性格や人格のゆがみを矯正するのが困難とまではいえない」として、地裁判決を破棄し、懲役30年の判決を言い渡した。平成2010年、最高裁で検察側の上告が棄却され、判決が確定した。


◆2007年東京、デートDV殺人事件

07年11月、東京足立区で、1年ほど前から交際し、別れ話のもつれが動機で、27歳男性が、21歳の交際女性を殺した。


◆2007年高槻市、DV事件

07年11月、大阪府高槻市で、内縁の妻(44)をほうきの柄で殴って腰の骨を折るなどのけがを負わせたり、「殺したる、死ね」などと言い無理に水風呂に入れたりした男(39)が逮捕された。8月に交際を始め、11月半ばに同居を始めた直後から、「両親とつき合うな」などと言い、殴るけるの暴力を繰り返していた。


◆2007年大阪、デートDV殺人事件

2007年12月、大阪市で、30歳男性が、同居していた女性(27)を、自分の携帯電話の送受信メールの内容を見られたことに腹を立てて殺した。


◆2008年1月宇都宮、DV殺人事件

2008年1月21日、宇都宮市で、金子隆司容疑者(46)が別居中の妻、金子未来子(みきこ)さん(32)を刺して殺したため逮捕された。

未来子さんは事件の3日前の1月18日、県警に夫からのDVに関する被害届を出した。警察は傷害容疑で捜査を始めたが、暴力は頻繁ではないと判断して警戒はしていなかった。また妻の母親が、DV防止法に基づく保護命令を宇都宮地裁に申し立てる予定だったがその直前に犯行が行われた。
事件当日、妻・未来子さんの実家1階窓をコンクリートブロックで割り侵入。妻から「夫が包丁を持って家に入ってきた」と110番があった。直後、夫は妻の首など20カ所以上を文化包丁で刺した。母や息子(3)は隣家に逃げた。宇都宮東署員が駆け付けると、1階居間で未来子さんが血を流して倒れておりその後死亡した。

 2人は育児方針を巡り2006年6月に別居、未来子さんは実家で両親らと住んでいた。2007年12月3日未明、未来子さんは日光市の金子容疑者の実家を訪れた際、未来子さんの交友関係に激怒した金子容疑者に腹などを殴られ約2週間のけがをした。
 未来子さんは2008年1月11日、宇都宮東署に相談、署員が被害届を出すよう説得したが、「子供への仕返しが怖い」と一度は断った。しかし、16日に未来子さんから「被害届を出します」と連絡があり、18日に今市署が被害届を受理した。


◆2008年2月高松市、DV執行猶予中殺人事件

2008年2月、女性が電話に出なかったことに腹を立て、夫が、高松市内で妻の両手足を縛り、金属バットで殴るなどした。このDVの傷害容疑で高松北署に逮捕され、2008年4月に高松地裁で懲役2年、執行猶予4年の判決を受けた。その後、この夫は、岡山市内のホテルや知人のアパートの部屋で、妻の頭を鈍器などで殴り、6月に殺害した。


◆2008年3月、埼玉、校長が裸の写真で強迫

2008年3月、埼玉の市立高校校長(市川和夫容疑者、56歳)は、以前教え子だった女性と関係を持ち、卒業後「つきあわないと(友人に)ばらすぞ」「交際を続けなければ(恋人に)君の裸の写真を送りつけるよ」「交際男性の住所も経歴も全部知っているよ。殺すことは平気だ」とメールや電話で脅迫したため、逮捕された。教頭だった2002年ごろ、在校生だった女子生徒に接近し、性行為をしていた。心中を誘うようなメールも送っていた。ストーカー行為を5年も 続け、2007年夏以降、エスカレートさせ、2008年の逮捕となった。


◆2008年4月



◆鳥取2008年「夫婦喧嘩扱い」されたDV事件

2008年7月、鳥取市内の女性(34)が、内縁関係の男性会社員(39)との関係の解消を求めていたところ、08年7月3日未明に会社員が女性宅に押しかけ、女性を殴り倒して胸を踏みつけ、「お前はここで首をつって死ぬことになるんだ」と両手で首を絞めてワインを口に流し込むなどの暴力を振るった。重傷を負った女性は鳥取地裁に保護命令を申し立て、会社員には女性への接近などを禁じる命令が出された。

問題は、鳥取署は、夫婦げんかの延長と考えて対応しており、女性が抵抗の際、加害者の指をかんだことから「傷害容疑がある」として供述調書に署名を求めることまでさせた点である。被害者女性は、会社員への捜査が進んでいないとして殺人未遂容疑で会社員を刑事告訴。「警察はDV被害に対する理解がなく、捜査の進展も遅い」と訴えた。


◆千葉市2009年ストーカー殺人・連れ回し事件

2009年7月、千葉市花見川区で、元交際相手の男(28)が、DVによって別れた元交際相手の22歳女性を連れ去り、その際女性の母親が殺害された。6日後に男は逮捕され、女性は無事保護された。女性は、男からの暴力を受けるなどしたため09年6月に別れ、自宅に戻ったが、その後も男からストーカー行為を受け、一時は1週間、車で連れ去られるなどした。女性は監禁から逃げ出して同県警豊田署に保護されたが、男は警察に事情を聴かれた際、車内に刃渡り18センチの刃物を持っており、「一緒に暮らしている。今回も合意のうえだ」と答えた。逮捕された後も、自分の加害性を認めなかった。


◆2008年9月神戸市、男が交際相手の女性を殴って死亡させる

2008年9月、神戸市で、島一央容疑者(43)が交際相手の女性を殴って死亡させたといて傷害致死の疑いで逮捕された。

島容疑者は交際相手の森本正美(なおみ)さん(31)と口論になり、森本さんの自宅のマンションで約10分間、殴る蹴るなどの暴行を加えて死亡させた。島容疑者は「かっとなって殴った。朝、目が覚めたら冷たくなっていた」と供述した。

森本さんは2007年12月から2008年6月にかけて計4回、「(島容疑者から)なぐられた」などと警察にドメスティックバイオレンス(DV)について相談していた。警察は被害届の提出や避難シェルターを紹介するなどして別れるようすすめたが、受け入れなかったという


◆2009年、元交際相手の母親を刺殺し、元交際相手を監禁して沖縄へ逃亡


2009年7月にストーカー・仲田敬行(当時28)が元交際相手の母親(死亡時61)を牛刀で切りつけて殺害し、元交際相手のA子さん(当時22)を千葉から沖縄へ連れ去るという事件が起きた。犯人は、逃走経路の偽装を行いながら沖縄にむかい、現地でA子さんと生活を始めようとしていた。

この事件で、千葉県警は男を殺人と逮捕監禁容疑で指名手配した。そして沖縄県那覇市で逮捕された

仲田とA子さんは、2009年1月に出会い系サイトを通じて知り合っていた。当初は睦まじくする姿が周辺で目撃されており、6月頃までは神奈川県内で同棲していたことも確認されている。だが、仲田の暴力などが原因で同棲を解消したところ、彼によるストーカー行為が始まった。A子さんに対してメールや電話で脅しを続けていた仲田だが、7月4日には彼女を自宅から連れ出し、山梨、静岡、愛知を車で連れ回した。10日になってA子さんが愛知県内のコンビニで助けを求め、愛知県警に保護された。翌11日に千葉市の自宅に戻ったA子さんに対し、千葉県警はGPS端末と緊急通報装置を渡し、被害届を出すように勧めたが、彼女はためらった。その後A子さんは自宅にいて今回の被害に遭った。
那覇市街に向かう際は、一旦別行動をしてから合流するという、”監禁”とは思えない不可思議な行動を取っていた。だが千葉市から栃木県佐野市に向かう車中で仲田がA子さんの両手に手錠をかけるなどしていたため、その期間が逮捕監禁罪に問えるとして追起訴された。A子さんの心理状態については、母親が目の前で殺された恐怖と、逃げたら自分もなにをされるかわからないという恐怖で、犯罪被害者が加害者に依存心を抱く『ストックホルム症候群』だったと推定された。ふたりは那覇市内の不動産業者を訪ね、市内の賃貸物件を見て回っている。そこで仲田は家賃3万2000円のワンルームマンションを気に入ったようで、A子さんに偽名で申込書を書かせている。
千葉地裁は2010年8月に懲役23年(求刑無期懲役)の判決を下した。



◆2009年8月、千葉県君津市、デートDV殺人事件

2009年8月、千葉県君津市で31歳男性が、元交際相手の女子大学生(21)の乗用車に無理やり乗り込み、首を手やシートベルトで絞めて殺そうとし、女性は意識不明の重体の後、死亡。2年ほどの交際の後、別れたが、男性は復縁を迫っており、数日前にも男性から別れ話を巡って暴力を受けて全治1週間のけがをしたという被害届がでていた。


◆2010年2月ノエビア前副社長、ストーカー、嫌がらせで逮捕

2010年2月、化粧品メーカー・ノエビア前副社長大倉尚容疑者(43)は、以前交際していた女性の夫に嫌がらせのメール約100通を送信し、ストーカー規制法違反などの疑いでまず逮捕された。その後、前副社長が女性本人にも嫌がらせメールを送っていた疑いが強まり、ストーカー規制法違反や脅迫などの疑いで再逮捕された。

女性は20代で、大倉容疑者は2009年10~11月、この女性に「交際していたときの写真をネットにばらまく」「会いたい」「返事をくれ」などとするメール約100通を送信するなどした。



◆2010年2月宮城県石巻市、デートDV殺人事件  ・・・・・『ストップ』p13、 『ネクスト』p236

2010年2月、宮城県石巻市で、DV男性・元解体作業員の千葉祐太郎被告(当時18)が、共犯の少年Aとともに、元交際相手・南部沙耶さん(18)の実家に押し入り、復縁に反対する、姉の南部美沙さん(当時20)とその友人(18)の2人を刃物で刺して殺害、姉の友人男性1人に重傷を負わせ、元交際相手・沙耶さんを連れ去り監禁した事件。車を変えて逃走するも同日午後に加害少年2人は同市内で身柄を確保され、未成年者略取と監禁の容疑で現行犯逮捕された。少女は軽傷のまま保護された。

DV男性と元交際相手は、2008年夏に交際を始めたが、少なくとも2009年2月以降、女性にDVを繰り返しており、被害者は警察に12回も相談していた。相談内容としては、「交際相手から言葉遣いなどで文句を言われたり、殴るなどの暴力を加えられる」「別れを切り出すたびにダンベルで殴られたり首を絞められたり、たばこの火を押しつけられたりした」というものだった。

2009年10月には娘が生まれたが、DVは続き、別れた後も元交際相手の実家に加害男性が押し入って娘を連れ去ろうとすることもあった。死亡した友人女性は、加害者男性が家に押しかけるようになったため、姉妹に頼まれて泊まっていて被害に遭った。

石巻署は2009年2月と2010年1月に少年に警告し、元交際相手の女性に、暴行や傷害事件として被害届を出すように勧めており、女性は事件当日の2月10日、被害届を出す予定だった。加害者男性は、一緒に押し入った17歳の男性Aに二人の交際に反対する姉と母親の殺人計画を話し、「おまえが殺人の罪をかぶれ」と言い、包丁に指紋を付け、Aの衣服を奪って返り血対策を兼ねて着用したうえで犯行を行うなど隠ぺい工作を行った。

なお、加害男性は、小学校低学年のころから母親に暴力を受け、ドアノブに括り付けられたり、食事を与えられないときもあるという環境で育った。その母親も交際男性から暴力を受けていた。加害男性はその後、祖母宅で育てられ、中学生当時、母親に対して暴力を加えていた。高校に進学したが、ほかの生徒に暴力を振るったことをきっかけに退学し、事件の1年前には母親を殴るなどして大けがをさせていた。そんな中、交際相手だった女性にもたびたびDVをふるうようになっていた。少年は被告人質問で母親が幼い自分ではなく暴力を振るう男性に好意を寄せていたと感じたと供述。このため「(元交際相手の女性に)暴力を振るう自分も間違っているとは当時思いませんでした」と述べている。

2010年11月の1審の仙台地方裁判所・裁判員裁判と2審の仙台高等裁判所は、いずれも死刑を言い渡し、弁護側が「事件当時は未熟で、更生の可能性がある」として上告していた。2016年、最高裁で、出されていた少年への死刑判決が確定した。

最高裁判決で最高裁判所の大谷直人裁判長は「交際相手を連れ去るため、邪魔をする者は殺害すると思い定めて襲っていて、身勝手極まりない動機にくむべき余地はない」と指摘した。


◆2010年8月 静岡 元交際相手及び妻を殺害 ・・・・ 『ストップ』 p14

◆2010年8月 鬼塚ちひろさんDV被害事件 …『ストップ』 p14

◆2010年9月 川崎市 同棲女性殺害事件  ・・・・『ストップ』 p13


2011~2013年

◆2011年5月 神戸学院大 デートDV傷害事件・・・・『ストップ』p12、 『ネクスト』p238

2011年5月17日神戸学院大で、同大学4年生の女子学生(21)が、元交際相手の男(25)に刃物で背中などを刺され、現場に駆けつけた警察官も右太ももを切られて、いずれも重傷を負った。男は殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。
 男性は女子学生の元交際相手で、2011年3月に同大学を卒業して就職し、埼玉に移り住んだ。女子学生とは3月に別れたが、その後も「一人ではやっていけない」というメールや電話を繰り返し、復縁を迫り東京に来るよう要求していた。2011年4月16日には車で連れ出して復縁を迫り、翌17日に同大学のトイレで首をつって自殺を図った。 女子学生は4月19日に明石署にストーカー被害を相談。神戸西署が男性や家族に口頭で注意し、つきまとわないという誓約書も同月25日に取っていた。
 5月17日に男性が来たので、女子学生が110番通報し、署員3人が北門前の警備室に到着し、「この人ストーカーです」と警官に訴えたところ、女子学生の背後から男性がいきなり刺した。
男は、「大学の駐輪場で待ち伏せし、殺すつもりだった」「3月に婚約を破棄され、そのせいで仕事もやめることになった。連絡も取れなくなり、話をしたくて会いに行った。話も拒否され、警察も呼ばれて逮捕されると思ったので刺した」と自供している。

元交際相手の男性は女子学生へのストーカー行為を繰り返していたが、その方法として、女子学生のバイクに取り付けたGPS(全地球測位システム)で、居場所を特定していた。2カ月の重傷を負った女子学生は、精神的ショックなどで就職活動も断念するなど大きなダメージを負わされた。

警察官がすぐに駆け付けたのは、兵庫県警が、ストーカー被害者を自動的に特定できる「110番通報登録制度」をつくっていたからである。
 5月17日午後、県警の通信指令課は女子学生の110番通報を受信した。モニターには、通報者がストーカー被害者であることを示す「ST」の文字と女子学生の名前が表示された。指令課員が女子学生に電話をかけたが、通じなかったため、重大事件を知らせる緊急配備を管轄する神戸西署に指令。通報からわずか38秒後だった。
さらに衛星利用測位システム(GPS)機能で女子学生の所在地を特定し、同署に出動場所を指示。通報から約10分後、交番の警察官が現場に到着し、女子学生を確認した。しかしその直後、そばにいた元交際相手の男性が女子学生と警察官を包丁で刺した。

◆2011年11月



●2011年12月、長崎西海デートDV(ストーカー)殺人  … 『ネクスト』p237

2011年12月16日、長崎県西海市で、筒井郷太(当時27歳)が、交際相手の女性の母親(56)と祖母(77)を殺害した事件。

この加害男性は、2011年2月下旬から女性と交際をはじめ、間もなくして男性が女性宅に転がり込む形で同居を始めた。日常的に、リモコンなどを使って女性を殴ったり、室内にとどまらず外出先の路上でも暴行に及んだりしており、警察に行ったときには全身にあざが認められる状態だった。被害女性の知人にまで男性は脅迫メールを送りつけていた。女性は何度となく別れ話を切り出したが、そのたびに男性は逆上して女性に暴力を振るっていた。

事件の前、交際相手に暴力を振るっているとして、警察から繰り返し事情聴取や警告を受け、最後の警告から1週間後に事件を起こしていた。

2011年10月29日、交際相手女性の父親から警察に電話で「娘が暴力を受けている」と相談があり、翌日、男性を習志野警察署に呼んで任意で事情を聴き、警告していた。この際、男性は「二度と暴力を振るいません。自分から連絡も取りません」などと話していた。
しかし、その後にも男性から「殺す」と脅迫メールが送りつけられるなどがあったため、女性と父親が12月6日にも習志野警察署に相談に訪れ、警察は12月9日、再び男性を呼んで警告するとともに傷害事件として娘の被害届けも受理したが、最後の警告から1週間後に今回の事件が起きた。

この事件では、筒井被告が女性と同居していた千葉、被告の実家があった三重、長崎の3県警が女性側からストーカーの相談を受けていたが、連携不足で対応に不備があったため、3県警は2012年3月、遺族に謝罪した。

2人の間に起こっていたDV的な言動としては、「メールの返信が遅い」「今すぐに帰って来い」などと怒鳴られる、物を壊される、勤務内外でも今何をしているかなどを10〜15分に1回、メールや電話で報告するよう要求される、メールを送信できない時には職場の同僚に非通知で電話し、叫び声を上げるなどの嫌がらせをする、(職場で)男性客と接客する際に携帯電話を(被告と)通話状態のままで勤務することを強要される、1カ月に20日間は暴行され、携帯電話、鉄アレイで殴られる、手錠をされ正座させられ蹴られたこともあった、逃げたら家族や周りの人を殺すと言われていた、被告が警察に捕まってもすぐに出てくるだろうし、家族や職場の同僚が傷つけられると思うと逃げられないと思わされた、などがあった。


 1審・2審では「身勝手な犯行で、社会に与えた影響も大きい」として死刑判決が出された。2016年7月、最高裁が、殺人などの罪に問われた筒井郷太被告(31)の上告を退けたため、死刑判決が確定した。
 筒井被告は、当初は罪を認めていたが、裁判では第三者による犯行の可能性があるとして無罪を主張していた。最高裁は、判決で「女性を取り戻すことへの障害と考えていた家族を殺害してでも排除しようとした動機に酌量の余地は全くない」「強固な殺意に基づく執拗かつ残忍な行為で、計画性も高く、刑事責任は極めて重大」、「事前に包丁を用意するなど計画性が高く、強固な殺意に基づいている」と厳しく指摘した。


◆2012年、米カリフォルニア州、副領事DV事件

2012年に、米国サンフランシスコ日本総領事館の副領事(33)が、日本人の妻に暴力をふるい、けがをさせたとして米カリフォルニア州の司法当局に逮捕され、家庭内暴力(DV)と傷害の罪で起訴され、2013年3月に郡裁判所で、3年間の保護観察と、そのうち1年間の郡留置所への留置や104時間のDVカウンセリング受講義務などの有罪判決を受けた事件。彼はこの件で、その後、日本で停職6カ月の懲戒処分をうけた。

彼がしたこととして報道などで言われているのは、、サンフランシスコ近郊の自宅などで妻を踏み付けたり、太ももや下腹部を蹴ったり、ドライバーで手を刺したり、車から突き落として歯を折るなどのけがをさせたというようなことであった。

これだけひどいことをしていたのに、裁判所での罪状認否で長屋被告は無罪を主張していた。また、判決が出るまで、総領事館で勤務をしていた。その後、外務省が停職6か月の処分ですませたため,1年間、米国で禁錮刑に服した後は、また彼はすぐに仕事に復帰できることとなった。本人も、外務省も、DVを軽視しているといえる。


◆早乙女太一さんが西山茉希さんと路上でDV的けんか

2012年5月、俳優の早乙女太一さんが交際相手のモデルで女優の西山茉希さんと路上でけんかしたことが報じられ、二人の間にDVもあると明らかにされた。西山に別れを切り出され、激昂した早乙女は『絶対に別れねえ』と叫んでいた。そのため破局説が流れるなど、2人の関係については不安定な様子が報じられていたが、妊娠を機に2013年に結婚した。2016年には2人目の女児が誕生。しかし2019年に離婚。早乙女が夜な夜な飲み歩き、夜遊び・深夜帰宅に加えて浮気疑惑もあり、育児や家事の負担が西山に偏るワンオペ育児で、限界を感じたとのこと。


◆2012年


◆2012年1月


◆2012年6月和歌山市、男が交際相手だった22歳女性を刺殺後、男は飛び降り自殺

2012年6月、和歌山市で、野原大雅容疑者(25)が交際相手だった藤井茉登佳さん(22)の胸部や腹部などを包丁で複数回刺して殺した。野原容疑者は現場から逃走。約700メートル離れた病院の職員寮4階の通路から飛び降り自殺を図り、全身を強く打って間もなく死亡した。

藤井さんは高校卒業後、ゴルフ用品販売チェーンに就職し、事件の1年ほど前まで和歌山市内の店で働いていた。野原容疑者は2009年に入社した同じ会社の同僚で、2人は2年ほど前から交際していた。

藤井さんは2011年2月に、野原容疑者は201112月に退社。藤井さんはその後、カーテン 販売店に就職していた。


◆2012年7月  高3男子DV


●2012年8月


◆2012年11月、神奈川逗子ストーカー殺人事件 

2012年11月、神奈川県逗子市で被害女性(33)が、元交際相手(小堤(こづつみ)英(ひで)統(と)、40)に刺殺された事件。男性は元交際相手を殺害後、被害者宅で自殺した。犯行日は男性の誕生日だった。

男性は、女子高で教師を務めている中、バトミントン教室で被害者女性と出会い、2004年から付き合い始めた。しかし、交際が進む中、徐々に精神的なしんどさを女性にぶつけ精神的DVや束縛をするようになっていった。すこし遅刻すると1日中怒るような状態だった。また異性との交流を嫌がった。男性は就職に失敗し、短期の非常勤講師の状態の自分を肯定できず、精神的に病的になっていた。死にたいというようになり、女性は徐々に関係がしんどくなっていった。別れたいと言っても『別れるなどあり得ない』と言ってなかなか別れてくれなかった。

2006年に女性の方から「心の支えになる人を見つけた」といって交際を一応終えることができたが、その直後に男は自殺未遂を起こし、それ以来女性に頻繁にメールを送りつけたり、留守電に「助けてください」などを大量に吹き込むなどのいやがらせが始まった。そのため、女性は心療内科に通うことになり、そこでストーカーへの対処アドバイスを受けた。それを受けて携帯電話は着信拒否にし、引っ越しもした。PCのメールだけは相手の常態を知り、ガス抜きになると思って維持した。

女性は2008年に同僚男性と結婚して「三好姓」となり、逗子市内に転居。当然、元交際相手の男性には、自分が結婚して三好姓になったことも、逗子市に引っ越したことも隠していた。女性は仕事を旧姓のままで行うなど、逗子市で諸活動をはじめ充実した生活を過ごしていたところ、又元交際相手から、『裏切りの罪は重い』『お前だけ幸せになりやがって』といったメールが送りつけられ始めた。このころ、男性は教師を辞め自宅に引きこもり、自殺未遂も起こしている。

元交際男性は、女性のSNSを監視し、そこの情報で結婚したことも知った。嫌がらせのメールは2週間で2000通にもなった。「ぜってー殺す」と繰り返し書き込んだメールや刃物の写真などが1時間に100件以上送りつけられたこともあった。

また女性が以前勤めていた会社に、夫を呼び出す電話をかけたり、女性の旧姓名でピザの大量注文をするなどの嫌がらせをしたこともあった。同じようなことを、女性の知り合いや仕事関係者、家族にも行った。出会い系サイトに女性の実名と写真を掲載するなども男性は行った。そして男性は「周りに迷惑をかける最低の女だ」というメールを送りつけてきた。

女性は逗子警察署にメールなどの嫌がらせ被害の相談をして、警察は口頭注意を行った。すると男はまた自殺を図って入院。女性は表札を消したり、名刺やSNSではペンネームを使う、眼鏡をかけるなど、居場所や名字がばれないよう努力を重ねた。

2011年4月、男性に逗子に住んでいることがばれていることがわかったため、女性は逗子警察署に相談し、緊急警報装置を自宅に設置するなど対策をとり、逮捕の準備を行ってもらった。

逗子署は2011年6月、女性に「刺し殺す」などと書いた脅迫メールを送ったとして、脅迫容疑で男性を逮捕した。その後、2011年7月には、ストーカー規制法で禁止されている乱暴な言動を使ったとしてストーカー規制法に基づく警告が行われた。男性は2011年9月、懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けた。釈放となるので、2011年9月には女性の自宅に監視カメラを設置し、自宅周辺の警察パトロールも行った。女性は、逗子駅で待ち伏せされないように駅を変えるなどの対策も取った。

 だが、ストーカー行為はやまず、2012年の殺人事件に至った。執行猶予判決は、「一切接触しない」(訪問や電話、メールを含む)という「特別順守事項」を伴う保護観察付きであったため、違反すると執行猶予が取り消される状況であったのであるが、男がメールを送りつけていたにもかかわらず警察はそれを把握しておらず、そのため女性にもそれを伝えることもせず、執行猶予を取り消す行動はとられなかった。そして警察は2012年3月には、監視カメラと緊急警報装置を取り外してしまった。

男性は女性の住所をネットで調べた後、事件の前日に探偵業者に依頼して女性の詳しい住所を特定したうえで、事件当日は凶器の包丁を準備して個性の家に向かい犯行に及んだ。
 女性は、上記したように男性に転居先が分からないように生活しており、警察に、「姓や住所は言わないでほしい」と要望していた。同署は幹部らの間で、この要望を情報共有していたが、逮捕時や警察署内で男性に弁解の機会を与えた際に、警察署員が女性の新しい姓や住所を読み上げ、容疑者が住所を特定する手がかりを与えてしまった。法律で要請されていることは逮捕状を示すことだけで読み上げる必要はなかった。3日後にこのことを知って女性と夫は警察に抗議した。
 執行猶予中に男性が行ったストーカー行為の数々を見ておくと、逮捕後も彼は、女性が以前勤めていた会社に身内を装って電話したり、インターネットで情報提供を求めたりして女性の住所を探していた。インターネットの質問サイトに、少なくとも4つの名前を使って何度も大量(400件余り)に、事件の準備や予告をうかがわせる投稿などをしていた。

 たとえば、女性の夫の名前を挙げて「昔、お世話になった方を捜しています。詳しい住所が分かりません。ご存じの方がいらっしゃったらメールで連絡して下さい」「人捜しをしていますが、詳しい番地が分かりません。探偵に頼むしか方法はないですか」、「JR逗子駅から女性の自宅がある周辺へのバスでの行き方」、「殺人事件を犯した犯人が逮捕される前に自殺した場合、どうなるのか」「自炊をするようになったのですが、包丁ってホームセンターに行けば売っていますか」「フェイスブックの写真から位置情報を特定できますか」「探偵業者の方は携帯電話などからターゲットの居場所を特定する際、どんな手段を活用していますか」などと質問(犯行予告)を投げていた。女性の名前の一部を使い、中傷したようなアカウントもあった。実際とは逆に自分をストーカー被害者と装った質問もしていた。

 警察が監視カメラを撤去した後の、2012年4月上旬には、17日間で1089通もメールが女性に送りつけられることが起こった。女性は「(10日間で)1000件を超えるメールが来る」と逗子署に相談したが、殺すなどの言葉がないため事件化できないという趣旨の説明をして、同署は集合住宅周辺で警戒するにとどめてしまった。特別遵守事項を使えなかった。メールには「結婚を約束したのに別の男と結婚した。契約不履行で慰謝料を払え」などと書かれていたにもかかわらず、脅迫的な文言もないとして、県警は立件を見送った。なお結婚を約束した事実はなかった。
女性はストーカーの被害相談をしていた女性カウンセラー(NPO法人「ヒューマニティ」の小早川明子理事長)に警察に行くよう言われたので行ったが、警察が真剣に対応してくれなかったので「警察からストーカー規制法に当たらないと言われた」「警察が何もしてくれない」「(男性が)起訴されるかどうかが心配」などと不安を何度も訴えていた。

 男性が2012年、神奈川県警からストーカー規制法に基づく警告を受けた際、法律に触れる具体的なストーカー行為が書かれた文書を警察から受け取った。そしてそれをもとに、彼は、その後はそれに抵触しないようなストーカー行為を繰り返していた。つまり結果的に警察は彼を助ける情報を与えてしまっていた。女性は計4回警察に相談していたが、県警は嫌がらせを目的とした連続したメールは法律の規制の対象外だとし、「法律に基づいて、できる限りの対応はした」と弁解している。なお、メールであっても、文面に交際や面会などの「義務のない要求」や「乱暴な言動」などがあれば、改正前の法でもストーカー行為にあたるとされていたが、この事件のように「慰謝料を払え」などの文面は規制対象外だと県警は判断した。

元交際相手の男性は典型的な加害者発想をしていた。たとえば彼は、送りつけたメールで「結婚を約束したのに別の男と結婚した。契約不履行で慰謝料を払え」と書いていた。つまり自分と別れて他(ほか)のやつを好きになる(他のやつと結婚する)のは、約束を破ったことで、お前が悪い」という発想をしていた。加害行為をしているのに、自分が被害者だと怒り、その根底には、いったん付き合ったら別れる自由などない、別れるのは契約不履行だという意識、「カップル単位意識」があった。つまり、2人は一体で、基本的に別れないもの、恋人は自分のもの、私は相手のものという相互所有意識があり、だから自分の承認なく勝手に別れるなど許されないと信じているので、ここには、別人格である個人と個人というシングル単位感覚が意識されていなかった。

警察もこのあたりでは鈍感で、男性がDV加害者の典型的な言動を取っているのに、真剣に被害者の保護・支援に回らなかった。三好夫婦が警察に相談に行ったときにも、『完全に男をあなたの所に近づけないような手段をとるということはできないです』と答えていた。

その結果、殺人事件に至った。「脅迫的な文言がなかった」というが、「契約不履行で慰謝料を払え」ということや10日で1000通もメールを送るのは脅迫とみなせる。大昔の別れに執着して何年もストーカーをし、契約不履行だなどというのは暴力である。警官の人権意識の問題である。

さらにこの事件では、探偵業者の問題、市役所の秘密保護の不十分性の問題も浮き彫りになった。男性は、殺人行為の前日に探偵業者に依頼して女性の詳しい住所を特定し、事件を起こしたのだが、探偵業者は役所から20分で情報を簡単に得ていた。この事件に関連して、2013年11月、東京都目黒区の探偵調査会社「アスク・ミー」を実質的に経営する男(59)と代表取締役の男(42)が、別件で逮捕された。この会社が、逗子市のストーカー殺人事件の被害女性の詳しい住所を逗子市役所(納税課)から聞き出し、元交際相手のストーカー男に調査依頼即日で回答を伝えていた。

逗子市役所は情報を漏えいしたことを当初は認めなかったが、女性が殺される事件の直前、ある職員のパスワードによって、市納税課のパソコン端末で、女性の住所などを含む納税記録が閲覧されていたことは認めた。その後、市納税課の元男性主事元主事が、2014年2月、個人情報を漏らしたとして市から停職1カ月の懲戒処分を受け、3月に退職した。ストーカー被害を受けていた女性の個人情報を閲覧する際には、画面が赤くなって警告を発する仕組みになっていたはずであるが、この警告を無視する形で、調査業者からの電話による問い合わせに対しすぐに住所を伝えていた。

探偵業者の男は、税務課など、税金を扱う部署に電話し、「家族宛てに心当たりのない滞納の督促状が来た」「家族を新たに国民健康保険に加入させる手続きのために登録内容を確認したい」などと、問い合わせや苦情を装いながら、担当職員とのやり取りの中で、住所や名前、家族構成などの個人情報を聞き出していた。

なお、この事件を反省して、2013年4月から、ストーカー事案などで保護観察付き執行猶予判決を受けた加害者について、保護観察所と警察との間で順守事項や問題行動の情報共有をすることを開始した。

2016年10月25日、被害者三好梨絵さんの夫は逗子市に1000万円の慰謝料を求める裁判を起こした。住所の漏えいは守秘義務違反で、著しくプライバシーを侵害されたとしている。夫は、 「他の市町村の方にも、こういうことが起きてしまったからもう二度と起こさないでください、ちゃんと守るべきものは守るということを伝えたいというのが、今回の裁判を起こす一つの大きな理由。妻が生きられなかった分も自分が生きていかなければいけない」と述べている。

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資料 DV事件 続き 2013年

◆2013年1月、福岡市で、28歳夫がDVで逃げていた妻を探し出し、その避難先の友人宅で妻の友人を刺殺

2013年1月、福岡市で、河瀬繕秀(よしひで・28・当時)はDVで逃げていた妻を探し出し、その避難先の友人宅で妻の友人を刺殺した。

2013年1月18日、、夫は妻を自宅で殴り、肋骨が折れるけがを負わせた。妻は1月28日、福岡県警早良署に「夫から暴力をふるわれている。離婚を考えている」と相談に訪れた。同署は、被害届を出すよう促したが、妻は「穏便にすませたい」と被害届提出を断った。妻は友人・木浦理紗さん(28・当時)のアパートに身を寄せたが、夫はそこを探し出し、1月30日、包丁やスタンガンなどをバッグに入れては、無断で複製した合鍵を使い、木浦さんの部屋に入った。妻と木浦さん、河瀬の3人で話し合い、離婚することで話はまとまったかと思ったが、夫は木浦さんを刺殺した。妻は河瀬を見送るために木浦さんと2人で部屋の外に出たが、妻が河瀬の忘れ物を取りに部屋に戻ったとき、河瀬は玄関で、刃渡り約15.6センチの包丁で、木浦さんの顔や首などを20カ所以上切りつけた。叫び声で妻が行くと、血まみれの状態で木浦さんが倒れていた。河瀬はその場から飛び出して逃げた。妻は警察と消防に通報。木浦さんは搬送先の病院で絶命した。河瀬は早良署に出頭して逮捕された。
妻が出て行った夜、河瀬は「妻を殺す準備のため仕事を辞めた。殺した後は自分も死のうと思う」と、元同僚の女性に居酒屋で打ち明けていた。

「木浦さんが携帯を持っているのを見て、警察に通報していると思った」と河瀬は供述したが、が通報の記録はなかった。

2013年9月13日、福岡地裁の岡部豪(まさる)裁判長は「殺意の強固さと残虐さが群を抜いている。酌量の余地は皆無」として、懲役24年の判決を言い渡した。「遺族は死刑を求めた。私たちも死んでほしいと思っている。生物学的な意味でなく人格的な意味で。他人を思いやる大人に生まれ変わってほしい」と裁判長は異例の説諭を行った。


◆2013年2月、京都動画脅迫事件

京都府警は2013年12月、京都で、女子中学生(当時14)のわいせつな姿を撮影し、「動画をインターネットでばらまく」と脅した男(同24)を児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕した

◆2013年2月



◆2013年2月


◆2013年3月


◆2013年5月、海老名市ストーカー傷害事件

2013年5月、神奈川県海老名市のアパートで、住民の男性(25)と一緒に室内にいた女性(21)が、部屋を訪れた元交際男性・鈴木暖基容疑者(22)に刃物で刺された。女性は重傷を負い、男は逃走したが、その後、殺人未遂容疑で逮捕。鈴木容疑者は「殺すつもりはなかった。彼女に苦しみを与えたかった」と供述した。


◆2013年5月、神奈川県伊勢原ストーカー殺人未遂事件 … 『ネクスト』p241

2013年5月、神奈川県伊勢原市で、妻にDVをして離婚されていた元夫(32、塾経営)が元妻(31)の首を刺して瀕死(ひんし)の重傷を負わせる事件が起きた。

学習院大学文学部で同級生だった加害男性と被害女性は、2003年夏に出会い交際を始め、2004年3月に結婚したが、すぐにDVが始まった。ささいな理由で暴力を振るわれ、日々ののしられる状況だったが、当時は顔が内出血して変色しても、「精神的にも暴力に支配されていて、化粧で隠さなければと考えていた」。

DVが続く中、女性は妊娠が判明したため、意を決して2005年末、母親にDVのことを話し、当時相模原市に住んでいた母親の元に身を寄せた。この頃、夜中にドアを蹴られるなどの嫌がらせを受けた。男が警察官を装い、隣家から居場所を聞き出そうとしたこともあった。女性は相模原南署にDV被害を相談した。

男性には2006~07年、DV防止法に基づき横浜地裁相模原支部から2回の保護命令(計1年間の接近禁止命令)が出たが、男性は女性の実家に押しかけたり、ドアに女性を誹謗中傷するビラを貼り付けるといったいやがらせを繰り返した。この間の2006年5月に離婚して女性は2006年7月シェルターに入居。当時、相模原市福祉事務所から女性の入居するシェルターに送られた書類には、「離婚の成立している元夫から、執拗で病的な嫌がらせを受けている。保護をお願いしたい」と記されていた。母親宅を経て、保護施設などを転々とし身を隠す日々の中、2010年4月ごろから伊勢原市のアパートで子どもと暮らしていた。

女性と長男は偽名を使って生活をし、同市に住民票閲覧制限を申し立てるなど、男性に現住所を知られないようにもしていた。2013年4月20日には、女性から伊勢原署に「家の近くに不審な自転車が放置されている」と通報があった。警察は、女性の住むアパート敷地内で、カメラのレンズのようなものが入った収納ボックスが荷台にくくりつけられた不審な自転車を発見したが、管理人が張り紙をしただけで撤去された。探偵業関係者の所有と判明したあと、伊勢原署が自転車の所有者の勤務先とみられる探偵業者の事務所に連絡したが、「関係ない」との説明を受けると引き下がり、それ以上のことをなにもしなかった。そしてこの顛末を署員は女性に伝えなかった。カメラが仕掛けられていた時に伊勢原署生活安全課警部補は上司に対し「被害者女性に電話をしたがつながらなかった」といっていたが、実際には電話をしておらず、嘘の報告をしていた。その警部補は後に「事態の重大性に怖くなり思わず嘘をついた」と話した。別の署員も、類似した状況が2年前にもあったという情報を女性から得ながら上司に報告しなかった。

その約1か月後、今回の殺人未遂事件が起こった。女性は警察に「元夫の性格からして、手段を選ばず住所などを調べてくるのではと不安です」と訴えたのに警察は今回も失態を演じた。

2012年2月には、加害者男と同居している男の母親が埼玉県警所沢署に暴力被害の相談をしており、事件前日の2013年5月20日にこの母親が他県に避難した(ここからも男の暴力性がわかるが警察は元妻への暴力とつなげなかった)。

母が警察に行って避難したことを受けて男は逆上し、元妻に怒りを向けた。男性は埼玉県所沢市からレンタカーを夜通し運転し、伊勢原市の女性のアパート近くの駐車場に到着。2013年5月21日朝、女性がアパートから出てくるのを確認すると、走り寄って犯行に及んだ。「母に捨てられたショックで我を忘れてしまいました」とのちに語っている。

元妻の居場所を見つけるために男性は女性と別居後の2011年9月ごろ、女性宅の住所を調べるよう探偵に依頼。離婚後に伊勢原市に引っ越していた女性の実家を特定した。しかし、女性宅の特定にまでは至らなかったため、男性は母親(57)に住所を調査させていた。その母親は、女性の実家周辺で、女性の親族の車を発見し、それを元に2011年11月末、女性宅を特定した。

 男性はこの情報を探偵業者に伝え、「女性の暮らしぶりを知りたい」といって探偵業者に隠しカメラ付の自転車で探らせていた。

 また、彼は、サイト上で自身で作り出した架空の世界や言語についての動画を投稿するという自己陶酔型の人間(ナルシスト)であった。「You Tube」には自作のストーリーの作品が投稿されていたが、その内容は男性が主演を努め、母親の形見の衣服しか身につけることのできない少女の気持ちを男性が魔法で解き放つというもので、せりふは全て貞苅容疑者が創り出した架空言語「アルカ」、字幕つきという手の込んだものであった。男性には、マザコン的性格があった。

この事件には、加害者が離婚して6年もたっているのに執拗に恨んでいたという点に特徴がある。逮捕時に語った「離婚の時、元妻に冷たくあしらわれ、攻撃したいと思ってしまった」「離婚の時に突然出て行ってしまい、おなかの子のことを話したいと言っても、父なのに冷たくあしらわれ、攻撃したいと思ってしまった」「全ての元凶は元妻が出ていき、自分を無視し続けたことにある」といった理由は、加害者発想の典型である。離婚後6年もたってから探偵を使って居場所を探すのは異常な執着心といえる。昔の男性のブログには、元妻に対して、「俺を馬鹿にした奴は許さない。(中略)本来ならあいつを殺さねば気が治まらん」と記されていた。

この男に加担した母親や探偵業者にも大きな責任がある。

なお、殺人未遂罪などに問われた元夫は2013年12月に懲役12年の判決を受け、服役したが、それでも女性は身を隠す生活を続けている。彼女は、襲われる悪夢やフラッシュバックにも頻繁に見舞われるようになり、「この12年が、私の余命になるかもしれない。身を守る手だてがないまま、カウントダウンが始まっている」「人から見える部分に傷がついたのは、想像以上のショック。」「私にとっての解決は、元夫が一生社会に出られなくなるか、私の居場所が知られた経緯が分かり、それを防ぐ手だてができるかのどちらか」と悲痛な胸中を語っている。被害女性は、裁判で、事件について、「婚姻中の暴力に始まり、離婚後の嫌がらせや逃げ続けた日々と一続き」と指摘した。

◆2013年5月




◆2013年5月


◆2013年5月



◆2013年6月、横浜市デートDV無理心中事件

2013年6月、横浜市で住人の大学1年の女性(19)が、交際相手で別の大学1年の少年(19)に顔や胸などを刺されて殺された。加害者は「無理心中しようとして刺した」と話した。被害者女性は、高校時代から少年と交際していたが、バイト先の同僚に「しつこいから(少年と)別れたい」と話していた。手の甲に無理やり名前を彫られたこともあったという。殴られて左耳が聞こえにくいとか、別れるなら殺すともいわれたという情報もある。


◆2013年6月、栃木県出所後DV殺人事件

2013年6月、栃木県真岡市で、妻へのDVや子供への虐待をしていた堀内真治容疑者(39)が妻の母親(70)を殺害するという事件があった。

堀内容疑者は、妻子やその母親ら家族と同居していた2009年、三男(当時3歳)の顔に熱湯をかけてやけどを負わせたなどとして懲役3年の実刑判決を受けた。出所した後、二女や子供に会わせろなどと母親に求めてきてトラブルになっていた。母親はDVや虐待をしていた男であることを知っていたため、「何があるか分からない。身の危険を感じる」「何があるか分からないので、すぐに外に出られるよう、普段着のまま眠らなくてはならない」と友人や警察に話していた。別居している堀内容疑者の暴力におびえ、県警に相談していた。

 堀内容疑者のDVに関し、妻とその母親は警察に相談したこともあり、数カ月前に解除されるまで自分の電話番号を登録するDVなどの被害者支援制度(「特定番号登録」制度)を利用していた。しかし、殺害された当時は同制度の利用は停止状態だった。男は、妻の居所を母親に聞こうとし、母親宅で頭や腹に暴行を加え、腹腔(ふくくう)内出血などで失血死させた。

 警察はDVや児童虐待の時点で、および出所後に脅されているという相談があった時点で、もっと真剣に安全策を取るべきであった。


◆2013年6月、サッカーの元日本代表DV逮捕事件

2013年6月、神奈川県戸塚で、サッカーの元日本代表MF奥大介容疑者(37)が、妻で女優の佐伯日菜子(36)に対して「殺しに行く」などと電話をかけ脅した疑いで逮捕された。

妻は夫からの暴力について警察に相談し、被害届を提出した。妻へのDVが2007年ごろからあったと妻は証言している。妻の預金通帳を取り上げ、「プロデューサーや監督と寝てでも仕事をとってこい!」と妻に暴言を吐いたことや携帯電話を折るような行為をしたこともあるという。

奥容疑者は2002年に佐伯と結婚、2女をもうけ、公の場にも家族で姿を見せるなどおしどり夫婦として知られていたが、「お酒好き 豪快な天才肌」で、激高しやすいタイプであったという。

2006年には当時所属していた横浜F・マリノスから戦力外通告を受け、スター選手として歩いてきた彼にとってこの挫折は彼自身を大きく変えてしまった。その頃から酒浸りになってしまい、泥酔した彼を佐伯さんが責め、夫婦喧嘩が始まると、彼はカッとして「誰のおかげで生活できてると思ってんだ!」などとののしって彼女に暴力を振るうようになってしまったという。奥は嫉妬深い性格らしく、日頃から佐伯の浮気を疑い、携帯電話を折ったりしたこともあった。

現役引退後は横浜FCのサッカースクールのテクニカルアドバイザーや多摩大学目黒高校のサッカー部監督を経て、一昨年に横浜FCの強化部長に就任するも、体調を崩して辞任。指導者に転身したものの、どれも結局は途中で挫折し、最近は、知り合いのお好み焼き屋でアルバイトをしていた。

佐伯さんは周りから彼との関係を反対されたこともあったが、ジェンダー的にも古風な考え方の人のようで、簡単に別れないと我慢をするタイプだったという。子供が成人するまでは何があっても離婚しないと無理して我慢していたが、殴られる母親を見て、子どもたちが涙ながらに「ママ、もう私たちのために頑張らなくっていいよ」といったために、警察に相談することを決意したという。



◆2013年10月、東京三鷹市・高3トーカー殺人事件

・・・ 『ネクスト』p244より加筆修正

2013年10月8日、東京都三鷹市で、高3年の女性Aさん(18)が、元交際相手の池永チャールズ・トーマス(事件当時21歳)に刺殺された。男は日本人の父と、フィリピン人の母との間の子だった。交際の再開を拒まれて恨みをもち、「別の男と交際するくらいなら殺害しよう」「彼女と他の異性との交際を考えると身の焦がれる思いになり、この苦痛から逃れるため」と考え、殺害を決意したという。男性は、昼すぎに女性宅に侵入し、クローゼットの中で待ち伏せして襲っていた。

2014年8月の東京地裁裁判で、起訴された罪の有期懲役の上限となる懲役22年(求刑・無期懲役)を言い渡された。男は「事件後に自殺を望んだ」と口では言いながら、一審で懲役22年の判決を下されたあとに減刑を望んで控訴した。

なお、一審で検察がリベンジ・ポルノを起訴しなかったにもかかわらず刑量に含めたため、高裁が不当として地裁への差し戻しを決定した。そのため2016年の3月に改めて差し戻し審が行われ、2016年11月に高裁で二審が開かれている。

この事件では、犯行の前後に、復讐のため、および「付き合った事実を半永久的に残すため」という理由、「彼女の尊厳を傷つけたいという気持ち」などから、女性との間でやり取りした画像(裸、下着姿など性的なものもあった)をネットにアップしたため、それが多くの人に見られるという被害ももたらした(リベンジポルノ)。 

男性は京都に住んでおり、女性(当時高校1年)とは2011年7月にフェイスブック上で知り合い、同年12月のクリスマスに会いに行き交際を始めた。男は彼女に会うために頻繁に東京へ会いに行き、2012年5月には女性の両親に挨拶をして交際を報告した。肉体関係になったのは、その2ヵ月後の7月だった。交際開始後、女性に対し、「母親からネグレクト(育児放棄)を受けるなどした自身の成育歴」を告白し、真摯に聞いてくれ、家族が愛してくれないなら私があなたに欠けている愛情を満たしてあげるなどと言われたため、彼女が心の大部分を占めるようになった。

男性は、高卒・フリーターであったが「立命館大の法学部生」と偽って女子高校生と交際していた。また別の女性とも交際していた。

ウソがばれることに不安を感じた男は、米国留学して自然消滅させようと考え、2012年の9月に「留学する」と言い残してアメリカへ旅立った。アメリカ滞在中、男はAさんの別れたくない気持ちを利用して、裸の写真を何枚も送らせる一方で、現地で知り合った女性と交際し、そのことをAさんに伝えたりした。男は3カ月で帰国したが、Aさんには「一時帰国」と言って会い「別れよう」と言ったりして振り回した。

そうした男の態度に嫌気がさし、Aさんは2013年1月ごろ「ほかに気になる男性ができた」といって別れたいといった。男性は動揺し、彼女の気持ちを取り戻したいと考え、復縁を迫り続け、会ってくれないなら裸の写真を流すなどと脅して連絡を取り続けた。

写真のことがあるので、2013年3月、女性がクッキーを持って大阪の池永のアパートを訪れ写真の削除をもとたため、男は消すふりをした。そのとき男は女性のよそよそしい態度に対し、女性に手錠をはめて性行為を無理やした。口論になっているところを人に見られてもいた。

そんなことがあったため、女性は二度と会わないと男に告げた。男は、フラれたことに怒りを持ち、SNSを通してAさんの動向を調べ、新たな恋人ができたことを知って殺意を抱くまでになる。別れた状態であるのに2013年5月ごろの男性のブログでは彼女との仲の良かったころの写真をアップして仲良く付き合っているかのように装っていた。Aさんはその後も男から脅しを受けつづけたことで、6月には両親に相談した。それを受けて女性の父親が2013年6月、男性に「もう娘に連絡しないでくれ」と電話で伝え、同時期に男性からの電話を「着信拒否」に設定した。着信拒否をされた後、男性 は別の女性と交際するなどしたが諦めきれず、7月中旬ごろに、この苦痛から逃れるために彼女の殺害を意識するようになった。ジムで体を鍛えたり、友人と(空手の練習の)組手をしたりするなど準備を進めた。

男は、外国人女性らしき名前を名乗り、LINE(ライン)など、女性の高校の友人にも「復讐してやる」「殺してやる」とのメールを送っていた。

京都に住んでいるはずの男性は2013年9月27日から上京して野宿をしたりしながら殺害の機会をうかがっていた。またその途中の10月2日には、Aさんの裸の写真など画像67点をアダルト投稿サイトにアップロードした。その画像のうち、13点は後に児童ポルノと認定された。Aさんと両親は、画像が流されたことを知りショックを受ける。父親は、娘のポルノ画像が流出されたのを知った時、女優の夢が絶たれたばかりか、もう娘は日本で普通に暮らすことはできない、と思った。

男は、都内の女性宅周辺をうろついていたが、Aさんはそのことに10月1日と4日の少なくとも2回気づき、京都にいるはずなのに東京にきていると恐怖を感じた。

そのため、10月4日、高校3年の彼女から相談を受けた高校の教師が、学校の最寄りの杉並警察署に対して、「生徒が「殺すぞ」とメールを送りつけられたり、自宅近くで待ち伏せされるようなストーカー行為に遭っているが、どこに相談に行けば良いか」と電話をした。この時、杉並署は、ストーカー行為が女性の自宅周辺での待ち伏せだったため、自宅を管轄している三鷹署への相談を勧めただけで、具体的に聴いて対応するなどせず、また杉並警察署から三鷹署への引き継ぎもしなかった。

時計は午後5時を回っていたので担当者は「もう窓口が閉まる。土日は緊急でないと対応できない」と回答した。杉並署幹部は後に「電話での問い合わせの範囲で、正式に受理する以前の段階だった」と弁明した。女性の名前や住所、詳細な被害状況なども把握しておらず、応対した生活安全課員が内容を記録して上司に報告することもなかった。つまりまったく積極性がない対応だった。たらいまわしを防ぐため、警視庁はほかの署に被害相談を引き継ぐ場合は記録を残すよう指示しているが杉並署はそれもしていなかった。

そのため、三鷹署からAさんの方には何の連絡もなく、女性は事件当日の10月8日午前9時ごろに両親と同署を訪れ2回目の相談を行った。そこで女性は「別れたつもりだった交際相手が、関西に住んでいるはずなのに、10月1日と4日の通学途中に自宅近くで待ち伏せしていた。怖い」と警察に被害を訴えていた。
署の窓口となった生活安全課では、男性を呼び出すため、その場から男性の携帯電話に3回電話をしたが、出なかったため、留守番電話に「折り返し電話をください」とメッセージを残しただけだった。後でその電話番号は男性の友人の携帯電話の番号で、男性自身には電話はつながっていなかった(ただし友人からの情報で警察から電話がったことを男性は知った)ことが分かった。

警察は相談に来たAさん親子に望む対応のチェックリストを提示し、女性は「注意、口頭警告」と「文書警告」の両方にチェックを入れた。シェルターへの避難要望などはなかったため、同署は文書警告の手続きを進めようと「メールのやり取りを教えてほしい」と要請し、翌日午前に改めて来るように話をして終わった。
欧米では警察に相談があった時点で、すぐに自宅などに出動する仕組みが整っているが、三鷹署が警察官を派遣したのは、女性が刺されて通報を受けてからだった。事件当日の8日朝に女子生徒からストーカー被害の相談を受けた三鷹署員が、ほかの署員や上司が別の仕事をしていたりイベントに出ていたので、誰にも言わず、被害届も取らず、同日午後5時前の殺害時間帯まで上司に報告していなかった。 

Aさん親子が警察に相談しに行った同じ日の10月8日野夕方、学校から帰ったところを襲われ、ティナイフで首や背中など11カ所を刺されれた死亡した。男は其の殺害したAさんの姿を携帯電話で撮影し逃亡した。
警察の対応に危機感が少なすぎてこの結果となった。すぐに10月4日の時点で被害届として受理し、杉並署と連携し、三鷹署が女性宅に聞き取りに行くこと、家の周りの警備を始め、加害者及び加害者の親に接触して警告をし、切迫度を見極めて対応をしていたならば、また女子生徒をホテルや親戚宅に避難させ、当分自宅に帰らせないなど、安全確保を最優先していれば事件は防げたであろう。

警察から加害者に電話連絡したので加害者が無謀な行動に出る危険性があったし、「自宅周辺で待ち伏せされている」と訴えたのだから、帰宅時間に合わせて警察官を派遣するべきであった。自宅周辺に監視カメラを設置する方法もあった。こういう問題の専門家として、被害者の身辺保護など何があっても助けるという動きを警察が取らなかったことが問題であった。

なお、彼には幼少時の貧しい生活の中で、ネグレクト被害や母親の交際相手から激しい暴力を受け、児童相談所に保護されていた経験があった。

男はフィリピンで出生し、2歳の時に来日。4歳の時にフィリピン人の母と日本人の父が離婚して以降、辛い生活環境におかれるようになった。母はクラブのホステスとして働き、何人もの男と交際し、幼少時の男は、母の交際相手から、ライターで“鼻の中”を燃やされたり、浴槽の水の中に顔を沈められたりといった過酷な虐待を受けていた。母が何日も家に帰ってこないことも日常茶飯事で、お金も食べ物も尽きると、近所のコンビニエンスストアで消費期限の切れた弁当を無心していた。母も交際相手の暴力を受けるようになると、逃げるように転居を繰り返し、小中学校を通じて4回もの転校を強いられていた。

 

◆2013年10月、宮崎、3人の女性を支配するDV男が殺人

2013年8月ごろに宮崎市で、東竜二(29)が女性二人とともに、女性(当時27歳)を棒などで殴り重傷を負わせ、10月15日頃、手足を押さえ、タオルで鼻や口を塞ぎ窒息死させたため、逮捕された。遺体は切断されていた。

2013年7月下旬から同年8月13日頃までの間、宮崎市のマンンションで、東被告の指示の元、金丸真菜実(24)阿部祐美(23)の3人で被害者女性を殴るなどしていた。3人は10月に女性を殺した後、遺体を包丁などで切断後、カレールーで煮込むなどし、アパートに遺棄した。

 この事件では、東被告がDVなどを通じ、殺された女性と金丸、阿部被告の3人を金銭的、精神的に支配しいていた。東被告が「東ルール」などと称し、3人に対し、①男性や家族との接触の禁止 ②外出時の報告 ③食事や睡眠の制限 ④性行為などを強要し、ルールを破った際には、暴力をふるっていた。

東被告は「自分は暴力団のトップで、もし逆らえば家族や親戚を殺す」などと3人にうそを言い、仕事などで得た収入のほぼ全額を手渡すようにさせていた。

暴力の後は必ず「お前のためを思って殴った」などと3人を説得。3人を互いに監視させ、何かあったら東被告にメールで報告させるようにしていた。また、お互いを殴るように指示することもあった。

途中で、DV被害に気付いた3人の両親らが過去に2度警察を呼んだが、本人らが「殴られたのではなく、ころんだだけ」と訴えたため、警察も対応できず事件の発覚が遅れた。


3人以外にも被害者は多数おり、裁判の中でもDV被害を受け続けていた元妻の調書や、1年間に315万円をだまし取られた女性の調書が読み上げられた。元交際相手は、「家族に危害を加えると脅されて逆らうことができず、東被告に連れてこられた部屋で、監禁に近い状況が1か月ほど続いた。13年4月8日、東被告が外出した際に友人宅に逃げた。仕返しが怖くて警察に相談できなかった。」と話した。

 東被告は、宮崎県で生まれ、母子家庭で育ってきた。事件当時はホストの仕事をしており、3人はいずれも東被告の客だった。ただしホストの仕事はほとんどせず、最終的には3人の収入を頼りに生活をしていた。過去にもDVのため、傷害容疑で逮捕されている。   

金丸真菜実と阿部祐美の両被告は裁判で「東被告の度重なる暴力やうそにより判断能力が低下していた」、「東被告から、殴らなければお前を殴るぞ、と女性を含む3人が脅され、相手を殴ることがあった」、「やらなければ自分がやられると思った」などと主張。

両被告によると、被害者女性に知り合ったのは2012年10月26日。東被告が、3人で住むマンションンに女性を連れてきた。その後は4人で共同生活を送り、東被告はそれぞれと交際していたという。

加害女性たちは、「東被告に別れ話を切り出したころから暴行を受けるようになった。今までつかれたうそも、当時はすべて信じていた」、「逆らえば家族や友達に危害を加えるといわれ、逃げることができなかった」、「いつ殴られる分わからず常に機嫌をうかがっていた」などと述べた。

逮捕後、「警察官から男女間の暴力被害に関する本を読んでもらい、『家族や友人と連絡をとるな』という東被告の指示はすべて間違いだったことに、だんだんと気付いていった」と話した。


◆2013年11月、市川市、ストーカー刺殺事件

2013年11月、千葉県市川市で、湯浅栞(しおり)さん(22)が、元交際相手の岡逸人容疑者(23)から刺されて死亡した。男はタクシーで女性を尾行していた。湯浅さんは3歳の娘、35歳の男性と同居していたが、警察に「元交際相手に復縁を迫られてトラブルになっている」と相談していた。湯浅さんは、岡容疑者と2年ほど前から交際し、同せいしていたが、2013年9月の初めごろに解消していた。
そのおよそ2週間後の9月24日に、「今つきあっている男と別れろ」と、岡容疑者は、湯浅さんの実家を訪れ、復縁を迫り、自ら「女を殴った」と110番通報した。駆けつけた警察官の前で、湯浅さんは「わたしには、交際している人がいるから、家に来ないようにしてほしい」と訴えたという。警察は、岡容疑者に対し、ストーカー規制法の内容が書かれた資料を見せ、口頭で注意した。岡容疑者は、この時は素直に応じたが、およそ1カ月後、湯浅さんの実家近くで、「女を取られた」などと騒ぎを起こし、近所の住民に通報された。岡容疑者は、事件の1週間前にも、自宅近くで、「彼女に振られた」などと触れ回っていた。


◆2013年11月



◆2013年



◆2013年12月、青梅市別れ否定強迫

東京都青梅市で、2013年12月、30歳男性が別れ話を言われたために交際相手の女性(30代)に対し「交際を続けなければ裸の写真をばらまく」などと脅して強要未遂の疑いで逮捕された。女性が2013年11月29日に男性に別れ話を切り出したところ、男性は、11月29日~12月4日にかけ、4回に渡って「交際を継続しないと交際中に撮影した裸の写真や動画をばらまく」などと書き、写真や動画を添付したメール携を送信し、脅した。女性は12月6日に警察に被害届を提出した。

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DV関連事件情報 2014年

サブタイトル

◆2014年2月、足立区、ストーカー刺殺事件

2014年02月、東京都足立区で、石崎悟容疑者(49)が元交際女性(52)を刺した。女性は、足立区に住む元交際相手から「気に入らないことがあると男が『殺す』とメールを送ってくる。別れたいがどうしたらいいか」などと警視庁西新井署に2013年7月から5回相談していた。つまり最初は別れてくれないDVであった。2013年12月26日には「『許してくれないと殺す』と、よりを戻すようカッターナイフを突き付けて脅された。」と110番に通報した。同署は女性をホテルに避難させ、脅迫容疑での立件を検討したが、女性は「事件化せず口頭警告にとどめてほしい」と要望したという。このため同署は翌27日、男を署に呼び出し、ストーカー規制法に基づき口頭警告した。

2014年1月30日にも署員が安否確認の電話をしたが、異常はなかったため、二月上旬には女性の了解を得て、自宅に設置した防犯カメラを撤去した。石崎容疑者は「犯行直前、友達の関係に戻りたいと何回も言ったが拒絶され、脅かすために包丁を持ちだしたら気付いたら刺していた」と供述した。


◆2014年2月東大生が猥褻な写メ送受信で逮捕  

・・・・・・本書、1-7

◆2014年2月、群馬、ストーカー射殺事件

2014年2月、群馬県館林(たてばやし)市で、永井隆央容疑者(39)が元交際相手の鈴木千尋さん(26)を射殺した事件。警察が殺人容疑で逮捕状を取り男の行方を追っていたところ、男性は自殺した。

仕事を続けていた鈴木さんは、同居中の永井容疑者に「俺がおまえの面倒を見てやっているから、家を出るな」と当たられ「何かされるのでは」と怖がっていた。DV状態であった。そんな中、鈴木さんは以前住んでいた栃木県佐野市内で2013年11月1日、男から手首をつかまれるなどの暴行を受けたと被害届を栃木県警に出し、男は12日に暴行容疑で逮捕され、同22日に罰金刑を受けた。

男性は、釈放後に社長から「前向きに生きろ」と言われたが、12月中旬に「うつ病になったので辞めたい」と言い出し出社しなくなった。その後、鈴木さんに無料通信アプリで頻繁に連絡するなど、つきまとっていた。同県警はストーカー規制法に基づき文書で警告。男の釈放に合わせ12月3日、鈴木さんは男の土地勘がない群馬県大泉町に住民票を移し、住民基本台帳の閲覧制限を申請。男性は警告を受けた後も鈴木さんの実家に手紙を送り付け、鈴木さんに「会いたい」などと復縁を求める電話やメールを繰り返した。鈴木さんはそのたびに栃木県警に相談。一方で、鈴木さんから男に連絡することもあり、「鈴木さん側が完全に拒否しておらず、ストーカー規制法に基づく措置が取れなかった」と栃木県警幹部は言っている。

そんな中、12月19、20両日、鈴木さんと父親が栃木県警佐野署に「直接会って話をする」と電話し、署員は「第三者を介した方がいい」などと説得しだが、鈴木さんは応じず、同22日に佐野市の飲食店で鈴木さんと父親、男の3人が面談した。交際中に男性が支払った交際費を巡っての話し合いなどとなったが、話がまとまらず、結局、鈴木さんは「別れたい」、男は「別れたくない」と平行線で終わった。

この際、佐野署員が男をボディーチェックして凶器などを持っていないことを確認したが同席はしなかった。栃木県警生活安全企画課は取材に「ストーカーに関わる面会ではなく、交際中に男性が支払った交際費を巡る金銭トラブルという位置づけだったので、警察官が立ち会う必要はないと判断した。本人や家族が嫌だと思っていない以上、面会も止められなかった」と説明した。

 。栃木県警は12月26日、改めて男性に「今後ストーカー行為などはしないように」と直接指導した。しかし、男性は鈴木さんの実家に手紙を送るなどしたため、この注意は断続的に2014年1月10日まで続いた。鈴木さんと父親は2014年1月10日まで佐野署に十数回連絡や相談をしていた。

 転居先の群馬県警は2013年12月3日、栃木県警から被害内容を引き継いだ。その後も、鈴木さんから栃木県警に相談があるたびに群馬県警にも伝えられた。ただ、群馬県警が鈴木さんのアパートを確認したのは1月18日、初めて安否確認の電話をしたのは同20日だった。鈴木さんには直接会わなかった。もともと住んでいて先に相談した栃木県警と、鈴木さんの転居先として被害内容を引き継いだ群馬県警とには温度差があった。栃木県警は男に繰り返し警告や注意を出していたが、群馬県警の方は危機感が少なかった。


◆2014年2月、愛知、リベンジポルノ事件

2014年2月、愛知県で、蛭田貴雄容疑者(46)が、元交際相手の女性の半裸画像をインターネット上に投稿したため、名誉毀損の疑いで逮捕された。女性から別れ話を切り出された後に、執拗にメールや電話を繰り返していた。逮捕容疑は2013年8月13日、以前に交際していた名古屋市南区の女性(37)が半裸で写っている画像1枚を、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に投稿。不特定多数の人が閲覧できるようにして女性の名誉を傷つけた疑い。






◆ 2014年3月、東京、画像送信強迫で逮捕

2014年3月、東京都内に住む女性(19)は、2カ月前に無料通話アプリの掲示板で知り合った男(「24歳の看護師」と言っていたが、実は福島県在住の40歳介護士だった)から画像のことで脅された。男は「お前、俺のことナメすぎてっからさー、いつでも(画像を)流せるんだからな。忘れんなよ」などといった表現で画像をネット上にばらまくと脅したとして、警視庁に脅迫容疑で逮捕された。女性はメールのやり取りの中で男性に好意を抱くようになり、「顔が見たいな」といった要求に応じるようになりその後、下着姿、そして裸など自分で撮った画像を送った。男は女性から「別れ」を切り出され、画像で脅した。



◆2014年4月、栃木ネット画像強迫

2014年4月、栃木県内で、男がLINE上で20代の女性を脅して現金を奪ったとして、恐喝容疑で逮捕された。2人は出会い系サイトを通じて知り合い、LINEでやり取りをするうちに親密となり、女性は、男の要求に応じて裸の画像を男に送るなどしていた。女性が金銭の要求を断ると男の態度は一変。「写真や動画をほかのやつに売る」と脅し、5万円を振り込ませた。


◆2014年4月、広島市、元交際男、アプリ悪用で元彼女を監視 ・・・・・本書1-7

◆2014年4月大阪、DVの末に別れ話で殺人未遂

2014年4月、大阪市旭区で、東裕貴容疑者(27)が交際相手の20代女性をマンション8階から飛び降りさせて大けがをさせたため、大阪府警は男を殺人未遂の疑いで6月4日に逮捕した。別れ話のもつれから「俺が今から殺すか、自分で死ぬかどちらかを選べ」と女性を脅迫した。その結果、女性はマンション8階の通路から飛び降り、4メートル下の7階の階段踊り場に落ち、腰や脚を骨折した。

女性は2013年2月~9月に数回、府警旭署に東容疑者からのDV被害の相談をしていた。女性が被害届の提出を望まなかったため、署員が女性と定期的に電話で安全確認をしていた。





◆2014年5月愛知、別れで裸の写真脅し  ・・・・・・本書1-7


◆2014年5月、大阪平野区、DV男のストーカー殺人事件 

・・ 『ネクスト』p246に加筆

2014年5月、大阪市平野区で松本隆被告(57)は、通っていた店の従業員である女性、井村由美さん=当時(38)を刺殺した。2015年5月、大阪地裁で、殺人罪などで懲役30年が言い渡された。

松本被告は、2013年9月の元妻事件の判決後に釈放されて間もなく、たまたま入ったスナックで井村さんと出会い、一方的に好意を寄せ、言い寄り、結婚しようと言ってストーカーを始めていった。

店の女性経営者が2014年2月、男に店に来ないよう連絡し出入り禁止とした。しかし、女性への電話やメールはやまず、井村さんは3月1日、男から「殺される前に警察に電話してや。頭を冷やす時間を最後にくれや」と殺意を示唆するメールを受け取り、翌日、府警松原署にストーカー被害の相談をした。3月1日と2日の2日間で33通のメールが来た。松原署は危険度をBランクと判断し、3月2日、ストーカー規制法に基づき男に電話で口頭で注意した。

男は警察に対し「もう関わらない」と約束したが、内心では、「これ以上すると罪になる」という署員の言葉に「自分がストーカーなんて意味不明」と思い、腹が立ち、井村さんを「殺そうという気持ちが芽生えた」(公判証言より)。

その後も井村さんにメールを送ったりしたため、2014年3月中旬に規制法に基づく警告を出された。

2014年4月2日、署員が連絡したところ、井村さんは「その後は何も起きていない」と話したため、危険度をBランクからCランクに落とした。女性は危険を避けるため別の職場に移っていたが、再び元のスナックに戻ってきた矢先の事件だった。安全確認の連絡をBランクの2週間に1回から、Cランクの月1回に変更し、ちょうど月1回の連絡を入れる日に井村さん殺害の事件が起きた。

男は、「女性が好きだった。このままでは会うこともできない。女性を殺して自分も自殺したら、あの世で一緒に暮らせると思った」と供述した。
 この男性は、2013年3月、半年前に離婚した元妻に新たな交際相手ができたと知って、「裏切られた」と逆上し、2013年6月に元妻の勤務先に乗り込み暴行、府警に傷害容疑などで逮捕されていた。2015年の公判で当時の心境を問われ、「殺したい気持ちでいっぱいだった」と述べた。だがその気持ちは隠して、「元妻には関わらない」と約束し、2013年9月に懲役2年、執行猶予5年の有罪判決を受けた。

だが、釈放直後から元妻の勤務先などに繰り返し電話をするなどしたため、2013年10月初め、DV防止法に基づき、裁判所から元妻への接触を禁じる保護命令が出された。だが、10日後にはさらに命令を無視して電話を再開した。

警察は、この松本被告がそうした人物であると知り、保護命令違反に直ちに逮捕などで対処すべきであったし、2014年に井村さんから相談を受けた時に、この男がDV/ストーカーをしていたような執着心御強い危険な人物であることを伝えるべきであった。2014年3月ごろ、元妻の相談を受けた別の警察署からもDV防止法に基づく保護命令を無視した容疑で男は事情聴取されていた。そのため、男は薄れていた元妻への恨みが再燃し、元妻の殺害も決意したという(公判証言より)。

つまり2014年3月ごろ井村さん事件に関してもこの男に警告を出していたし、元妻関係でもこの男に接して事情聴取していた。しかし警察は井村さんに何も伝えず、十分な対応を取らず、危険度を見誤り、警告後、加害者に接することもなく危険評価を下げるなどしていたわけで、大阪府警の対応には多くの問題があった。

危険性判断チェックによって危険度をBランクに評価したなら、2週間に一度安全確認の連絡を取るとマニュアルではされていたが、少し遅れ、その後Cランクに下げたために一か月後に被害者に連絡しようとしていただけで1か月たつたということで連絡しようとしている中で事件は起こった。

元妻への態度、裁判で有罪判決を受けて執行猶予中でも無謀なことをするということから分かるように、この松本被告は強い攻撃性と執着心を持つ加害者だった。だからそのような危険な人物ということを井村さんに伝えるとともに、危険性を正しく把握すべきだった。それをせずに、警察の注意と警告だけで終わったために、逆効果を生んでしまった。警告をされて「自分がストーカーだって?」と腹を立てて殺すことまで考える人物であった。元妻事件との連携が警察内・司法関係で取れていないことが最大の失敗であった。

また、理想的な方向としては、警告の前後に加害者に接触して状況を見極め、その加害者に適した対応をとることが警察等に求められるが、そうした体制になっていないことが問題である。


◆2014年6月、神奈川県横須賀 元交際相手刺殺事件

2014年6月、神奈川県横須賀で、大谷登志雄容疑者(43)が、元交際相手の加藤美穂さん(22)を刺殺したため、逮捕された

大谷容疑者と加藤さんは同年2013年4月から5月まで同居していた。このときに加藤さんはDVを受け上司に付き添われて警察に相談。同年6月、大谷容疑者が復縁を迫り加藤さんの首を絞めたため、傷害容疑で神奈川県横須賀署に逮捕され、同8月に執行猶予付きの有罪判決を受け、釈放されていた。被害届を受け、同署は加藤さん宅の見回りをするようになった。その後、同署員が加藤さんに複数回面会したが、「おびえている様子は見られなかった」としている。

 また、加藤さんは男に見つからないよう自宅を引っ越し、2013年11月、住民票の閲覧制限を横須賀市に申請し、受理されていた。市は加藤さんをDV・ストーカー等支援対象者としていた。

さらに2014年3月、加藤さんの自宅の鍵穴に接着剤が塗られるといういやがらせをされていたため、加藤さんは同署に被害届を出す際、元交際相手の男がやった可能性があると説明したため、同署はその後、自宅の見回りをするなどしていた。

 その後、大谷容疑者は加藤さんが勤める飲食店に客として訪れるようになり、2014年6月だけでも3回来店。加藤さんは店のオーナーに「元彼です」と紹介していた。

 男は2014年6月28日、加藤さんの自宅に押し掛けて口論となり、ホテルに逃げ込んだ加藤さんを刺した。自宅をどのように特定したのかは不明。



◆2014年6月



◆2014年6月、東京・日野市 別れを認めず殺人

2014年6月、東京・日野市で、飲食店従業員の安保克容疑者(24)が元交際相手の堀田さとみさん(24)を首を絞めて殺し、市内の河川敷に遺体を遺棄したとして、逮捕された。

  安保容疑者は堀田さんと高校時代から約6年間交際を続けていたが、1年ほど前から安保容疑者が暴力を振るうようになり、脅迫する内容のメールが送りつけられることもあった。耐えかねた堀田さんは2014年5月ごろに別れ話を切り出したが、安保容疑者は応じず、堀田さんを自宅周辺で待ち伏せをするなどのストーカー行為をするようになった。堀田さんには新しい恋人ができたが、その男性と一緒に歩いているところを見かけると、車で幅寄せするなどの嫌がらせをしてきた。

堀田さんは会社の上司に安保容疑者から待ち伏せされたり、恐喝的な怖いメールが入っていたりしていることなどを相談していた。上司は「(ストーカー行為が)ひどくなるようなら警察に相談したほうがいい」と助言したが、堀田さんは「警察に行ったら家族にまで危害を加えられるかもしれない」と首を縦に振らなかった。

堀田さんは6月18日から行方がわからなくなっていたが、22日午後2時半頃、遺体で見つかった。堀田さん自身がストーカー行為を止めるように男の自宅に話し合いに行って殺害された。

◆2014年8月、鹿児島、DV 被害者が元夫を絞殺

 2014年8月、鹿児島で、園田美咲容疑者(40)は、同居していた元夫(三腰広美さん、75歳)を絞殺したため9月に逮捕された。

2人は2013年11月に結婚。今年6月に離婚したが、同居を続けていた。園田容疑者は精神的に不安定だった。「元夫の暴力や暴言が嫌だった」と供述している。


◆2014年8月、栃木県、63歳の妻が、睡眠導入剤入りのみそ汁で夫を殺害

2014年8月10日ごろ栃木県で、斉藤俊子容疑者(63)が、多量の睡眠導入剤入りのみそ汁を飲ませ夫の六郎さん=当時(71)を殺害したため、2016年6月に逮捕された。

妻は、「一緒に死のうと思ってみそ汁を飲ませた。自分も飲んだ」などと供述した。妻は夫が死亡した直後に入院していた。


◆2014年8月、群馬県、45歳男が交際相手に暴行し死亡させる

2014年8月、群馬県みどり市で、落合弘範容疑者が(45)交際相手の木村美代子さん(38)に暴行を加えた疑いで逮捕された(のちに傷害致死)。女性は病院に運ばれ死亡した。落合容疑者は酒に酔って口論し、交際相手の頭や顔を素手で殴るなどの暴行を加え大けがをさせた。

◆2014年9月岩手県ストーカー殺人事件・無理心中

2014年9月、岩手県奥州市のホテルで、男性が元交際女性を殺して自分も自殺しようとした事件があった。

二人は交際していたが別れ、その後2014年8月に男性から女性にメールで『 テレビを買い替えた費用を返せ 』と要求したり、手首を切った写真を送るなどの行為があった。それを受けて同月松本さんの母親が警察へ相談した。9月1日に松本さんが一関署を訪れ相談し、松本さんの前で署員が電話で男に対しストーカー法に基づいて警告した。

9月5日、松本さんが自転車で、出掛けたまま戻らないのを不審に思った同僚が母親へ連絡し、それを受けて母親が一関署に「娘が帰ってこない。元カレが関係しているかも」と夕方に通報した。

同日夜に、元カレ、八十祐志容疑者(20 代)が、松本瑞希さん(23 歳、元交際相手)をホテルで殺したところを発見された。顔と両腕にあざがあった。県警は、松本さんが休憩中に元交際相手の男とトラブルに巻き込まれ、その際にあざができた可能性が高いとみている。

同じ室内で男は両手首を切っ手自殺を図っていた。男性は退院したあと殺人の容疑で逮捕された。

◆2014年9月 名古屋、元教え子の恋人にDV的脅迫で塾講師の男を逮捕 ・・・本書1-7

◆2014年12月、横浜、女性が元交際相手の女性にストーカー

2014年12月、横浜市で、久保香織容疑者(31)が、元交際相手の女性(20代)に嫌がらせのメールを送るなどしたとしてストーカー規制法違反の容疑で逮捕された。

2人は新宿区新宿2丁目にある女性同性愛者向けの飲食店「艶櫻(Adezakura)」で知り合い、2014年4月~10月ころまで交際していた。久保容疑者は、11月28日、東京都目黒区内にある元交際相手の家に「話がしたい」などと、2回にわたり押しかけた。翌29日以降、警視庁から警告を受けたあとも、携帯電話を使って「お前も、お前の大切なものも、全て壊して、自分の人生終わればいい。そしてお前の人生も終わりなよ。もう限界だわ」などというメールを、5回にわたり送信した。久保容疑者は「押しかけたことは間違いないが、ストーカー扱いされていることには納得できない」などと話している。

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DV事件
2015年

3015年1月 ~ 三船と高橋 離婚問題 (『実態と背景』2章-17)


◆2015年3月、福井県勝山市、福井大准教授が教え子と不倫の上で殺害

2015年3月、福井県勝山市で、福井大大学院の元特命准教授、無職前園泰徳被告(44)が教え子の東邦大大学院生菅原みわさん=当時(25)を絞殺した。

菅原さんは前園容疑者の指導の下、同容疑者が住む福井県勝山市で赤とんぼ研究を行っており、周囲からは「秘書」と思われるほど2人はいつも一緒にいた。被告と被害者は不倫関係にあった。犯行当日には「妻子を殺してでも(被告を)手に入れたい」「マスコミに流す」「これから火をつける」などと無料通信アプリLINEや電話があり「家族に危害が加えられるかもしれないという危機や、不倫関係が公になり准教授の地位や家族を失うことを回避するために殺害した。ただし裁判では、「(院生に)殺してください、もう無理ですと頼まれたので、首をしめました」という嘱託殺人の主張、が認められて判決が確定した。

なお、殺害後、前園容疑者はすぐには通報せず、犯行後に死因を交通事故に見せかけ「シートベルトが首にくい込んでいる。息をしていない」と伝え、被告の妻に虚偽の110番通報をさせたり、ドライブレコーダーのデータの入ったカードや、被害者の携帯電話をトイレに流して廃棄するなど、証拠隠滅を図っていた。


◆2015年5月吹田市、日本維新の会の会計責任者の男がネットに元交際相手の裸の画像を投稿し続けていたため逮捕

2015年5月、大阪府吹田市で、日本維新の会の会計責任者で大阪商大の非常勤研究員の藤本光太郎容疑者(45)がネットに元交際相手(30歳代)の裸の画像を承諾なしに投稿したため、リベンジポルノ法(私事性的画像記録の提供被害防止法)違反と名誉棄損の容疑などで兵庫県警逮捕された。いったん処分保留となったが、その後また5月にネットに裸の写真を掲示したため再逮捕された。

藤本容疑者はカジノを中心とした統合型リゾート施設(IR)による地域活性化や観光振興など、カジノ研究者として知られる。藤本容疑者は、大阪商業大学の非常勤研究員でもあった。さらに藤本光太郎容疑者はカジノの推進に心な日本維新の会参議院比例区の会計責任者(平成25年)でもあった。

藤本容疑者は、約15年前まで女性と交際していた。そのときに撮影していた裸の画像を約10年前から何度もンターネット掲示板に掲載して不特定多数の人が閲覧できるようにするなどしてきた。パソコンの外付けハードディスクに女性の写真約千枚が保存されていた。
女性の友人が画像の掲載に気付き、女性が2015年3月に県警に相談していた

県警の調べに対して「スリルと背徳感を楽しみたかった」と容疑を認めている。


◆2015年5月埼玉、中国人留学生が交際相手に振られたと思って女性と家族を襲う

2015年5月、埼玉県で、中国人留学生、徐海培(シュ・ハイペイ)被告(26)が、交際相手の大学生(当時)の日本人女性宅に侵入し、義父=韓国籍、当時(47)=を包丁で殺害した上、女性と母親、駆けつけた女性警察官(26)の3人に包丁で重軽傷を負わせたため、殺人や殺人未遂などで逮捕された。2016年12月、東京地裁で、懲役28年(求刑無期懲役)の実刑判決が言い渡された。

徐被告は中国で日本のアニメに傾倒し、独学で日本語を習得。2009年に来日し、アルバイトをしながら専門学校や大学で学んでいた。埼玉県内の自宅マンションの壁には大量のアニメのポスターを飾っていたほか、アイドルグループ「AKB48」の大ファンでもあり、同グループなどのCDを約1000枚持っていた。

 女性とインターネット上の婚活サイトで知り合ったのは2015年5月13日。デートをした2人は意気投合しすぐに徐被告の埼玉県内のマンションで同棲を始めた。

9日後の5月22日、徐被告は女性に結婚を申し込んだが、女性は「今はまだ無理だよ」と拒絶。女性は23日未明、徐被告が眠っている隙に東京都品川区の実家に戻った。

 女性がいないことに気付いた徐被告は同日早朝、包丁を持って女性の実家マンションを訪れ、ベランダから侵入。徐被告を止めようとした義父や母親の首などを包丁で切りつけて義父を殺害した上、逃げた女性を追いかけて首や手などを切りつけ、負傷させた。異変に気づいて駆けつけた女性警察官の両手にも包丁で重傷を負わせた。

出会ってわずか10日後に事件は起こった。

しかも二人の関係にはDV的な面や“倒錯的な関係”の面があった。

 同棲を開始してすぐに2人は互いの携帯電話から異性の連絡先を削除。また「別れるときは相手を殺して自分も死のう」と約束した。さらに女性の要求に応じて徐被告が女性の首を絞めたり、女性が徐被告に目隠しをしたり手首を縛ったりする行為を動画に撮影。一方、女性は徐被告の体内に異物を入れたり、背中にろうそくを垂らしたり、徐被告の放尿の様子を動画で撮影したりした。その際の動画には、女性から「なんでおしっこするの?」と聞かれ、「あなた様のご命令だからです」と話す徐被告の様子が撮影されていた。つまり被告は女性からSMプレイを教わる状況だった。

結婚の申し出を女性が断ると徐被告は逆上し、女性の実家の鍵や携帯電話、バッグを隠すなどした。これに対し、女性も徐被告宅の洗濯機や冷蔵庫、ゲーム機の電源コードを切断し、アニメポスターを切り裂いた。

女性は、徐被告は結婚までのつなぎだと思っていた。

しかし、 徐被告は、女性から多くの初めての経験を教わり、夢中になってしまっていた。彼女なしでは生きていけないと感じ、結婚したいと考えたが、彼女が断り無断で出ていったことから、女性が自分と別れるつもりだと考え、『交際相手と別れるときは相手も殺して自分も死ぬ』との考えから、女性を殺して自分も死のうと決行した。


◆2015年6月相模原市、男が元交際相手とその子供を殺して埋めたため逮捕


2015年6月、相模原市で、佐藤一麿(29)が元交際相手の阿部由香利さん(当時25)を殺して埋めたことが発覚し、逮捕された。その後、阿部さんの子どもを死体遺棄したということでも逮捕された。

この事件では、佐藤容疑者と一緒に居た秋山智咲容疑者(23、当時現役の女子大生)も逮捕された。秋山容疑者が住んでいた東京都世田谷区のマンションから、阿部さんの遺体はレンタカーに乗せて運ばれ、2013年7月ごろ埋められたが、子どもは2007年ごろから行方不明になっていた。

佐藤と阿部さんが付き合っていた同時期に、佐藤は秋山容疑者と交際していた。


◆2015年6月




◆2015年7月大阪市、26歳男性が元交際相手が荷物を取りに来た時に包丁で殺害

2015年7月、大阪市で、隅田龍馬被告(26)が元交際相手の小島優輝(ゆき)さん=当時(21)=の首などを包丁で多数回切りつけ、失血死させた。

と小島優輝さんは過去に同居していたという隅田龍馬容疑者のマンションに、置いていた自分の荷物を取りに来ていた。小島さんは友人男性と一緒に荷物を取りに来ていたが、室内には小島優輝さん1人で入り、隅田容疑者と2人きりの状態だった。そこで別れ話を巡ってトラブルとなり、殺人事件となった。

2017年に、殺人罪に問われた裁判員裁判で、懲役16年(求刑懲役18年)を言い渡された。

弁護側は「(隅田被告には)6つの人格があり、当時は別の人格が表に出ていた」と解離性同一性障害(多重人格)による心神喪失状態だったとして無罪を主張。これに対し、検察側は「意図的にキャラクターを使い分けていただけで病気ではない」と反論していた。



◆2015年、7月、35歳の女性の、片思いでストーカー4年に有罪判決

2009年から4年間、音楽学校の男性教員を知ってストーカー行為をしてきた35歳女性に、2016年、有罪判決が出た。

2009年、大阪府内に住む女(35)が、ミュージシャン養成学校の大阪校で開催された体験入学(オープンキャンパス)に参加し、そこで「ヘビメタ先生」という講師を担当していた男性教員に好意を持った。教員からメールアドレスを聞き、恋心を告白するメールを送り続けた。

 《先生のことがすごく好き。先生の歌を聴いて、いろんなものが先生に見えるようになったんです。タワシとかブロッコリーとか、ほうきとかフワフワのはたきとか》 

《先生のことが本当に好き》 《先生の声を聞くと、体が溶けそうになるんです。先生に抱きしめてもらいたいって思うし、思いっきり甘えたいって思います。やっと会えたって思うんですよ。一番安心できて懐かしい人に》

女性は翌2010年2月からの約半年間で14回、体験入学に参加し、教員をじっと見つめ、教員らに最大5千字からなる計446通のメールを送りつけたり、勝手に校舎に侵入して教員に熱い視線を送るなどをしたため、学校側は女性を〝要注意人物〟として対応にあたってきた。女性が入学願書を出してきたことにも不合格を出したため女性ともめた。

学校は、4年にわたって付きまとい、学校の業務を妨害したとしてついに裁判を起こした。大阪地裁は2016年7月、女性に学校への立ち入りや学校関係者との接触を禁じる判決を言い渡した。


◆2015年8月、千葉県船橋市、70歳夫が妻64歳を包丁で刺す

2015年8月、千葉県船橋市で神村親容疑者(70)が妻・登美子さん(64)を包丁で刺しその後死亡したため、殺人容疑で逮捕された。

「父と母が部屋の中で口論している」と110番通報があり、警察が駆けつけたところ、1階の部屋で住人の神村登美子さんが胸など少なくとも十数か所を刺され、血を流して倒れていた。


◆2015年8月、岡山県、85歳の妻が86歳の夫を棒で殴って殺害

2015年8月、岡山県高梁市で、藤岡安弥容疑者(85)が夫貞三さん(86)を殴って死なせたとして、殺人容疑で逮捕された。

「生活態度を注意したら、夫から暴力をふるわれた」ために、妻が夫の頭などを木の棒のようなもので数回殴って殺害した。

同居している長男(61)が通報した。

◆2015年10月、横浜市の都立高校の女性教諭が、元交際相手の女性にストーカー行為で逮捕

2015年10月、横浜市の都立高校の女性教諭(53)が、元交際相手の女性(43)につきまとったとしてストーカー規制法違反容疑で逮捕された。

、女性教諭は2014年11月、インターネットの掲示板で女性Aと知り合い、交際に発展。約8カ月間にわたって遠距離恋愛を続けたが、2015年8月に女性Aが別れ話を切り出すと、女性宅や職場に押しかけるようになったほか、「LINE」を通じて面会などを求める内容のメッセージを送るようになった。女性Aは2015年8月、県警に「交際相手が別れてくれない」と相談。その後、女性教諭が職場に押しかけてきた際に110番通報し、警察が女性教諭に同法に基づく警告を出したが、連絡をやめることはなかった。


◆2015年10月、別府市、DVで離婚した元夫が元妻の家に侵入し妻の母)を殺す

2015年10月、大分県別府市で、元夫が元妻の家に侵入し妻の母・渡邉京子さん(60)を殺した。

逮捕された男・小堀勇太容疑者(31)は、離婚後も度々、元妻(34、京子さん次女)の自宅マンションに出没していた。

ふたりが離婚したのは2015年6月で、警察に夫による家庭内暴力(DV)について複数回にわたり相談をしていた。男は、2015年1月にはDV防止法違反の疑い、4月には住居侵入と器物損壊の疑いで逮捕されており、結果として、5月までの半年間で5回も逮捕されていたが、警察は今回の事件を防げなかった。
元妻は離婚後、福岡市に引っ越すことを決め、大分県警にも、もう大丈夫だと伝えていた。そのため、県警も元妻と連絡を取る対応を終了させていた。

元妻が6月に男と離婚した後も、男の接近行為は続いた。母親の渡辺さんも、娘のことが心配になり、様子を見に度々部屋に来ていた。9月19日には、元妻の勤務先から「不審な男がいる」と県警に通報があり、県警が男に警告していた。

9月になって、元妻は、この部屋に戻り、元夫との交流があった模様。時には、ケンカすることもあったが、男は合カギを使って入ってきていた。


◆2015年10月



◆2015年11月


 

◆2015年12月芦屋市、タクシー内で口論、元交際相手の頭を殴り意識不明に

2015年12月、兵庫県芦屋市で、小野瀬雄介容疑者(32)がタクシー内で元交際相手(27)と口論になり、彼女の頭を殴りけがを負わせ意識不明に陥らせたため傷害容疑で逮捕された。

小野瀬容疑者と女性はJR芦屋駅からタクシーに乗車し、車内で口論になった。小野瀬容疑者は当時酒に酔っていた。


◆2015年-2016年、愛知県の高校で、恋人が、裸や性行為の画像を友人に送る事件

2015年から2016年にかけて、愛知県県内のA高校で、女子生徒が交際相手から裸の画像を求められて、自画撮りした裸の画像を恋人に渡した。その画像が、同級生17人に拡散した事件があった。県警は、5人以上の生徒を児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑で書類送検した。

またB高校では、交際中に撮った性行為の画像を、別れた後に、元彼が別の生徒に送り、約20人の高校生に広まる事件が起きた。県警は、5人以上の生徒を児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑で書類送検した。

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​​DVなどの事件関係情報 2016年

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◆2016年1月 青学生が交際を巡って暴力


2016年1月26日、箱根駅伝で優勝した時のメンバーだった青山学院大学陸上競技部の男子部員(当時22歳)が、肉体関係を持った知人女性(当時35歳)の腹を殴り、全治2週間のけがをさせた。男は2016年1月に開催された東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)に出場。チームの2連覇に貢献した。2016年3月に同大を卒業している。

女性と男性は、デートをした後肉体関係になったが、その翌日の2016年1月26日夜、都内の自宅で女性と男性が口論になり、女性は顔を頭突きされたり、腹部を殴られたりするなどの暴行を加えられ、肋骨にひびが入る2週間のけがをした。女性は結婚を含めて交際のつもりだったが男性が否定したため、女性が男性に贈った8万円ほどの時計を返すよう求めたところ、男性が激高し暴行した。

2016年6月上旬に女性が被害届を出し、2017年7月、傷害容疑で元青山学院大の箱根駅伝・元メンバーの男(23)が書類送検された。その後、嫌疑不十分で不起訴処分となった。

◆2016年2月千葉県、「別れた腹いせに…」女子高生の裸画像を高校に送付で逮捕 

千葉県松戸市で、自称アルバイト、山本勇希容疑者(24)が、2015年11月に、以前に交際していた女子高生の裸の写真を生徒が通う高校に送り付けたため、児童買春・ポルノ禁止法違反(提供)の疑いで2016年2月に逮捕された。

男は、「別れた時に理由を話してくれなかったことの腹いせにやった」と説明している。

山本容疑者は、意見や質問を受け付ける高校のホームページ宛てに、女子高生の名前とともに写真を電子メールに添付して送信した。 写真が送られたページは教諭のみが閲覧できる権限があり、生徒や部外者には見られなかった。写真を確認した同校の教諭が県警に被害届を出していた。


◆2016年3月、名古屋、17歳の男子が元カノの16歳少女をナイフで刺す

2016年3月、名古屋市で、高校2年生・17歳の男子が酒に酔って元交際相手の無職の16歳少女をナイフで刺し、殺害しようとしたとして殺人未遂の容疑で逮捕された。

事件後、少女から「元彼に刺された」と110番通報があり事件が発覚した。左脇腹・尻・首など10ヶ所以上を刺されていた。

事件現場は被害者少女が住んでいた自宅アパートで、当時は加害者の男子高校生と2人きりだった。

男子生徒は、「復縁を求めたが、断られて逆上した」という趣旨の供述をした。

◆2016年3月愛知県、中学生男子が「LINE」で、複数の女子生徒の裸の画像を同級生の間で拡散

 2016年3月、愛知県内の中学校で、複数の女子生徒の裸の画像が、無料通信アプリ「LINE」を通じて同級生の間で拡散した事件があった。ある男子生徒が「裸の画像を(自分で)撮影して送って」と女子生徒に要求し、複数人分の画像を入手。その後、別の生徒らの間で転送が繰り返された。

 画像提供を求めた男子生徒は、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造、提供)容疑で書類送検された。また画像を転送した男子生徒2人が同法違反(提供)容疑で書類送検された。さらに男子生徒と画像を交換し合った女子生徒1人も同法違反(製造)容疑で立件された。


◆2016年3月、長野県安曇野市、38歳夫が妻を殺して遺体を床の下に遺棄

2016年3月、長野県安曇野市で、松田雅也容疑者(38)が自宅で妻の直美さん(34)の頭をハンマーのようなもので殴って殺害し、 遺体を床の下に遺棄したとして逮捕された。

松田容疑者は犯行からおよそ8時間後に、1人で警察署に出頭した。

松田容疑者は妻と子ども2人の4人家族で、当時子ども2人は外出していた。

◆2016年5月 小金井・女子大シンガソングライターストーカー刺傷事件


2016年5月、小金井市で、元・地下アイドルで現在大学生(かつシンガーソングライター)の冨田真由さん(20歳)がファンの男・岩埼友宏容疑者(27)にライブ会場前で刃物で刺され、意識不明の重体になった(その後意識回復)。首や胸など全身20か所をめった刺しにされた。男は殺人未遂などの疑いで逮捕された(その後精神鑑定することとなった)。

その後、岩崎容疑者は殺人未遂と銃刀法違反の罪で懲役14年6カ月の刑が確定した。


岩埼容疑者からの冨田さんのSNSへの書き込みが始まったのは2014年の6月からだった。特に怖くなったのは2016年だった。ツイッターには男が被害者に腕時計をプレゼントした事が書かれていたが、被害者が腕時計を返却するとコメントは攻撃的になっていった。2016年1月18日に始まり、冨田さんが送信を受け付けない「ブロック」を設定する4月28日まで、多い時には1日に18回、101日間で計340件に上っており、執拗なストーカー状態になっていた。2016年2月のライブなどの際に「1月ごろ、帰り道で男に待ち伏せされ、電話番号を教えろと何十分間もしつこく付きまとわれた」などとファンに話していた。またライブのあとに冨田さんに岩崎容疑者がつきまとい、周りにいたファンが引き離したこともあった。


岩埼容疑者は、SNSなどに、「あなたに見下されたこと一生忘れないから」「君の人生、誰のもの?」「トミーさんは不誠実だねぇ」「『腕時計』を捨てたり、売ったりするくらいなら返して。それは僕の『心』だ」」「愛情なんていとも簡単に憎悪に変わっちゃうけれど、僕は普通にトミーさんのこと好きですよ」「まゆちゃ~ん!!!」「おはよー」「瞳を閉じればあなたが」「誰にでも優しいのは無責任」「お前それでも人間か」「早く『ゴミ』返してね」「差出人不明は失礼」「ほんと、嫌な女」「腕時計はハンマーでぶったたいて粉々にしてやります」「最高の嫌がらせありがとー」「もっと見下し馬鹿にしてみろよ冨田真由」「ふざけんな、マジで」「スゲー怒っている」、「一部しか返って来てないんで、全部返してください」「早く返せ」「返せ」「投げやりになって 何かをしでかしたいと思った どうせ、のたれ死ぬだけのくそったれの人生 結果なんてどうでも良くて ただ、逆恨みと顕示欲だけのどうしようもない情動」「死にたいんじゃなくて、殺されたい」「劇的を望む」、などの書き込みを繰り返していた。


男は自身のブログで「僕は殺したい」「犯罪します」「ツイッターをブロックされた あははははははははは・・」「あいつしねばいいのにな」「ムカついている」「君の努力を全部無駄にしてやる」などのほかに「死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ・・・」と何百回も「死ねよ」を記述する書き込みもしていた。


また事件当日には「ひとをなんらかの行動に駆り立てるのはたいていの場合、意欲などではなく、羞恥だ」「行ってきます!」と書き込んでもいた。最後の書き込みは駅で待ち伏せしていた時の「まだかなまだかな~」だった。


今回の事件に関して、被害者の女性や母親が何回も警察に相談していたし、書き込みは明らかに殺人の危険性があるものであった。被害に遭った富田さんは5月9日に警察署を訪れて、加害者の住所や名前、ツイッターへの執拗で危険な書き込み内容を印刷した紙を署の担当者に渡し、プレゼントを巡ってトラブルになっていること、岩埼容疑者から腕時計とわいせつな本を手渡されたこと、ことし1月ごろからたびたびライブ会場などに現れて電話番号を聞き出そうとしていたことなども相談し、「書き込みをやめさせてほしい」「友達にまで迷惑をかけているから、やめさせてほしい」と訴えていた。


しかし、警視庁は、ストーカー規制法ではSNSは対象外だとし、また「直ちに危害を加える内容はない」として、切迫性があると判断せず、当然使うようになっている「危険度を判定するためのチェックシート」を用いなかった。これ自体大問題で大きな判断ミスである。

さらなるミスとして、今回、ストーカー事案などに一元的に対応する同庁の「人身安全関連事案総合対策本部」の専門チームに武蔵野署は連絡をしなかった。連絡していれば、そこで事態の危険性や切迫性が評価されるはずだった。

そもそも今回の事案を「ストーカー相談」として受理せず、「一般相談」として扱うという判断ミスを犯していた。


さらに男性加害者(容疑者)の所在の確認をせず、接触しておらず、呼び出しも警告もしていなかった。私はこれが一番大事なのにいつもこの点が軽視されていると思っており、最大のミスだと思う。

事件直前にも武蔵野署は小金井署に「通報があったら対応してほしい」というのみだった。そのため小金井署は会場に警察官を配置していなかった。これは両方の警察署のミスといえる。


さらに、事件発生時に冨田さんから110番を受けた警視庁通信指令本部が、通報場所の位置情報を確認せず、武蔵野市にある冨田さんの自宅に警察官を向かわせていた。これは警察のミスであるが、ストーカー事案として警戒して、その日の活動がライブだと把握したことを書き込んでいなかったことの結果でもある。

 武蔵野署は、緊急時に迅速に対応するため5月20日、冨田さんの携帯電話番号を「110番緊急通報登録システム」に登録はしていた。しかし、110番を受けた時に、携帯電話の位置情報を手動で確認する作業を行わず、緊急通報登録システムの登録内容に基づき名前や武蔵野市にある自宅住所が表示されたため、自宅に警官を派遣してしまった。位置情報を手動で確認する作業をしなかったのは明らかなミスである。


岩埼容疑者は、実は約3年前、芸能活動をしている20代の別の女性のブログに、『殺す』などと嫌がらせの書き込みをしていたため、千代田区の万世橋署が岩埼容疑者に警告して辞めさせていた(電話で注意したが任意の呼び出しに応じなかった)が、同署は相談を登録するシステムに彼の名前を入力していなかった。また滋賀県内に住む別の女性が2015年12月、岩埼容疑者とのトラブルについて滋賀県警に相談していた件もあった。

つまりこの男については、千代田区での相談、冨田さんの母親の京都府警への相談と冨田さんの東京での相談、滋賀県での相談など、合計3件あったがどれでも名前を入れて記入しなかったため結合されなかった。警視庁では、こうした被害相談は部署間で情報共有するシステムに登録することになっているが、万世橋署の担当者は女性の名前や相談内容を登録したものの、岩埼容疑者の名前を登録することを失念していた。もし入力していれば、今回相談があったときに岩崎容疑者が前にも同様の行為をしていた危険人物とただちにわかって対応が変わったはずである。この点でも警察のミスがあったといえる。

「SNSは対象外だった」という警察の不作為の言い訳は、2014年の有識者検討会などでもはっきりとSNSも対象とすべきと指摘されており、都道府県の条例ではすでにSNSの嫌がらせも対象としていたり、現場ではSNSも含めて積極的に対応するのが当然の段階に至っているので、今回の警視庁の言いぶんには正当性も説得力もまったくない。

以上、何重ものミスが警察にあったことは明らかである。


今回、上記の諸ミスをせずにすぐにストーカー事案として登録し、情報を共有し、総合対策をとるべきだった。まず警察は加害者の所在を確認しすぐに接触し、注意・警告とともに、加害者相談(加害者プログラム、カウンセリング、治療)につなげて、その後も観察し続けるべきであった。また被害者周辺、ライブ会場周辺をパトロールして警戒・警備すべきであった。


拙著『デートDV・ストーカー対策のネクストステージ』で示したように、いくつかの事件ごとに対策は強化されてきたが、特に、長崎県西海市や東京・三鷹市のストーカー事件では、被害者や家族が警察に事前に相談したにもかかわらず、警察は、差し迫った危険性はないと判断し、十分な対応を取っていなかったことから、警察庁は、3年前(2013年)に対策を強化した。

具体的には、ストーカーの被害の相談を受けた場合は、警察署長だけでなく、ストーカー事件を担当する警察本部の専門部署にも報告するようにしたほか、ストーカーの危険度を客観的に判定するチェックシートを作成し、危険性を正確に見極めるようにするなど、相談を受けた時の対応や態勢を強化した。
また、被害者に危害が加えられる危険性や切迫性が極めて高い場合には、被害者を安全な場所に避難させたり身辺を警戒したりするほか、刑事事件として立件が難くても加害者に接触し指導や警告をするとした。

このほか、相談の内容を「相談情報ファイル」という警察のシステムに登録し、加害者がほかの都道府県でストーカーのトラブルを起こしていないか確認できるようにした。


だが今回はほとんどなにもなされず、何重ものミスをした。警察はまたまた同じ失敗を繰り返した。警視庁、警察の上層部は、この数年、より積極的な対応をするように号令をかけ続けているが、末端の現場、警官にはまだまだ低い意識の人物がいるということだ。


今回の事態を受け警視庁は2016年6月に、緊急通報登録システムに登録している電話番号から通報があった場合、自動的に位置情報が表示されるシステムを導入することとした。

またこの事件を受けて、ストーカー規制法が2016年秋に改正された。


なお2016年12月に冨田さんは手記を発表した(後掲)。そこでは、相談した際に、女性の警察官がほとんどメモを取らずに話を聞いていたこと、他の男性警察官が忙しいといって何度も部屋を出入りしていたことなどから真剣に危機感をもって話を聞いてくれなかったことへの批判が書かれてあった。彼女は「殺されるかもしれない」と資料も見せて恐怖を訴えたのに、対処してもらえず、病院で意識を回復したときに警察から聞かれた最初のことばが「本当に『殺されるかもしれない』といったのですか」だったので腹が立ちまた悲しくなったという。なぜこうした失態になったのかの説明を求めているが、相談を聞いた警官はいまだに「殺されるかもしれない」とは聞いていないと否定している。冨田さんはそうした体質に怒っている。


警視庁は、この事件を検証して、2016年12月に対応に不備があったと認めた。冨田さんへの聞き取りや相談内容を精査した結果、事件前に相談を受けた段階で身の安全を早急に確保する必要があったと結論づけた。また冨田さんから110番通報された際、「受理担当者が携帯電話の位置情報の確認を失念した」などとミスがあったことも認めている。

そのうえでこの事件発生後の取り組みとして以下のことをまとめている。

1 事態対処チームへの情報の集約

一方的な好意の感情又は嫌悪の感情を含む相談(同一文言や同一内容の繰り返しがあるものを含む)は、事態対処チームに速報し、事態対処チームは危険性などの判断に関する指導・助言を行うこととした。

2 事案の危険性、切迫性の適格な判断と組織的対応の強化

関係者からの幅広い事情聴取、過去の警察での取り扱い状況、サイバー空間の状況などを把握して危険性などを見極め、早期の事件化、迅速な口頭警告、保護対策(定期的な聴取やパトロール、具体的な防犯指導)を行うこととした。即応システムには相談者の住居地以外でも、相手方と接触する可能性がある場所を登録することとした。

3 相談内容の確実な登録

同種の相談内容への活用のため受理時の内容、人定、経過などに加え、処理過程で判明した事項についても、相談システムに確実に登録することとした。

4 110番通報に対する迅速、適格な対応

登録された電話からの110番は、自動的に位置情報を画面表示するようシステムを改修した。

5 全職員に対する意識の徹底

迅速、適格な相談者などの安全確保については全職員に意識付けを行った。

以上


資料  冨田さんの手記

まずは、私が被害に遭ったときに、現場で犯人に立ち向かってくれた方、110番通報をして下さった方々に、この場を借りてお礼を申し上げます。

 今私が生きていられるのは、皆様のおかげです。本当にありがとうございました。

 また、被害に遭った後から、これまでの間、警視庁の犯罪被害者支援室の皆様には大変お世話になっていて支援室の皆様にはとても感謝しています。

 犯人からのSNSへの書き込みが始まったのは平成26年の6月からでした。

 特に不安や恐怖を大きく感じるようになったのは、ライブ終了後にストーカー行為をされたことや、生き死にに関する書き込みが1日に何件もくるようになったことがきっかけです。

 初めは、気にしないでいようと踏ん張っていましたが、どんどん不安や恐怖が積み重なり、その重さに限界を感じていました。そんな気持ちから家族や友人に相談しましたが、犯人が急に目の前に現れて殺されそうになったとしても、私も家族も周りの人も素人なので、自分のことや誰かを守る方法は何も知りません。

 そんな中でも希望を持っていたのが、警察に助けを求めることでした。家族や友人は、命より大切なものはないよと、身の危険を感じていることや助けてほしいということを警察に伝えた方が良いと背中を押してくれました。私も、この不安や恐怖を解消するための一番良い方法だと思いました。

 警察には、命の危険を感じていることがわかる資料をいくつも持っていきました。男女2人の生活安全課の方が対応をしてくれて、主に女性が話を聞いてくれました。平成26年の6月からSNSへの書き込みが始まったこと、生き死にに関する書き込みが頻繁にあること、友人のSNSにも迷惑な書き込みがされていること、ライブ終了後にストーカー行為をされ命の危険を感じていたことを、持っていった資料を見ながら、特に危険だと感じていたものに関してはひとつひとつ説明をし、「殺されるかもしれない」と不安や恐怖を訴えました。資料が多かったため、後でゆっくり読ませてもらうと女性の方に言われましたが、ストーカー行為をされたことに関しては、そのときの状況を何度も説明すると、頷きながら聞かれていたので、理解してくれたのだと思っていました。相談にいったときに伝え忘れたことはひとつもありません。

 警察からは、「使っているSNSから犯人のアカウントをブロックしてください」「何かあればこちらから連絡します」と言われました。その後相談から事件までの間に、担当者から3回ほど電話がかかってきましたが、私のことを聞かれたのはそのうちの1回だけでした。

 事件後、私が相談に行ったときのことについては、平成28年11月28日と12月2日の2回にわたって、警察から事情聴取を受けました。

 警察からの聴取の際、挨拶が終わった後の最初の言葉が「本当に殺されるかもしれないと言ったんですか」でした。その後も、私が「殺されるかもしれない」という言葉を言っていないのではないかと何度も聞かれました。

 でも、「殺されるかもしれない」という言葉を、私は絶対に伝えました。母も、警察に何度も訴えてくれました。これだけは間違いありません。この事実を警察が認めないことに、怒りを通り越して、悲しみを感じています。

 必死に訴えたことが全く伝わらなかった。感じるものに温度差があったとしても、警察に持っていった多くの資料があり、殺されるかもしれないと何度も伝えたにもかかわらず、危険性がないと判断されたのは今でも理解できません。

 今思うと、相談した際に、女性の警察官がほとんどメモを取らずに話を聞いていたことや、男性の警察官が「他の事件が忙しい」と言い何度も部屋を出入りしていたことから、私の相談を軽い気持ちで聞いていたのだと思います。

 私が言ったことをどのように受け取ったのか、相談した担当者に直接話を聞かせてほしいと何度もお願いしてきましたが、組織として対応していますと、一切取り合ってもらえませんでした。

 平成28年12月13日に、武蔵野署の署長からは形ばかりの謝罪がありましたが、「少しお元気になられたようですが」と傷付く言葉がかけられました。謝罪をしていただいたからといって傷だらけになった身体が元に戻る訳でもないし、時間を巻き戻せる訳でもありません。それでも、警察がどうして私の相談を真剣に受け止めてくれなかったのか、きちんと理由を説明してもらえるのなら、少しは救われるかもしれません。

 事件に遭った日から時間が止まってしまったかのように、前に進むことが怖くなってしまいました。支えや助けがあること、温かい言葉をかけてくれる人がいることで、きっと大丈夫だと思える勇気をもらい、なんとか毎日を過ごしています。

 この事件以降も、似たような事件が起こっているのをニュースでみかけますが、その度にとても苦しい気持ちになります。犯人の勝手な思い込みや都合、感情だけで、なくなっていい命はどこにもありません。


 本事案発生後の取り組みを拝見しましたが、警察がこの事件のことを本当に反省してくれていないと、また同じことが繰り返されるのではないかと心配です。

 この事件をきっかけに、同じ不安や恐怖を抱えて苦しんでいる人が、安心できるような社会に変わっていってくれたら嬉しいです。

 この文章で、少しでも私の気持ちが伝わりますように。

 平成28年12月16日  冨田真由



追加資料 2019年 被害者が東京都や警視庁、事務所などを訴える

ファンに刺された冨田真由さんとその母親が、2019年7月、警視庁を所管する東京都や加害者の男、所属していた芸能事務所に計7600万円の損害賠償を求め、提訴した。

女性側は「警視庁はライブ会場周辺に警察官を派遣するといった必要な警備を怠った」「事務所は女性の安全に配慮しなかった」などと主張。加害者がツイッターやブログに「殺したい」といった脅迫的な書き込みを繰り返したため、冨田さんは16年5月上旬、警視庁武蔵野署に相談。事件2日前の同月19日には、ライブの出演予定も伝え、「殺されるかもしれない」と命の危険も訴えていた。母親は「どうして娘の相談が軽く扱われてしまったのか。娘が後遺症に苦しんでいる状態をどう思っているのか、裁判を通じて知りたい」と話した。

 


◆2016年5月、千葉県柏市で、元夫が同居の元妻を殺害

2016年5月、千葉県柏市で、元夫の石井和樹容疑者(29)が喧嘩になって元妻・石井彩香さん(29、エステティシャン)を殺害したため逮捕された。

和樹容疑者は石井彩香さんさんとの離婚後、2016年の3~4月ごろから、石井彩香さん宅での同居をしていた。

石井容疑者は、元妻の首を手で押さえつけて殺害した。
 石井彩香さんには、7,5,3歳の子どもがいたが、石井容疑者が3人を連れて逃走していた。茨城県龍ヶ崎市のネットカフェで発見され、子供は保護され、石井容疑者は死体遺棄の怒田外で逮捕された。

彩香さんの母親(52)が「娘と連絡が取れない」と柏署に通報し、同署員が、石井さんが死亡しているのを見つけた。


◆2016年5月、群馬県高崎市、31歳妻が夫を包丁で刺す

2016年5月、群馬県高崎市で、木口加奈子容疑者(31)が夫(42)を包丁で刺したため、 殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。

夫の実家で、夫婦がけんかして、妻が包丁を持って夫の背中を刃渡り約18・5センチの包丁で刺し、殺害しようとした。夫は全治1週間の軽傷。


◆2016年5月大阪府大東市、64歳元妻が元夫を刺殺

2016年5月大阪府大東市で、同居する元妻、北山安子容疑者(64)が元夫、北山雅博さん(64歳、関西学院大学事務員)を刺したため、殺人未遂の疑いで逮捕された。病院に搬送されたのちに死亡した。

北山さんは安子容疑者と長男(32)と3人暮らしをしていた。北山さんの腹を包丁で数カ所刺して殺害しようとした

◆2016年5月、真木蔵人が交際相手にDVで逮捕


2016年5月、千葉県いすみ市で、俳優の真木蔵人容疑者(43)が交際相手の20代女性に暴力を振るい負傷させたということで傷害容疑で逮捕された。

真木容疑者は、女性が携帯電話を操作しているのを見て腹を立てて女性に暴行を加え、顔や腕などに軽いけがを負わせた。女性は県警に「脚を蹴られたり、頭をたたかれたりした」と話している。

女性が近くの店舗に助けを求めて110番通報し、駆け付けた警察官が女性を保護した。

 真木容疑者は俳優デビューしたての1993年頃、交際していた日米ハーフのモデル女性が妊娠中だった子供の認知を請求。会見では日常的に暴力を振るわれていたことを明かし「殺される寸前だった」と語った。また2003年2月にモデルの山田明子(42)と結婚し、同年に長女が誕生したが、2012年に離婚。離婚原因のひとつにDVと浮気がささやかれていた。この時の浮気相手が、今回(2016年DV)の被害者だという。2003年5月には都内の歩道で、カメラ付き携帯で写真撮影を頼まれた男性2人との間でトラブルが発生。双方が「暴行を受けた」として被害届を出すトラブルがあった。


◆2016年6月浜松、男が元交際相手を刺殺

2016年6月、浜松市で、松坂健一容疑者(42)が、元交際相手で、現在一人暮らをしている池本和代さん(45)の胸などを刺して殺害したため逮捕された。池本さんは自宅アパート前の路上で部屋着姿のまま胸を何度も刺されていた。

松坂容疑者は、「罰を与えようと思った」などと供述している。


◆2016年6月、横浜市、81歳夫が79歳妻を殺害

2016年6月、横浜市で、滝沢実容疑者(81)が妻、もと子さん(79)を殺害したため逮捕された。

2人暮らしをしていたが、滝沢容疑者が妻と言い合いになって、もと子さんの首を絞めて殺害した。滝澤容疑者がみずあら「妻を殺した。大変なことをした」と通報した。


◆2016年6月相模原市、39歳男が元交際相手を絞殺

2016年6月、神奈川県相模原市で、村上徹容疑者(39)が元交際相手の美容師の大藤佳奈さん(当時23)の首を絞めて殺した。017年2月に逮捕された。

2日連続で大藤佳奈さんが無断欠勤したため事件が発覚。画像のほかに、大藤さんの部屋から村上容疑者の指紋が検出されていた。 村上容疑者は長距離トラックの運転手として相模原市を頻繁に訪れるなかで、大藤さんと知り合った模様。


◆2016年7月立川市、DV系男が不倫相手を殺害

2016年7月、立川市で、大井裕紀容疑者(26)が、不倫相手の浅井 真弓子さん(26歳シングルマザー)の首を電気コードで絞め、殺害したため逮捕された。

大井容疑者は、妻に対しては、絶対自分に服従させる感じだったという。

大井容疑者と浅井さんは2年ほど前から不倫関係にあった。犯行の当日、大井容疑者と浅井さんが不倫関係にあることが、浅井さんから妻への「LINE」で発覚したため、浅井さんの自宅で3人で話し合った。妻が部屋を出たあとに、大井容疑者が1人で犯行に及んだ。大井容疑者は「妻には言わないと言ったのに約束を破った」ということで怒って殺した。


◆2016年7月東京・日野市、DV被害相談していたフィリピン人の妻が、夫を放火殺害

2016年7月、東京・日野市で、フィリピン人の妻(45)が、夫・河西広之さん(45)の寝室にオイルをまいてライターで燃やし、その結果夫が全身にやけどを負ったうえで死亡した。

父が倒れているのを帰宅した長女(15)が発見した。河西さんは全身にヤケドを負っており、搬送先の病院で死亡した。河西さんのフィリピン人の妻(45)が近くのコンビニエンスストアのトイレで手首をハサミで切り、搬送される際に「夫の寝室のフローリングにオイルをまいてライターで燃やした」と話した。妻は2015年11月に河西さんからの暴力(DV)を警察署に相談していて、警視庁が河西さんに口頭で警告していた。


◆2016年7月愛知県東海市、夫が妻に暴行・殺害

2016年7月、愛知県東海市で、利文容疑者(48)が妻・時任真由美さん(24)に暴行をおこない殺害したため、逮捕された。

利文容疑者は時任さんと2人暮らしで事実上の夫婦。夫は自宅で時任さんの頭を数回殴り、頭蓋骨を折るなどのけがを負わせた。通報した夫は最初、「妻は買い物帰りに転んだ」などと嘘の供述をし暴行を否定していたが、その後暴行を認めた。妻は、顔や頭が腫れ上がって意識不明の状態で発見されたが、病院に搬送後、約8時間半後に死亡した。死因は急性硬膜下血腫。


◆2016年7月神奈川県秦野市、夫が妻を絞殺

2016年7月、神奈川県秦野市で、府川晴彦容疑者(34)が妻の桂さん(34)の首を絞めて殺害したため逮捕された。

府川容疑者から「妻を殺した」と110番通報があった。


◆2016年7月、北海道、夫婦げんかで妻が夫を高速道路に放り出す

2016年7月、北海道音更町で、走行中に夫婦げんかをした60代の男性会社員が車から降ろされ高速道路を歩く事件が起こった。

60代の妻が運転する車で札幌方面に移動中、夫婦げんかとなり、妻から「インターチェンジの先にいるから、あんたは歩いて来なさい」と言われた夫が車から降ろされたという。通りかかった乗用車から「男の人が歩いている」と110番通報があって発覚した。夫は、道警十勝機動警察隊に保護された。また妻は音更帯広インターチェンジ近くで車を駐車しており、警察隊は駐停車禁止違反で妻を摘発した。


◆2016年7月長野県松本市で、単身赴任夫が妻を殺害

2016年7月、長野県松本市で、山田光則容疑者(53)が妻佐登美さん(53)の首を刃物で切り付けるなどして殺害したため逮捕された。

山田容疑者は県内で単身赴任中で、事件前日の26日夜、松本市の自宅で佐登美さんらと夕食を取っていた。単身赴任先に戻った後、再び自宅に向かって殺害した模様。


◆2016年7月、京都市、70歳の妻が69歳の夫を刺殺

2016年7月、京都市で、加藤民子容疑者(70)が夫の弘一さん(69)を刺殺したため逮捕された。

加藤民子容疑者は、口論になって腹が立ち、家の包丁で首の辺りなどを刺した。


◆2016年7月、紅蘭さんの彼氏RYKEYがDV

2016年7月、ラッパーのRYKEY(30)さんが、彼女である紅蘭(28)さんへの暴力、DVが原因で逮捕された。覚醒剤でも逮捕された。それを機に二人は別れたといわれていたがその後もまた交際している。

紅蘭とRYKEYが些細なことでケンカとなった際、紅蘭がRYKEYに物を投げられたり顔をビンタされたりした。それで彼女は警察へ相談に行き、翌日にRYKEYは暴行容疑で逮捕された。その時に薬物反応が出た。

紅蘭さん本院が次のように言っている。

「めちゃくちゃショックでしたけど、それ以上に私が支えてあげなきゃと思ったんです。覚せい剤でおかしくなる人ってたくさんいるじゃないですか。彼がそうなってしまうのは絶対に嫌」


◆2016年8月岐阜県大垣市、飲酒運転を止めようとした妻に殺人未遂

2016年8月、岐阜県大垣市で、設備業の男(38)が飲酒運転を止めようとした妻(41)と次男(2)を車でひき殺そうとしたため殺人未遂の疑いで逮捕された。

男が飲酒後に自宅からワンボックスカーで外出しようとしたため、飲酒運転を止めようと褄が次男を抱いたまま車の前に横になった。その妻をひき殺そうとした。妻は腰に軽傷、次男にけがはなかった。


◆2016年8月名古屋市、DV父が長男受験で体罰指導する中、長男を刺殺、母は口出し禁じられる

2016年8月、名古屋市で、妻にDVしていた無職の佐竹憲吾容疑者(48)の父親が受験をめぐって子供に虐待を続け、小学6年(12歳)の長男・崚太君の右胸を包丁で刺し殺害した。

父親は名古屋市内の、毎年、東大に20人ほど合格する中高一貫有名私立中学出身で、長男に、この中学受験をさせることを決めて、勉強させるため日常的に暴力を振るっていた。暴力や刃物を使い、長男を恐怖で支配するという体罰指導を繰り返していた。その中である日に激高し長男の胸を包丁(刃渡り約18・5センチ)で1回刺し、失血死させた。

母親に子どもへの虐待を見せて口出しさせなかったので、妻へのDVの側面もあった。妻に対しても暴言や暴力を繰り返していた。妻は「私にも子供にも暴力だらけ」「塾に入ってから暴力がエスカレートした」「崚太のことをたたいたりモノにあたったり、教科書を破ったりした」「子どもを平気で殴ったりけったりしていた」「その影響で今度は崚太がモノに当たるようになった」「崚太が父親から髪の毛を抜かれていた」「崚太が小さな声でごめんなさいと言っていた」などと証言している。中学受験を経験していない母親は口出しを禁じられ、父子が勉強するときは勉強部屋に入ることも許されなかった。「ばかやろう」などといった暴言を聞き、子どもをたたいたり、蹴ったりする場面も見たが、口を挟めなかった。母親は「被告の教育虐待は日常的だった」と振り返った。長男が5年生の冬のとき、父親が、鉛筆を削っていたカッターナイフを突きつけると、時に反抗的な態度を見せた長男が素直に言うことを聞いた。以来、たびたびカッターを持ち出し、ペティナイフ、包丁へとエスカレートした。「怒鳴ったり殴ったり怒ったりしなくても、言うことを聞く」ようになったという。

 事件が起きた2016年8月21日。約束の午前7時半より遅く起きてきた長男。「ええ加減にせぇよ」と父がいったが反抗的な態度が始まったと感じ、 包丁を手にした。長男を正面に座らせ、態度を改めさせようと説教。「最後の念押しのつもり」で、長男の背後から目の前に包丁を突きつけた。泣き声が聞きたくなかったので、左手で長男の口をふさいだ。そして長男を刺殺した。

 事件の前日にも、勉強態度などを巡って説教し、車の中で長男の足に包丁を突きつけた。「大人ばかにするな」「これ以上ふざけたことやってみろ。こんなもんですむと思うなよ」などと恫喝し、長男が怖がり、泣く声がドライブレコーダーに記録されていた。俺が覚えろと言ったら全部覚えろなどと脅し続けていた。事件直前に長男の頭髪が部分的に抜けていたが、長男は「パパにやられた」といった。勉強が分からずにふてくされたり、反抗的な態度をしたりしたとき、父親は長男に手をあげ、教科書を破ったりもし、徐々に刃物をいつも持ち出して指導していた。

この父親は、この私立中学校出身だったこともあり、薬局を営む実家では家業を継いでもらえると期待していたが、薬局を継がずにトラック運転手になった。佐竹はもともと怒りっぽい性格で、近所の人の話では「子供がよく怒られて外へ出されていた」「ベランダに締め出されて泣いている声が聞こえた」という。5年生の夏になると、受験勉強が本格化し、塾を終えた長男が午後10時ごろに帰宅した後、父親による特訓が続いた。就寝が午前2時になることもあった。

 この父もまた、勉強について親から厳しいしつけや指導を受けてきた。「受験に成功すれば、野球部に入ってもいい」と言われ、小学生の時に野球を諦めた。中学に入って最初の試験で成績が悪かったため、入部したばかりの野球部もやめさせられた経験をしていた。

 


◆2016年8月、大阪市で、42歳男性がDVで逃げていた交際再相手を50回殴って殺す

2016年8月、大阪市で、橋本晋(42・当時)がDVされて逃げていた交際再相手・西山佳澄さん(40・当時)を50回殴って殺した。

西山さんは8月9日朝、 大阪府警生野署を訪れ「交際相手から暴力をふるわれ、逃げてきた」と相談した。左目付近を腫らしていた。署員が被害届の提出を促したが「仕返しが怖い」と応じず、「(橋本に)接触しないでほしい」と頼んだ。その日の午後、自宅を管轄する福島署に「自宅近くにある実家に避難する。周辺を警戒してほしい」と相談。同署は周辺のパトロールを強化したが、事件は起きてしまった。

8月11日午前、西山さん宅を訪れた橋本は、室内にあった棒や拳で50回彼女を殴りつけた。橋本は「女性が室内で倒れている」と110番通報し行方をくらました。福島署の警察官が12日に駆け付けたところ、全裸で西山さんが死んでいた。その後の司法解剖の結果、死因は全身打撲による多発外傷だった。
110番通報に使われた電話番号から、通報したのが橋本であることが特定され、殺人の容疑で逮捕された。犯行について、「他の男と会っていた」「会う約束を破られて腹が立ち、手や棒で50回くらい殴った」「殺すつもりはなかった」と橋本は供述した。 9月1日、大阪地検は「殺意の立証は困難」として、傷害致死罪に切り替えて橋本を起訴した。


◆2016年9月 松原市、男が交際相手にDVで逮捕

2016年9月、大阪府松原市で、黒瀬昌誉容疑者(36)が交際相手の女性(37)の首を絞めるなどしたとして、殺人未遂の疑いで逮捕された。
男は、女性の自宅に押しかけ口論の末、性の顔面を殴ったうえ首を絞めるなどして殺害しようとした。女性は軽傷。2人は交際を巡ってトラブルになっていた。
女性は松原警察署にこれまで2度、DVを受けていると相談していた。


◆2016年10月亀岡市で、中学校教諭が妻に暴行

2016年10月京都府亀岡市で、丹波町立中学校教諭の男(33)が、妻にコップを投げつけたり、殴ったりしてけがをさせたため逮捕された。

夫婦で口論となって妻から顔に酒をかけられたことに激怒し、妻の顔にプラスチック製のコップを投げつけて鼻に傷を負わせたほか、頭を殴るなどして頭部打撲のけがをさせた。男は保健体育の教諭で生徒指導を担当していた。


◆2016年10月宇都宮、元自衛官がDV裁判などに不満をもって爆破自殺

2016年10月23日に、家族連れでにぎわう祭り会場・宇都宮市城址公園などにおいて、72歳の元自衛官(1999年定年退官)の栗原敏勝・容疑者が、金属片などを飛ばす殺傷能力ある爆発物を使って、爆発自殺事件を起こし、自分が死亡し、無関係の市民3人が巻き添えを食ってけがをした。
栗原容疑者の靴下には、家庭内の悩みとともに「命を絶って償います」と書かれた遺書が挟まれていた。 

報道や栗原容疑者自らが開設したとみられるブログや動画投稿サイトなどから明らかになったこと(2015年末以降)は、以前から夜中に栗原容疑者の怒鳴り声が近所に聞こえていたこと、夫婦間で口げんか(DV)が絶えなかったこと、娘の病気の治療方針をめぐって妻と不仲になったこと、その結果5年ほど前から妻子らと別居、1人暮らしをするようになったこと、妻からDVで訴えられ、妻と三女はDVシェルターに駆け込んだこと、接近禁止命令が出されたこと、退職金2千万円を妻が宗教につぎこんだと訴えていたこと、離婚を巡る訴訟で、DV加害者と決めつけられ夫(自分)の言い分が全く聞かれず敗訴したこと、「国家による冤罪判決で生きる道を絶たれた。冤罪判決であるので判決に従わない」と考えたこと、そのため資産を差し押さえられ自宅が競売にかけられるなどによって経済的に行き詰まっていること、栗原容疑者は2013年ごろから県精神保健福祉会の相談員をしていたが今年6月、相談員として不適切な行動があったとして問題視され、退会させられたこと、「都宮家裁判事・調停員・書記官から真綿で首を絞められ死刑判決」を出されたといった家裁調停員や裁判官への不満を持っていたこと、「家裁は老後は刑務所に入って生活しろと言わんばかりである」という怒りを持っていたことなどであった。最近は、一方的に「国家権力」に虐げられているとの“被害者意識”を膨張させていた。


これらに対して世間に不満を訴えたいが、ネット世界でも炎上せず、多くの人が知ってくれない、「6年もSOSを出している」のに無視されているので、「自暴自棄」になって何か事件をおこして「ネット炎上を期待して」「大げさにしないといけない」と考えて犯行に至った模様。「大きな事件にならなければ問題に見向きもしない、現代の風潮に不満を持っている」との音声もアップされていた。


◆2016年10月、佐賀県唐津市、女性が元カレに電話1万6千回超のストーカーで逮捕

2016年10月、佐賀県唐津市で、江口美樹容疑者(37)が元カレに1万6千回超、電話をかけたためストーカー容疑で逮捕された。

2人は2007年ごろまで約2年、交際していた。別れた後、江口容疑者は、2016年4~9月に、元交際相手の佐賀県唐津市の30代男性会社員に対し、約1万6300回にわたり電話をかけたり、メールを約30回送ったりした。

江口容疑者は、9月下旬、知人らに「(男性が)結婚をちらつかせた。責任を逃れている」などと記したメールを送っていた。そのため名誉毀損容疑で逮捕されていた。


◆2016年10月東京、元交際相手がストーカーの上でバラバラ殺人

 2016年10月、東京都目黒区で、佐賀慶太郎容疑者(50)が元交際相手の中元志織さん(24)を、ストーカーしたうえで殺害し遺体をバラバラにして川や排水口に捨てたため逮捕された。

中元さんは2015年11月に、当時、アルバイトをしていた店で、客として来ていた佐賀容疑者と知り合い、交際を始め、2016年3月まで大田区にあった佐賀容疑者のアパートで同居していた。しかし、2016年5月ごろまでに別れたという。中元さんは2016年5月に現在のマンションに1人で引っ越した。
その後、中元さんは佐賀容疑者からストーカー行為を受けるようになった。7月には中元さんに暴力を振るったとして佐賀容疑者が暴行の疑いで埼玉県警川口署に逮捕されていた。
男が罰金10万円の略式命令を受けて7月27日に釈放された際、中元さんに近づかないとする書面を川口署に提出させられていた。

川口署は、中元さんと警視庁目黒署に経緯を説明し、目黒署は中元さんと連絡を取り合うようになった。 

目黒署は中元さんに住居や連絡先を変更するよう指導したが、中元さんは引っ越し代を工面できないと話し、また佐賀容疑者から行政書士を通して交際時に支払われた現金の返済を請求されたことも打ち明けた。佐賀容疑者がかつてのアルバイト先を訪れて自分を探っていることなどを訴え、事件のおよそ1週間前まで4回にわたってストーカー相談をしていた。しかし警察は、実家やホテルなどへの避難を助言するばかりだった。

男は、8月に内容証明郵便で、「交際時にかかった200万円を返せ」と要求したが、中元さんは、身に覚えがないため弁護士を通して送り返していた。目黒署の指導で弁護士に対応を依頼していた。
男はこのことについて怒って直接話をして「借金の話をつけよう」と考え、9月16日夜に女装して中元さんマンションで待ち伏せし、部屋に入り込み、借金を返せといってガムテープで中元さんの手足を縛ったうえで、怒って刃物で刺して彼女を殺害した。
脅かすつもりで粘着テープで縛ったというが、これ自体異常で、DV的暴力的だ。ガムテープを準備していたということは縛る計画性を持っていたということだ。

その後その遺体をバラバラにして9月17日から20日ごろにかけて荒川や利根川や中元さんの自宅の排水口などに捨てた。その後部屋に2日とどまって入念に証拠隠滅の行動もとっていた。中元さん宅近くの量販店で切断に使った出刃包丁や清掃道具やバッグ数個を購入したり、レンタカーを借りたりしていた。

200万円貸したといっているようだが、「交際時にかかった200万円を返せ」と内容証明郵便で書いているので彼女に使った金のことだろう。「付き合っていた時の金を返せ」というのは、粘着性の加害者がよく持つゆがんだ考えだ。たとえば指輪やバッグなど高価なものをプレゼントしていた場合、フラれたあとでその金を返せというのは、器の小さい人間、粘着性のDV/ストーカー的な人物がよく持つ「被害感情、復讐感情」だ。だがもちろん交際時のプレゼントの代金などを返す必要はない。身勝手な理屈に過ぎない。金を返せということ自体が相手への嫌がらせであり攻撃であり、DVといえる。

 *今回も警察の対応が不十分だったと言わざるを得ない。

佐賀容疑者が7月に暴力をふるったことからも危険人物と認定すべきだったし、8月の「金返せ」というのも、近づかないという誓約書に反しているし、加害者的発想が明らかなのだから加害者に直接接触して警告するべきだった。

それなのに警察は加害者に何もしていない。女性が4回にわたって相談に来ているのに、ストーカー行為をしたことを警告しに男に連絡も接触もしていない。
9月12日に、佐賀容疑者がアルバイト先に出没して中元さんのことを聞きまわっていると伝えた時にも、警察は店から男の携帯番号を聞いて調べていたが、それが遅くて、その番号が佐賀容疑者の携帯電話と把握するまでに時間がかかり、担当者がメールを開かなかったために、事件に間に合わなかったという。危機感が欠如していたが故の結果だろう。

警察は「女装した人を見かけませんでしたか」と聞き込みを事件の1か月前にしていたというのに、危険性の把握で完全に間違っていた。朝日新聞報道では「警視庁は2人の交際トラブルを把握していたが、佐賀容疑者の行為はストーカー行為のための前兆であり、緊迫性はないと判断」していたという。

殴って有罪になっているし、接近しないと約束させたのに文書で金を返せと怒っているのに、どうして「ストーカー行為のための前兆であり、緊迫性はない」などといえるのか。完全に間違いだ。
勤務先や電話番号、住居などを変えるようアドバイスしていたというが、簡単に職場を変えられるはずがない。引っ越しなども簡単にはできないし、会社も知られているからどうせ見つかる可能性も高い。だから他の対策も講じるべきだった。転職や引越しをいうだけでは全く対策になっていない。実際、中元さんは「お金を工面できない」といってそれは無理と答えていた。ならば、近所を見回ること、加害者である男に接触し、話を聞き、警告し、カウンセリング(加害者プログラム)などにつなげるべきだった。

 だが、今回も加害者には全く接触していない。そこが決定的に欠如している。今のストーカー対策が、被害者に接触して、大丈夫ですか、と聞くことと、危なければ逃げなさいというだけなので、事件が続いている。加害者に接触して危険性を把握するとともに、監視、警告し続けることが大事だ。

 9月12日、中元さんから「佐賀容疑者がアルバイト先に来て、自分のことを捜しているらしい」と目黒署に相談があったときが、事件回避の最後のチャンスだった。完全にストーカー行為をしているので、警察はすぐに男に会いに行って事情を聴き、警告すべきだった。

警視庁の「被害者のアクションがなかったことはあるが、結果として残念だ」「命を守れなかったのはじくじたる思いで残念だ」というコメントは責任逃れであり、何が足りなかったかを真摯に明らかにしていない。だからまた事件は繰り返されるだろう。

警察庁などは、これまでも事件が起こるたびに「被害者の安全確保を最優先にしろ、認知段階からの組織的な対処を徹底しろ」といったことを全国に伝えてきた。2016年5月に音楽活動をしていた女子大生が刺され重傷を負う事件でも、そうした意識改革を呼びかけていたが、また今回の事件を防げなかった。


◆2016年10月子どもとの面会交流拒否、1回100万円の支払い命令 

2016年10月、東京家裁(棚橋哲夫裁判官)が、別居している母親に長女を会わせる約束を父親が守らないとして、応じない場合は父親が1回あたり100万円を母親に支払うよう命じる決定を出した。

別居中の親子が定期的に会う「面会交流」では、守らない親に裁判所が金銭の支払いを命じる「間接強制」の多くが数万円から10万円程度と言われており、この判決は異例の高額。父親は決定を不服として東京高裁に抗告した。

父親は2011年に家を出た後、長女を小学校から連れ帰って転校させた。長女と会えない状態が続いた母親の申し立てで、東京家裁が2015年12月、月1回5時間の面会交流を認めたが、父親は応じなかったという。

 母親の間接強制の申し立てに対し、父親は「面会すれば母親が長女を連れ去る危険性がある」などと主張したが、同家裁は「もはや任意での実施を期待できない」と判断。父親の収入が高額であることなどを考慮し、約束を守らない場合の強制金の額を「1回100万円」とした。この決定の後、母親と長女の面会が実現した。

 今回の額は、父親が先に強制的に娘を連れ去ったなどの事情を考慮したことと、強制金を払ってでも会わせたくない、という人がいるために、収入と比較してある程度負担になる額ということで決定されたと考えられる。


◆2016年11月、慶大男子学生が恋人を線路に突き落とす殺人未遂事件

2016年11月、慶大男子学生・小沢友喜容疑者(法学部3年)が交際中の同大法学部3年の女子学生(21)を線路に突き落としたため殺人未遂の容疑で逮捕された。

二人は、同級生らと飲酒をした後で2次会に行くか行かないかで口論になった。そのなかで男子学生が怒って恋人を線路に突き落し、その後逃げた。突き落とされた女子学生は軽傷を負った。女子学生が突き落とされたのを目撃した男性の利用客が駅員に知らせ、駅員が非常停止ボタンを操作。進入してきた電車が約400メートル手前で止まってことなきをえた。

交際している中で片方が怒って死ぬかもしれないひどい暴行を働いたのだから重度のDVといえる言動だが、メディアではそのようにとらえる視点はなかった。恋人の間の暴力をDVと捉える感覚が日本社会にまだ広がっていないことの反映と思われる。


◆2016年11月さいたま市、22歳女性が交際相手を殴り死亡させる

2016年11月、さいたま市で、山崎桃子容疑者(22)が交際相手の男性の顔を拳で殴り暴行を加えたとして逮捕された。男性はその後、死亡した。

山崎容疑者は、同居する交際相手の男性の顔を拳で殴り、暴行を加えた。買い物から帰宅するとドアの鍵が掛かっていたので頭にきて殴ったとのこと。


◆2016年11月、埼玉県、27歳男が知人中学生をスマホで不正監視、裸の写真で脅す

2016年11月、埼玉県吉見町で、小嶋元太容疑者(27)が知人中学生をスマホで監視したため不正アクセス禁止法違反の疑いで逮捕された。写真で脅すこともしていた。

小嶋容疑者は2016年春に会員制交流サイト(SNS)で兵庫県内の女子中学生(15)と知り合い、5~8月、ネットで交流(交際)しながら、当人に秘密で女子中学生のスマートフォンに接続し、GPS(全地球測位システム)で行動を監視したり、ツイッターやLINEの内容を盗み見た。

インターネット上の会話の内容からIDとパスワードなどを推測し、986回にわたって不正アクセスしていた。紛失時などに位置が分かる「アイフォーン(iPhone)」のGPS機能を悪用していた。

男は、女子生徒に交際相手がいると知り、女子中学生が「他の男と仲良くしていたので、行動を確認したかった」「 「他の男ともやりとりしているのかどうか確認したかった」と述べている。

また直接会ったことはほとんどなかったが、ネット上のやり取りを通じて女子中学生にわいせつな写真を送らせ、交際相手と別れなければネット上にさらすと脅すこともしていた。

他の媒体からスマートフォンアクセスがあった場合、通知メールが来ルことから、女子中学生が気づき、警察に相談して発覚した。


◆2016年11月、風俗店のアルバイト運転手の男(45)が女性店員にストーカー電話、15時間で200回で逮捕

2016年10月、風俗店のアルバイト運転手の男(45)が、 客として知り合ったサービス業の女性店員に、約15時間で計196回電話をかけたため、兵庫県警生田署によって、11月にストーカー規制法違反容疑で逮捕された。男が電話した回数は2016年8月以降、少なくとも千回に上るとみられている。女性は7月初旬、大阪府内の勤務先に客として訪れた男から迫られて携帯電話のメールアドレスを伝えたが、1日10通以上メールが届くようになったため受信を拒否したところ、再び店に現れた男に電話番号を教えるよう詰め寄られたという。

男は独身で、両親と同居。店を利用したのはこの2回だけだったという。


◆2016年11月東京、中国人大学院生がDVで別れた恋人にストーカー、かくまった女性を刺殺

2016年11月、東京・中野区で、中国人留学生(大学院生)、陳世峰容疑者(25)が、中国人留学生、江歌さん(24)を刃物で殺したため逮捕された。江歌さんは、陳容疑者の元交際相手Aさん(20代)と同居していた。陳容疑者とAさんはDVなどが原因で別れており、Aさんは別れたあと、ストーカー行為をされたため、江歌さんの家に身を寄せていた。陳容疑者は、元交際相手Aさんを、今回の事件の前に脅したとして、逮捕・起訴されてもいた。
陳容疑者はAさんとトラブルになっていて、事件の数時間前にはアパートに押しかけて江さんと口論になり、夜になって、再び、アパートを訪れ事件となった。


◆2016年11月、日経社員がタレントなど百数十人分のメールや写真や連絡先などを盗み見て逮捕

日本経済新聞社デジタル編成局所属の寺井淳容疑者(29)がタレントの押切もえさん(36)らのスマートフォンに不正にアクセスしたとして、不正アクセス禁止法違反などの容疑で2016年11月に逮捕された。

寺井容疑者は、⒛14年12月に、入手した押切もえさんの携帯電話番号と、SNSから得た情報や個人情報からパスワードを類推し、スマートフォンのポータルサイトやクラウドサービス「Gメール」に不正にアクセスし、メールアドレスを取得し、メールや写真や連絡先などを盗み見た。パスワードを勝手に変更したりもした。

また2015年10月~2016年4月には、米アップル社の「iCloud」にも不正ログインし、元NMB48の渡辺美優紀さん(23)や都内在住の20代女性2人ら3人にも同様の行為をした。

 容疑者は、「出来心でパスワードを突破することに喜びを感じ、ゲーム感覚でしてしまった」と述べた。

警視庁サイバー犯罪対策課が容疑者の携帯電話を解析した結果、女優やモデル、アナウンサーなど百数十人分の電話番号やメールアドレスが保存されていた。

携帯電話サーバーにログインするには携帯電話番号とパスワードが必要。寺井容疑者は何らかの手段で押切さんの携帯電話の番号を入手し、パスワードは生年月日やニックネームから類推していたとみられる。


◆2016年11月、スマホを遠隔操作できるアプリで製造者と利用者を一斉逮捕

2016年111月、他人のスマートフォン(スマホ)を遠隔操作できるアプリを、他人のスマホに無断でインストールしたなどとして、不正指令電磁的記録供用の容疑で11月25日までに3人が逮捕、10人が書類送検された。またこのアプリが悪用されることを知っているにもかかわらず開発したとして、横浜市のアプリ開発会社の社長らが不正指令電磁的記録作成の容疑で再逮捕された。
「Androidアナライザー」というソフトは、インストールするとPCからAndroid端末内に遠隔操作ができ、PCの情報も盗めるしスマホのカメラを操作したりLINEのメッセージもリアルタイムで閲覧できるものだった。表向き用途としては、「紛失したAndroid端末の追跡、盗難防止」「子供や祖父母の防犯対策としての居場所確認」「サボり癖のある社員の勤怠チェック」などとうたっていた。


◆2016年12月宇都宮、27歳男が8年交際した元恋人の看護師を殺害

2016年12月、栃木県宇都宮市で、菅野龍容疑者(27)が(元)交際相手の看護師、根本紗貴子さん(28)を殺害したため逮捕された。

二人は約8年付き合っていたが、最近根本さんは別れるといっていたようで同僚にh別れたといっていた。しかし男は同意していなかった模様。菅野容疑者は「(根本さんの)誕生日の10日に会ったが、冷たくされてかっとなり、殺害した」「『もう帰って』と言われ、浮気を疑った。他の男のものになるくらいならと殺害した」との趣旨の供述をした。根本さんの胸や背中に約10カ所の刺し傷や切り傷があった。菅野容疑者は犯行後、浴室で自分の体と、犯行に使ったとみられる包丁に付着した血液を洗い流していた。その後、根本さんの乗用車で高速道路を使って福島県まで逃走した。


◆2016年12月、フランス、チリ人男性が元交際相手の日本人留学生を殺害

2016年12月、フランスで、チリ人男性(ニコラス・セべラ 20代)が元交際相手の黒崎愛海(なるみ)さん(21歳、フランス留学中の筑波大3年生)を殺したと推測され国際手配された。

元交際相手の男が「危険な性格で、しつこくつきまとっていたとみられる」と発表された。

二人は日本で出あい交際していたが、男は2016年10月、日本からチリに帰国した際、「彼女とは終わった」などと話していた。黒崎さんは2016年9月からフランスでの生活を始めていた。この男は、インターネット動画で、2016年4月には、二人の仲の良かった動画をだしていたが、同年9月に黒崎さんに対する「声明」なるものを動画として出していた。そこでは、「なるみはこの動画をみているか。悪いことをしたので、彼女は信頼を取り戻し、自分がしたことに対し少し代償を支払わねばならない。」「関係を維持するため、9月21日までにある条件を守ることを課す。応じれば許す」といった趣旨のこと述べ、9月7日から2週間以内に黒崎さんに「条件」を守るよう脅迫的な文言を述べていた。「条件」の具体的な内容については説明していない。その後、12月に黒崎さんが事件に巻き込まれた。

2016年9月には、黒崎さんのフェイスブックの写真などが全て消えるトラブルがあった。男が降られたことに怒り、いやがらせで消去したとみられる。男が特殊なソフトを使い、証拠隠滅のために自分のパソコンのデータを消去していたことも分かった。

2017年1月には、チリ人男性がラインで「心配している。自分は何も悪いことはしていない。彼女がどうなっているか想像がついている」というようなことを述べて彼女がみずからの意思で隠れているかのように主張した。

彼の9月の「声明」を見ても、復縁を求める異常なストーカー気質が感じられるものであるし、仲のいい動画をアップするのも、世間に自分たちの関係を広く認知させて相手が自分の物だ、ほかの奴は手を出すなという効果、相手を手放さない囲い込みの効果を目指すDV 的・ストーカー的な気質をうかがわせる。


◆2016年12月洲本市、高1男子が交際相手を絞殺

2016年12月に兵庫県洲本市で高1男子(16)が交際相手の高校1年の女子生徒(16)を絞殺したため、2017年3月に殺人の疑いで逮捕された。

2人は2016年4月ごろから交際していた。関係がうまくいかなかった、別れ話でもめたとみられる。2人が互いに自傷行為をするなど心中を図った可能性もある。
男子生徒は事件後、登校していなかった


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